Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Research on mechanical properties of UHPC under triaxial compression
超高性能コンクリート(UHPC)は、その卓越した強度、耐久性、および緻密な組織から、現代の建設分野において次世代の主要材料として注目を集めている。しかし、従来のコンクリートとは異なる特性を持つUHPCの多軸応力下、特に三軸圧縮状態での機械的挙動については、その詳細な理解と信頼性の高い構成モデルが依然として不足しているのが現状である。UHPCの優れたポテンシャルを最大限に引き出し、安全かつ効率的な設計・施工に繋げるためには、複雑な応力状態における挙動を正確に把握し、これを予測する構成則の確立が不可欠であった。本研究は、この重要な課題に対応し、UHPCの信頼性の高い設計・解析基盤の確立を目指したものである。
本研究では、UHPCの三軸圧縮下での機械的特性を詳細に解明するため、一連の実験プログラムが実施された。直径50mm、高さ100mmの円筒形UHPC供試体を用い、0MPaから40MPaまでの様々な拘束圧と、0%から3%までの異なる鋼繊維含有量の下で三軸圧縮試験が行われた。供試体の破壊モード、応力-ひずみ応答、ピーク応力、およびピークひずみが詳細に分析された。その結果、拘束圧の増加はUHPCのピーク応力を顕著に向上させ、材料の延性も大幅に高めることが明らかになった。一方、鋼繊維の含有量は、主に材料のピーク後の挙動、すなわち軟化特性や残存強度を改善することが示された。これらの知見は、UHPCの多軸応力下での挙動が従来のコンクリートとは異なる独自のメカニズムを持つことを明確に示唆している。
これらの実験データに基づき、研究チームはUHPCの三軸強度を正確に予測するための新たな破壊規準を提案した。具体的には、修正されたMohr–Coulomb規準とWillam–Warnke規準を開発し、これらがUHPCの挙動を精度良く表現できることを実証した。さらに、UHPCのピーク応力に達するまでのポアソン比の進化を記述する新しい構成式が導き出され、これも実験結果と良好な一致を示すことでその妥当性が検証された。本研究で得られた知見と開発されたモデルは、複雑な応力状態におけるUHPCの構成モデル化のための信頼性の高い基盤を提供する。これにより、UHPCを用いた構造物の設計や数値解析における信頼性が飛躍的に向上し、橋梁や高層建築物など多岐にわたる建設分野での応用をさらに加速させ、より安全で耐久性の高いインフラ構築に貢献することが期待される。
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Study of the effect of CaO activator on the properties of cement-based composite materials that incorporate ferrous extraction tailings of nickel slag
産業廃棄物であるニッケルスラグの鉄分抽出残渣(FETNS)は、その適切な処理と有効活用が長年の課題の一つである。近年、環境負荷低減と資源循環の観点から、FETNSをセメント系複合材料に利用する試みが注目されていますが、その低い反応性や重金属溶出のリスクが実用化への障壁でした。このような背景の下、本研究はFETNSの反応性を高める効果的な活性剤として酸化カルシウム(CaO)に着目し、その影響を詳細に分析することで、FETNSをセメント代替材として利用する新たな可能性を開拓しました。
本研究では、セメントの一部をFETNSで最大30%まで置換した複合材料を調製し、FETNS単独添加の場合とCaOを添加した場合について、凝結時間、自己収縮、乾燥収縮、圧縮強度といった基本的な力学特性を比較評価しました。さらに、X線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、熱重量分析(TG-DTG)など、多岐にわたる先進的な分析手法を駆使し、材料内部の反応生成物、水和プロセス、細孔構造、さらには元素溶出挙動を包括的に調査しました。この多角的なアプローチは、CaOがFETNSとセメント系材料に及ぼす影響メカニズムの深い解明を可能にしました。
研究の結果、CaOの添加はFETNSの初期反応性を顕著に向上させることが明らかになりました。特に、CaO添加群(FCC)では初期凝結時間と終結凝結時間がFETNS単独添加群(FC)と比較してそれぞれ約46%と51%も大幅に短縮され、材料の初期硬化が加速されることが確認されました。また、材料の力学特性においても顕著な改善が見られ、FETNSを25%置換した場合、3日圧縮強度はFC群より42.06%も増強されました。これは、CaOが水和反応を促進し、N-A-S-HやC-A-S-Hゲルなどの水和生成物の形成を促すことで、内部構造の緻密化に貢献していることが微視的分析によって示唆されました。一方で、CaO添加は初期の乾燥収縮および自己収縮を増加させる傾向がありましたが、養生期間の延長とともにこの収縮の差は徐々に減少することが示されています。さらに特筆すべきは、環境面での画期的な成果です。溶出試験の結果、CaOはCrやMnといった重金属の溶出を効果的に抑制し、その濃度を規制値よりもはるかに低いレベルにまで低減することに成功しました。これは、特定の金属元素の中和と水和反応促進によるゲル形成が、重金属の固定化に寄与していることを示唆しています。
これらの画期的な発見は、ニッケルスラグの鉄分抽出残渣という産業廃棄物をセメント代替材料として安全かつ高性能に利用するための実用化に向けた大きな一歩を意味します。CaOを活性剤として用いることで、これまで二律背反しがちであった初期強度の向上と環境負荷の低減という課題を同時に解決できる可能性を示唆しました。本研究は、建設材料分野における産業廃棄物の有効活用と持続可能な社会の実現に大きく貢献するものであり、今後のさらなる研究と技術開発を通じて、実現場への応用が強く期待されます。
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Experimental and numerical simulation study on dynamic compression performance of concrete materials in reinforced coral aggregate seawater concrete structure
鉄筋コンクリート構造物の防護設計において、コンクリートの衝撃圧縮性能は極めて重要です。しかし、従来の性能評価は、実験室で作製される鋳造(キャスト)供試体を用いて行われてきました。この試験結果が、実際の構造物内で拘束されたコンクリートの衝撃挙動をどの程度正確に反映しているかは、設計の信頼性と安全性に影響する課題でした。特に、資源制約地域で持続可能な建設材料として注目される「サンゴ骨材海水コンクリート(CASC)」については、その動的特性の詳細な解明が求められていました。
本研究は、この課題に対し、実際の鉄筋サンゴ骨材海水コンクリート梁から採取したコア供試体と、同配合の鋳造CASC供試体を用いて、衝撃圧縮荷重下での機械的挙動を詳細に比較評価しました。普通ポルトランドセメントを塩基性硫酸マグネシウムセメント(BMSC)に置き換えたCASC(BMSC-CASC)も検討し、実験と数値シミュレーションから、CASCの全体的な破壊モードや構成要素の微視的な破壊特性を分析しています。その結果、コア供試体は鋳造供試体と比較して、ピーク応力がCASCで約20%、BMSC-CASCで約35%低下することが明らかになりました。また、同一ひずみ速度条件下では、動的増強係数(DIF)の減少とピークひずみの大幅な増加が確認されました。これは、鋳造供試体のDIF値がコア供試体よりも著しく高いため、強度等級や種類に応じたDIF補正式の見直しが必要であることを示唆しています。数値シミュレーションからは、亀裂がセメントペーストと骨材の界面移行帯(ITZ)で発生し、骨材内部へと伝播した後、最終的に供試体全体を貫通して破壊に至る微視的メカニズムが解明されました。
これらの画期的な知見は、従来の鋳造供試体を用いた試験結果が、実際の鉄筋コンクリート構造物内のコンクリートの衝撃圧縮性能を過大評価する可能性を示唆します。従来の防護設計における安全マージンや評価基準の見直しを促し、実際の構造条件に近いコア供試体を用いた動的特性評価の重要性を再認識させます。本研究成果は、将来の鉄筋コンクリート構造物の防護設計において、より信頼性の高い評価手法の確立に貢献します。さらに、サンゴ骨材海水コンクリートのような持続可能な建設材料の特性を正確に把握し、その最適な設計や施工方法を確立するための貴重な指針となり、持続可能な社会の実現へ寄与することが期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)