Obsidianを「研究ノート専用アプリ」にする具体的な使い方とテンプレート集

Obsidianを研究ノートに使いたいけれど、「フォルダ構成」「テンプレート設計」「1日の回し方」でつまずきやすい人は多いです。この記事では、Obsidianの基本機能を前提に、研究ノート用Vaultの設計・4種類のノートテンプレート・1日のワークフロー例までを具体的に解説します。
Obsidianそのものの入門やおすすめブログ・動画は、別記事の Obsidianで研究ノートと文献整理を最適化するブログ&YouTubeまとめ に任せ、このページでは「手元のVaultをどう組むか」に絞っていきます。

主なポイント

  • 研究ノート専用Vaultのフォルダ構成と、プロパティ(メタデータ)の決め方がわかる
  • デイリーログ・実験ノート・文献ノート・ゼミ/ミーティングメモの4つのテンプレートをそのままコピペできる
  • 1日の研究を「Obsidian中心」で回すワークフロー例をイメージできる
  • テンプレートを増やしすぎないための設計思想と、運用でつまずきやすいポイントを事前に避けられる
  • Notionや紙ノートとの役割分担を考えるヒントも得られる

Obsidianを研究ノート専用に使うときの基本発想は?

研究ノートとしてObsidianを使うときのキモは、「研究生活のすべてを1つのVaultに集約しつつ、ノートの役割を分ける」ことです。

ここで扱う情報は、大きく分けて次の4種類です。

  1. ログ系:毎日の作業ログ・デイリーノート・ちょっとしたメモ
  2. 実験系:実験条件・結果・考察・トラブル記録など
  3. 文献系:論文・書籍・記事を読んだときのノート
  4. プロジェクト系:修論・学振申請・論文・共同研究など、単位の大きい仕事

Obsidianは「1ノート=1トピック」が基本なので、

  • 1日を追いかけるノート(ログ系)
  • 1回の実験ごとのノート(実験系)
  • 1本の論文ごとのノート(文献系)
  • 1プロジェクトごとのハブノート(プロジェクト系)

に分けておくと、後からリンクでつなぎやすくなります。

本記事では、この4種類をベースにVaultを組み立てていきます。


研究ノート用Vaultの構成はどう設計すればよい?

フォルダ構成はどう分ける?

最低限おすすめなのは、次のようなシンプルな構成です。

/01_Inbox        … 思いつきメモ、あとで整理するノート
/02_Daily        … デイリーログ(研究日誌)
/03_Projects     … 修論・論文・申請書などのハブノート
/04_Experiments  … 実験ノート(1実験1ノート)
/05_Literature   … 論文・書籍・記事の文献ノート
/06_Meetings     … ゼミ・ミーティング・面談メモ
/99_Reference    … 研究方針、SOP、テンプレートなど

ポイントは、「フォルダはノートのタイプ」「プロジェクトはノート間リンクで表現」することです。

  • 実験ノートや文献ノートは、プロジェクトに関わらず、それぞれのフォルダに入れる
  • プロジェクトノートの中から、「関連する実験ノート」「関連する文献ノート」にリンクする

こうすると、1つの実験や1本の論文が、複数プロジェクトから参照されても困りません。

実験ノートそのものの中身(何を書けば再現性が上がるか)は、別記事の
実験ノートの書き方:再現性を高める記録術 で詳しく解説しているので、内容面はそちらと組み合わせると強力です。

プロパティ(YAML)で最低限そろえたい項目は?

Obsidianの「プロパティ」は、後で検索・一覧表示するためのラベルです。
研究ノート用に共通して持たせておくと便利なのは、次のような項目です。

  • type:daily / experiment / paper / meeting / project など
  • date:ノートの主な日付(実験日・読んだ日・開催日)
  • project:紐づくプロジェクト名 or プロジェクトノートへのリンク
  • status:idea / planned / doing / done / archived など
  • tags:分野名、装置名、手法名など

後でDataviewなどのプラグインを使う場合も、このあたりが揃っていれば一覧化がしやすくなります。

リンクとタグの役割分担はどうする?

おすすめは、

  • リンク:個別のノート同士をつなぐ(「この実験はどのプロジェクト?」など)
  • タグ:テーマやラベル(#XRD #SEM #コンクリート など)

という分担です。

  • 「修論A」「学会B」のようなプロジェクトはノートとして作る
  • 文献ノートや実験ノートから、そのプロジェクトノートへリンクする
  • 手法や装置などの横断的な軸は、タグで横串を刺す

この考え方をベースに、次のセクションでテンプレートを用意していきます。


研究ノートのテンプレートは何種類用意すれば良い?

Obsidianを研究ノートとして回すなら、最初は次の4種類のテンプレートがあれば十分です。

  1. デイリー研究ログ
  2. 実験ノート
  3. 文献ノート
  4. ゼミ・ミーティングメモ

ここでは、コピペしてすぐ使える形で紹介します。

1. デイリー研究ログテンプレート

---
type: daily
date: {{date:YYYY-MM-DD}}
weekday: {{date:ddd}}
project_focus: 
mood: 
---

# {{date:YYYY-MM-DD}} の研究ログ

## 今日のフォーカス
- 今日中に絶対終わらせたいこと:

## タスク
- [ ] 実験:
- [ ] 解析:
- [ ] 文献:
- [ ] 事務・雑務:

## 実験・作業ログ
### 時系列メモ
- 09:30 〜 :
- 11:00 〜 :
- 14:00 〜 :
- 17:00 〜 :

## 気づき・メモ
- 仮説やアイデア:
- 問題点・詰まっているところ:

## 今日の振り返り
- できたこと:
- うまくいかなかったこと:
- 明日試したいこと:

Templater を使う場合は {{date:YYYY-MM-DD}} の部分がそのまま動きますが、使わない場合は手入力でも構いません。

2. 実験ノートテンプレート(1実験1ノート)

---
type: experiment
date: {{date:YYYY-MM-DD}}
experiment_id: EXP-{{date:YYYYMMDD}}-01
project: 
status: planned
tags: 
---

# 実験ノート:{{title}}

## 1. 目的
- 何を明らかにしたいか?
- 仮説・期待する結果は?

## 2. 背景・関連ノート
- 関連文献ノート:[[2025-XXXX_論文タイトル]]
- 関連プロジェクト:[[修論_テーマ名]]

## 3. 条件
### 試料・材料
- 試料:
- 試薬:
- ロット・純度・保存条件:

### 装置・測定条件
- 装置名・型番:
- 測定条件(温度・時間・雰囲気など):

## 4. 手順
1. 
2. 
3. 

## 5. 結果
- 生データファイル:`data/2025XXXX_*.csv`
- 図表:![図の説明](path/to/figure.png)

観察・測定値:
- 

## 6. 考察
- 仮説との一致・不一致:
- 予想外だった点:
- 追加で必要な実験:

## 7. 次のアクション
- [ ] 追試・条件変更:
- [ ] 関連文献を調べる:
- [ ] プロジェクトノートに要点を反映:

「何を書くべきか」という中身の方針は、実験ノートの書き方:再現性を高める記録術 の内容を、このテンプレートの各項目にマッピングしていくイメージです。

3. 文献ノートテンプレート(1論文1ノート)

---
type: paper
date: {{date:YYYY-MM-DD}}      # 読んだ日
paper_title: 
authors: 
year: 
journal: 
citekey: 
project: 
tags: 
---

# 文献ノート:{{paper_title}}

## 1. この論文を読んだ目的
- なぜこの論文を読もうと思ったか?
- 自分の研究との関係:

## 2. 要約(3〜5行)
- 
- 
- 

## 3. キーポイント
### 主張・結論
- 

### 方法・条件
- 

### 重要な図・表
- Fig.1:○○の相関
- Fig.3:××の時間変化

## 4. 限界・疑問点
- 実験条件で気になる点:
- 統計処理の妥当性:
- 自分ならここを追加したい:

## 5. 自分の研究への示唆
- まねしたい点:
- 自分の系に適用する場合の注意点:
- 試してみたいフォロー実験:

## 6. 関連ノート
- 関連実験:[[EXP-2025XXXX-01]]
- 関連プロジェクト:[[修論_テーマ名]]
- 似た結果を示した他の論文:[[paper_XXXX]]

Notion側で文献管理をしている人は、
Notionで研究整理:論文管理・読書ノートに役立つブログ&YouTubeまとめ で紹介しているような論文データベースと連携させ、「PDFやメタデータはNotion、読書ノートと考察はObsidian」と役割分担しても良いです。

4. ゼミ・ミーティングメモテンプレート

---
type: meeting
date: {{date:YYYY-MM-DD}}
title: 
members: 
project: 
tags: 
---

# ゼミ・ミーティングメモ:{{title}}

## 1. 概要
- 日時:
- 場所 / ツール(対面 / Zoom など):
- 参加者:

## 2. アジェンダ
- 
- 

## 3. メモ
- 発言や指摘のメモ:
- 気づき:

## 4. 宿題・ToDo
- [ ] 担当者:内容(期日)
- [ ] 担当者:内容(期日)

## 5. 決定事項
- 

## 6. 関連ノート
- 関連プロジェクト:[[修論_テーマ名]]
- 参照した実験・文献:[[EXP-2025XXXX-01]] / [[paper_YYYY]]

テンプレートをObsidianに登録する手順は?

テンプレートは、Obsidianの「テンプレート」機能(コアプラグイン)で簡単に呼び出せます。

  1. テンプレート用フォルダを作る
    例:/99_Reference/Templates
  2. 上で紹介したテンプレートを、それぞれ別ノートとして保存する
    • template_daily.md
    • template_experiment.md
    • template_paper.md
    • template_meeting.md
  3. セッティング → コアプラグイン → Templates を有効化し、
    • Template folder location に 99_Reference/Templates を指定
    • 必要なら「新規ノートに自動挿入」「ホットキー」も設定
  4. 新規ノート作成後、コマンドパレットで「テンプレートを挿入」を実行し、使いたいテンプレートを選ぶ

慣れてきたら、Templater プラグインで {{date}} などの変数を自動化すると、さらに入力が楽になります。


1日の研究をObsidianで回すワークフロー例(データ・事例)

ここでは、実験系M2をイメージした1日の流れを例として示します。

朝:デイリーログで「今日のゴール」を決める

  • 02_Daily フォルダに新しいデイリーログを作成し、テンプレートを挿入
  • その日にやる実験・解析・文献をざっと書き出し、「絶対終わらせたいこと」を1〜2個だけ決める
  • 前日のログから、持ち越しタスクをコピーしてくる

日中:実験中は「実験ノート」に直接書く

  • 実験を始める前に 04_Experiments に新規ノートを作り、実験テンプレを挿入
  • 条件・手順を先に埋めておき、結果・観察はその都度追記していく
  • 生データファイルのパスや図のファイル名も、その場で貼る

作業の細かい時系列ログはデイリーログ側、実験の条件・結果・考察は実験ノート側、という役割分担にしておくと、後から見返しやすくなります。

合間:文献を読んだらその場で文献ノートを1枚作る

  • 新しい論文を読んだら、05_Literature にノートを作成
  • まずは「この論文を読んだ目的」と「3〜5行要約」だけ埋める
  • 時間があるときに、キーポイントや自分の研究への示唆を追記する

夕方:ミーティングメモと「1日の振り返り」

  • 研究室ミーティングや指導教員との面談があったら、その都度 06_Meetings にノートを作って残す
  • その日の最後にデイリーログに戻り、「できたこと/できなかったこと」「明日やること」を書き出してから終了

この流れを数週間続けると、

  • 特定のプロジェクトノートから
    → 関連する実験ノート
    → その実験の元ネタになった文献ノート
    → それを議論したミーティングメモ

という形で、**研究の「ストーリー」を時間順に追えるようになります。


Obsidianで研究ノートを続けるコツと落とし穴は?

テンプレートの項目を増やしすぎない

最初から「全部入り」のテンプレートを作ると、記入が面倒になって続きません。
特に、文献ノートやミーティングメモは、

  • 「目的」
  • 「要約」
  • 「自分への示唆」

の3セクションだけでも十分実用的です。足りなくなったら少しずつ項目を増やす方が長続きします。

ファイル名と experiment_id を一貫させる

実験ノートは、ファイル名と experiment_id を揃えると管理が楽です。

  • ファイル名:EXP-20251201-01_配合A_圧縮試験
  • experiment_id: EXP-20251201-01

このルールを守るだけで、ファイル検索やデータフォルダの命名も自然と揃います。

「Inboxノート」を必ず用意する

移動中や実験の合間に思いついたことを、すぐ書ける場所が必要です。
01_Inbox に「Untitledメモ」が溜まっていくのは普通なので、週に1回だけ整理する時間を決めて、必要なものを各フォルダに移動していきましょう。

Vaultを分けるかどうかは「検索性」で決める

研究用とプライベート用のメモを同じVaultに入れるかどうかは、好みが分かれます。
「検索したときに余計なノートがたくさん出てきて邪魔になる」と感じるなら、研究用Vaultを分けてしまった方がストレスが少ないケースも多いです。


Obsidian研究ノート運用に関するFAQ

Q1. 研究用Vaultとプライベート用Vaultは分けるべきですか?

どちらでも構いませんが、検索したときのノイズで考えるのがおすすめです。
研究キーワードで検索したときに、日記や買い物メモが大量に出てきて邪魔だと感じるなら、研究用Vaultを分ける価値があります。逆に、すべての情報を一箇所に集約したい人は、タグで「#research」「#private」を分けて同一Vaultで運用しても問題ありません。

Q2. 研究室メンバーとObsidianノートを共有したい場合は?

Obsidian自体には「Google Docs 的な共同編集機能」はありません。
研究室で共有したいのは、たいてい「SOPや装置の使い方、共通プロジェクトの要点」なので、共有したいノートだけをGitやクラウドストレージで同期し、編集権限を絞るのが現実的です。個人のデイリーログやメモは、自分のローカルVaultに閉じておいて構いません。

Q3. 紙の実験ノート提出が必須な場合、Obsidianはどう使う?

その場合でも、Obsidianは設計図とコピーとして役立ちます。

  • まずObsidian上の「実験ノートテンプレート」に沿って内容を整理
  • 実験中は紙のノートに記録
  • 実験後に、要点だけObsidianの実験ノートに写経し、関連文献やプロジェクトとリンクさせる

とすると、「紙ノートは公式な記録、Obsidianは検索しやすい自分用データベース」という役割分担になります。

Q4. プロジェクトが増えてVaultがカオスになってきました…

プロジェクト専用のフォルダを増やすのではなく、プロジェクトノートを1枚作ってハブにするのがおすすめです。
03_Projects フォルダの中に、修論_テーマA論文_○○学会2026 のようなノートを作り、その中で「関連実験」「関連文献」「関連ミーティング」をリンク一覧にしておきます。フォルダは増やさず、リンクで構造を作るイメージです。

Q5. 解析コード(Python, Jupyter Notebook など)とはどうリンクすればよいですか?

一番簡単なのは、

  • 実験ノートやプロジェクトノートの中に、コードファイルへの相対パスを書く
  • 重要なスクリプトだけは、コードの概要・入力と出力・注意点をまとめた「コード解説ノート」を作る

という二段構えです。
Jupyter Notebook なら、notebooks/2025XXXX_analysis.ipynb のようにファイル名を統一し、そのパスをノートに貼っておくと、後からどのコードで図を作ったか追いやすくなります。


まとめ:自分用研究ノートテンプレートを今日決めよう

この記事では、Obsidianを研究ノート専用に使うためのVault設計とテンプレート例を紹介しました。最後に、今すぐできる次の一歩を整理します。

  1. フォルダ構成とプロパティを決める
    01_Inbox〜06_Meetings のようなシンプルな構成を作り、type / date / project だけでも共通のプロパティを設定しておきます。
  2. 4種類のテンプレートをコピペして登録する
    デイリーログ・実験ノート・文献ノート・ミーティングメモのテンプレートを作り、Templatesプラグインからすぐ呼び出せる状態にします。
  3. 明日からの研究をObsidian中心で記録してみる
    まずは「明日のデイリーログ」と「次にやる実験」のノートを、この記事のテンプレを使って1セット作ってみてください。

Obsidian自体の使い方や参考になる事例は、
Obsidianで研究ノートと文献整理を最適化するブログ&YouTubeまとめ にまとめてあります。
そちらで情報源を押さえつつ、本記事のテンプレートで自分のVaultを育てていけば、「研究生活そのものがObsidianの中で追える状態」に近づいていきます。

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