AIニュース|2025-10-12 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Heavy metal encapsulation and performance assessment of novel binary blended geopolymer concrete incorporating blast furnace slag sand for safe and sustainable construction practices

近年、建設産業では、持続可能性向上のため産業廃棄物の建材利用が進む一方、有害重金属の溶出という環境リスクが懸念されています。人々の健康と環境を守りつつ、高性能かつ持続可能な建材を開発することは現代社会の喫緊の課題です。本研究は、この課題に対し、産業廃棄物であるフライアッシュ(FA)と高炉水砕スラグ(GGBS)を結合材に、さらに天然細骨材(NFA)を高炉スラグ砂(BFS)に置き換えた二元混合ジオポリマーコンクリート(GPC)を開発し、有害重金属の封じ込めと優れた性能の両立を目指しました。

本研究では、FAとGGBSを50:50の比率で組み合わせ、BFSをNFAの0%から100%まで置換したGPC配合を検討した結果、BFSを50%置換したGPC(G50S50)が最も優れた総合性能を発揮することを見出しました。このG50S50は、ヒ素、クロム、セレンといった有害重金属の溶出を90%以上削減し、全ての溶出値が米国環境保護庁(U.S. EPA)の基準値を下回ることを確認。重金属がGPCの緻密な構造内に効果的に固定化されていることを示しました。機械的特性においても、G50S50は従来のコンクリートを超える46.26 MPaという最高の圧縮強度を達成。さらに、3.59%の低い吸水率、3.29%の少ない空隙率、2489 kg/m³の高い密度といった優れた耐久性も実証。これらの性能は、詳細な統計分析と微細構造解析により、重金属の固定化と性能発現メカニズムを解明することで、その堅牢性が裏付けられました。本研究は、FA-GGBS二元混合GPCと高炉スラグ砂を組み合わせた材料における、重金属封じ込め、機械的強度、耐久性、微細構造解析を含む初の包括的な評価を提供します。

この画期的な成果は、産業廃棄物を有効活用しつつ、有害重金属の放出リスクを大幅に低減し、優れた強度と耐久性を兼ね備えた新たな建設材料の可能性を明確に示しています。今回開発されたGPCは、安全で耐久性に優れ、環境的に持続可能な建設プラクティスを推進する強力な選択肢となるでしょう。本材料の実用化は、天然資源の消費抑制と産業廃棄物の有効利用を促進し、建設業界全体の環境負荷低減と循環型社会の実現に大きく貢献することが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Fracture behavior of 3D printed geopolymer concrete containing waste ceramic

建設分野における3Dプリント技術は、従来の工法に比べて高い自由度と効率性から注目を集めていますが、使用される材料の特性、特にその破壊挙動の理解は、実用化と安全性確保に不可欠です。また、セメント生産に伴う環境負荷の増大が問題視される中、フライアッシュや高炉スラグなどの産業副産物を原料とするジオポリマーコンクリートは、次世代の持続可能な建築材料として期待されています。さらに、建設廃棄物の一種である廃棄セラミック骨材(CWA)を有効活用することは、資源循環型社会の実現に向けた重要な課題です。しかし、これらの複合的な持続可能材料を3Dプリントで造形する際の破壊メカニズム、特にCWAの含有量や積層方向が強度特性に与える影響については、体系的な解明が十分ではありませんでした。

このような背景のもと、本研究は廃棄セラミック骨材を含む3Dプリントジオポリマーコンクリート(3DGPC)の破壊挙動を体系的に調査しました。具体的には、三点曲げ試験に加え、デジタル画像相関(DIC)およびアコースティックエミッション(AE)技術を駆使し、CWAの含有量とプリント方向が亀裂の発生・進展パターンに及ぼす影響を詳細に分析しています。その結果、CWAを40%添加することで、3DGPCの機械的特性、破壊靱性、そして破壊エネルギーが顕著に向上することが明らかになりました。これは、廃棄物であるCWAが単なる充填材としてではなく、材料の強度と粘り強さを高める上で極めて有効であることを示しています。

さらに本研究では、3Dプリント特有の積層構造における破壊メカニズムにも新たな知見をもたらしました。DIC解析とAE解析は、積層ストリップ内で亀裂が進展する「ストリップ内亀裂」と比較して、積層層間で亀裂が進展する「層間亀裂」が、応力集中を効果的に緩和し、材料全体の性能向上に寄与することを検証しました。CWAの混入と層間破壊の組み合わせは、亀裂開口変位を著しく増加させ、亀裂先端での応力集中を緩和しつつ、亀裂の伝播を抑制する効果があることが明らかになりました。加えて、AE分析からは、CWAの混入と層間破壊がせん断亀裂の発生を減少させ、結果として破壊靱性を高めるメカニズムが示唆されています。

本研究の成果は、廃棄セラミック骨材を活用した高性能な3Dプリントジオポリマーコンクリートを実現するための最適な配合比率とプリントパラメータを提示するものです。これにより、3Dプリント建築における材料選択の幅が広がり、より堅牢で持続可能な構造物の構築が可能になります。また、廃棄物の有効利用を促進し、環境負荷の低減に貢献することで、3Dプリント技術全体の持続可能な発展を強力に推進する可能性を秘めており、建設分野における革新と環境配慮を両立させる上で極めて意義深い研究と言えます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Effect of precursor compositions on the Pb(Ⅱ) adsorption of slag-based geopolymer microspheres

**重金属汚染対策に貢献:ジオポリマー吸着剤の最適組成が示す高い鉛除去性能**

水環境における重金属、特に鉛(Pb(II))による汚染は、環境と公衆衛生に深刻な影響を及ぼし、その効果的かつ持続可能な除去技術の開発が喫緊の課題です。近年、産業廃棄物由来のスラグなどを原料とするジオポリマーが、優れた吸着特性から重金属除去の有望な吸着剤として注目されています。しかし、その分子構造レベルでの吸着メカニズム、特に前駆体材料の組成が吸着性能にどう影響するかについては知見が不足しており、高性能な吸着剤設計における課題となっていました。

本研究は、この課題を解決するため、ジオポリマーにおける重金属吸着メカニズムを分子構造レベルで解明することを目的としました。組成制御可能な模擬スラグ材料を前駆体とし、アルカリ活性化により多孔質なジオポリマーマイクロ球を合成。Pb(II)吸着剤として、原料中のn(CaO)/n(SiO2)モル比およびn(SiO2)/n(Al2O3)モル比が吸着性能に与える影響を系統的に調査しました。その結果、n(CaO)/n(SiO2)モル比が高いほど、マイクロ球のPb(II)吸着性能と再生性能が顕著に向上することが示されました。これは、高比率がカルシウム・アルミニウム・シリケート水和物(C-A-S-H)ゲルの形成、炭酸カルシウムの結晶化、および吸着過程におけるPb-O結合の形成を促進するためと考えられます。また、n(SiO2)/n(Al2O3)モル比に関しては、4:1の時に最も高い吸着性能を示し、次いで3:1、5:1の順でした。この性能差は、高すぎる比率がジオポリマー構造の無秩序化を招き吸着効率を低下させる一方、低すぎる比率はジオポリマー形成不十分により吸着サイトが減少するためであると明らかにされました。本研究は、アルカリ活性化スラグマイクロ球における前駆体の元素比とPb(II)吸着性能との間の構造-性能関係を系統的に解明した点で、極めて重要な知見を提供します。

これらの詳細な構造-性能関係の解明は、高効率な重金属吸着剤を設計する上で、原料組成の適切な選択に関する貴重な指針を提供します。本成果は、持続可能な水処理技術の開発に大きく貢献し、地球規模の環境問題解決に向けた新たな道を開くものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)