AIニュース|2025-11-30 Cement の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Cement」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Properties and Sealing Performance of an Ultra High-Durability Cement Mortar Plug under Simulated Downhole Conditions.

地球温暖化の深刻化に伴い、メタン排出量の削減は国際的な喫緊の課題となっています。特に、世界中に存在する数百万もの廃止された油井・ガス井からのメタン漏洩は、見過ごせない環境負荷の原因の一つとして指摘されています。このメタン漏洩の主たる原因は、井戸を封鎖するセメントプラグの長期的な劣化にあります。従来のセメントモルタルは、坑内の高温・高圧、そして湿潤といった過酷な環境条件下で、高い乾燥収縮、低い引張強度、そして鋼管や地層との界面での接着不良といった根本的な課題を抱えていました。これらの問題は、セメントプラグのシーリング性能を低下させ、結果としてメタンガスが地下から地上へと漏れ出す経路を作り出す原因となっていました。

こうした従来のモルタルの限界を克服するため、本研究では「超高耐久性セメントモルタルプラグ(UHD-CMP)」が開発され、その特性とシーリング性能が詳細に評価されました。UHD-CMPは、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)をベースとした膨張剤、そして界面活性剤系の収縮低減剤(SRA)といった特殊な添加剤を組み合わせることで、従来のセメント材料が抱えていた弱点を補強しています。研究チームは、坑内環境を模倣した多岐にわたる養生条件下でUHD-CMPの性能を検証しました。その結果、UHD-CMPは驚異的な物理的特性を示すことが判明しました。圧縮強度は最大で162 MPaに達し、これは一般的な従来のモルタルの2倍以上という突出した値です。また、空隙率は最大で71%も削減され、材料の緻密性が飛躍的に向上しました。これにより、ガス透過率は3.98 × 10^-20 m^2という極めて低い値まで抑制され、従来のモルタルと比較して最大で5桁もの改善が認められました。さらに、長期的なシーリング性能を左右する界面接着強度においても、UHD-CMPは顕著な優位性を示しました。70%相対湿度の条件下での長期湿潤暴露後も、UHD-CMPは1.5~2.3 MPaのせん断接着強度、そして0.44~0.46 MPaの垂直引張接着強度を維持しました。これは、同じ条件下で0.2 MPa以下で破断、または0.09~0.11 MPaしか発揮できなかった従来のモルタルとは比較にならない性能です。50~80 °Cという高温、かつ50%相対湿度下においても、せん断接着強度は標準養生時よりは低下するものの、依然として従来のモルタルが0.2 MPa以下で機能不全に陥るのに対し、UHD-CMPははるかに高い強度を保持しました。

これらの結果は、UHD-CMPが廃止された油井・ガス井からのメタン漏洩問題に対する画期的な解決策となり得ることを明確に示しています。その類まれなる高強度、低透過性、そして優れた界面接着耐久性は、井戸の閉鎖における長期的なシーリング性能を大幅に向上させ、数十年から数世紀にわたる環境保護に寄与する可能性を秘めています。UHD-CMPの実用化は、メタン排出削減という国際的な目標達成に貢献するだけでなく、将来の油井・ガス井廃止作業の信頼性と持続可能性を飛躍的に高めるでしょう。本技術は、地球環境保全とエネルギー産業の持続的発展の両立に向けた重要な一歩として、今後のさらなる展開が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Impact of Ca/Si and Al/Si ratios on the composition and structure of the alumina-silica gel formed by wet carbonation of synthesized C-S-H in blends with portlandite and ettringite

持続可能な社会の実現に向けて、使用済みコンクリートのリサイクルは重要な課題として注目されています。再生コンクリートの製造過程では、水性炭酸化処理が用いられ、主要な生成物として炭酸カルシウムとアモルファスなアルミナ-シリカゲルが生成されることが知られています。しかし、この際に形成されるアルミナ-シリカゲルの詳細な構造や組成については、これまで十分な情報が不足しており、その特性が再生コンクリートの長期的な性能や耐久性に与える影響が未解明なままでした。このような背景から、ゲル形成メカニズムの理解は、再生コンクリート材料の品質向上や新たな機能付与、さらにはCO2固定化技術への応用可能性を広げる上で不可欠な研究領域となっています。

本研究は、この未解明なアルミナ-シリカゲルの構造と組成に焦点を当て、その形成メカニズムを詳細に解明することを目的としています。研究チームは、まず合成したカルシウムシリケート水和物(C-S-H、Ca/Si比=1.75)を単独で、またはポートランダイトとエトリンガイトとブレンドした状態で湿潤炭酸化を実施しました。その結果、純粋なエトリンガイトを炭酸化した場合、約Al2O3・7.4H2Oの組成を持つ特徴的なアルミナゲルが生成され、このゲルが二つの異なる八面体Alサイトを含むことを初めて明らかにしました。さらに、C-S-Hとエトリンガイトの混合物を炭酸化すると、この特徴的なアルミナゲル相が、再生コンクリートで一般的なアルミナ-シリカゲルと共に観察されることが確認されました。注目すべきは、エトリンガイトの含有量が増加するにつれて、アルミナ-シリカゲルの構造が大きく変化し、そのAl/Si比が最大値である1.0に近づくように増加することが示された点です。また、ポートランダイトとエトリンガイトは、C-S-H相よりも独立して速く炭酸化が進行する一方、追加されたカルシウムとアルミニウムがいずれもC-S-H相の炭酸化速度を遅らせるという興味深い知見も得られました。

これらの成果は、再生コンクリートの炭酸化プロセスにおける複雑なゲル形成メカニズムについて、新たな洞察を提供するものです。特に、セメント水和物中のCa/Si比やAl/Si比が、生成されるアルミナ-シリカゲルの組成や構造にどのように影響するかを具体的に解明したことは、極めて重要な進展と言えます。これにより、将来的に再生コンクリート材料の長期的な安定性、機械的強度、そして耐久性をより正確に予測し、制御するための基盤が確立されます。本研究で得られた知見は、高品質かつ高性能な再生コンクリート材料の開発を加速させ、持続可能な建設技術の確立に大きく貢献する可能性を秘めているだけでなく、コンクリートを用いたCO2固定化技術の最適化にも繋がるものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Development of ultra-high-performance concrete incorporating nanobubble water and steel slag powder: Mechanical and microstructural optimization

現代社会において、建築材料として不可欠なコンクリートは、その主成分であるセメントの製造過程で多量の二酸化炭素(CO2)を排出するため、環境負荷低減と持続可能性の向上が喫緊の課題とされています。特に、高強度・高耐久性を誇る超高性能コンクリート(UHPC)は、その優れた特性からインフラ分野での活用が期待されるものの、セメント使用量の多さが環境面での懸念材料でした。この課題を解決するため、産業廃棄物である製鋼スラグ粉(SSP)の有効活用や、CO2を捕捉・固定化する技術の導入は、環境配慮型コンクリート開発の重要なアプローチとして世界的に注目されています。

本研究は、低炭素で持続可能なUHPCの開発を目指し、普通ポルトランドセメントの一部を製鋼スラグ粉で置換するとともに、練り混ぜ水としてナノバブル水(NW)および二酸化炭素ナノバブル水(CNW)を用いる革新的なアプローチを採用しました。NWはコンクリート中の粒子分散性と潤滑性を向上させ、流動性を高める効果が確認されました。一方、CNWは流動性をわずかに低下させるものの、セメントの水和を促進し、さらには系内で炭酸化反応を誘発してナノスケールの炭酸カルシウムを生成するメカニズムが明らかになりました。製鋼スラグ粉の添加は作業性を改善し、20%までの置換率では強度向上に寄与しました。NWとCNWは細孔構造を精緻化し、繊維とマトリックスの結合を強化することで、全体的な強度向上に貢献します。特に、CNWとSSPを20%置換した組み合わせ(CNW20)の試料が最高性能を発揮し、対照試料と比較して圧縮強度が8.9%、引張強度が12%向上するという顕著な結果を示しました。微細構造分析からは、CNWがケイ酸塩の重合を促進し、SSPの適度な置換が界面遷移帯の完全性を高めることで、ひび割れ抵抗性も大幅に改善されることが判明しました。CNW20はひび割れ発生を遅延させ、ひずみ集中を低減する優れた能力を有し、ひずみエネルギー密度は43.5%、微細ひび割れの数は18.3%それぞれ増加し、最適なクラック分散能力を示すことも実証されました。

これらの画期的な発見は、産業廃棄物である製鋼スラグ粉の有効利用と、練り混ぜ水に二酸化炭素ナノバブル水を活用したin-situ炭素捕捉技術を統合することで、高性能かつ環境に優しい次世代UHPCの実現可能性を明確に示しています。本研究は、コンクリート産業における持続可能性の向上に大きく貢献するものであり、将来的に建設・建築分野におけるCO2排出量削減と資源循環型社会の構築に向けた重要な一歩となるでしょう。地球環境への配慮と材料性能の向上を両立させる、新たなコンクリート技術開発の方向性を示すものとして、その意義は極めて大きいと言えます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)