Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Additive manufacturing of hybrid straw-soil-cement materials for enhanced mine models
鉱山開発における安全性と効率の確保は工学分野の重要な課題であり、地質構造や採掘方法の影響を正確に予測することが不可欠です。これまで物理モデルシミュレーションが活用されてきましたが、従来の製造手法では、複雑な地形や地質、構造物との相互作用を精緻に再現するには限界がありました。近年、3Dプリンティング技術の進展は、高精度かつ複雑なモデルを迅速に製造する可能性を提示し、鉱山物理モデル構築の新たな手法として注目されています。しかし、実際の地盤材料が持つ多様な機械的特性や、環境に配慮した材料選択といった側面において、既存の3Dプリンティング材料では実物に近い挙動を再現することが困難でした。特に、極限状態での損傷や崩壊メカニズムを忠実に模倣できる材料の開発が求められていました。
こうした背景のもと、本研究は、麦わら、土、セメントを組み合わせた新しいハイブリッド複合材料を3Dプリンティング用の材料として提案し、石炭鉱山の物理モデル構築に適用した点で画期的な成果をもたらしました。研究チームは、この複合材料が持つ印刷適性と、3Dプリントされた鉱山モデルに求められる機械的特性を両立させるため、麦わら、土、セメント、水の最適な混合比率を確立しました。さらに、モデル内の重要な支持コンポーネントであるロックボルトやU字型アーチについては、異なる材料特性を正確に再現するため、ステンレス鋼ベースとPLA(ポリ乳酸)ベースの二つの異なる3Dプリンティング技術を使い分けました。これにより、モデル全体の機械的応答がより現実に即したものとなるよう工夫されています。農業廃棄物である麦わらを有効活用することで、環境負荷の低減にも貢献する持続可能な材料開発という側面も併せ持ちます。
本研究で開発されたハイブリッド複合材料と最適化された3Dプリンティング技術を用いて、実際のゴブ側坑道掘削システムを精密に考慮した縮尺石炭鉱山モデルが構築されました。このモデルの機械的特性評価の結果、極端な荷重条件下において、実際の工学ケースで発生する損傷シナリオや崩壊メカニズムを高い精度で再現できることが実証されました。これは、単なる形状の模倣に留まらず、材料レベルでの挙動が実際の地盤や構造物の応答を正確に反映することを示唆します。この革新的な3Dプリンティングによる鉱山モデル構築方法は、実際の鉱山設計における安全性評価やリスク管理の精度を大幅に向上させる可能性を秘めています。さらに、本アプローチは石炭鉱山モデルに限定されず、広範な土木工学や地盤工学分野における様々な物理モデルの構築にも応用可能であり、将来的な工学的問題解決への貢献が期待されます。
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Autogenous shrinkage of alkali-activated slag cement activated by weakly alkaline components
近年、持続可能な社会の実現に向けて、セメント製造に伴う大量のCO2排出を削減するため、高炉スラグなどの産業副産物を活用したアルカリ活性スラグセメント(AASC)が注目を集めています。AASCは、複合弱アルカリ成分を用いることで、適切な凝結時間と優れた機械的特性を発現するものの、硬化過程で生じる自己収縮がひび割れや耐久性低下の原因となる点が課題でした。特に、様々な種類の弱アルカリ活性剤を組み合わせた際の自己収縮への影響とその根本的なメカニズムについては、まだ十分に解明されていませんでした。本研究は、炭酸ナトリウム(SC)、硫酸ナトリウム(SS)、反応性酸化マグネシウム(R-MgO)、水酸化カルシウム(CH)を複合アルカリ活性剤として用い、AASCの自己収縮に及ぼす各成分の影響とそのメカニズムを詳細に解析しました。
本研究では、複合アルカリ活性剤の組成がAASCの自己収縮に与える影響を詳細に調査し、そのメカニズムを解明しました。分析の結果、硫酸ナトリウム(SS)と炭酸ナトリウム(SC)の含有量が増加するにつれて、AASCの自己収縮が顕著に減少することが明らかになりました。SSはAASCの水和反応を遅延させ自己収縮の発生を遅らせ、エトリンガイト形成を促進します。SCは炭酸カルシウムの生成を助け、これら生成物は剛性を提供し、細孔構造を微細化することで(ミクロポア増加、メソポア減少)、自己収縮を効果的に抑制するメカニズムを明らかにしました。一方で、反応性酸化マグネシウム(R-MgO)および水酸化カルシウム(CH)の含有量が増加すると、AASCの水和プロセスが著しく加速され、結果として自己収縮が増大する傾向が見られました。R-MgOとCHは微膨張性のヒドロタルサイト形成にも寄与し自己収縮抵抗性をもたらしますが、水和加速による強い収縮効果がその抑制効果を相殺する複雑なメカニズムが示唆されました。このように、各活性剤が自己収縮に与える多様な影響と、それらが水和生成物や細孔構造に及ぼす複雑な作用を詳細に解明した点が本研究の重要な新規性です。
これらの知見に基づき、本研究は低自己収縮を実現するための最適なアルカリ活性剤の複合配合を特定しました。具体的には、硫酸ナトリウム7%、炭酸ナトリウム4〜5%、反応性酸化マグネシウム4%、水酸化カルシウム4〜5%の配合が、7日間の自己収縮率を1.9〜2.2 mL/100 gという極めて低い値に抑えられることを示しました。この成果は、AASCの実用化における最大の課題の一つであった自己収縮の抑制に大きく貢献するものです。自己収縮の低減は、構造物のひび割れ発生リスクを抑制し、長期的な耐久性と安全性の向上に不可欠です。本研究で得られた最適な配合技術は、環境負荷の低いAASCの建設材料としての普及を加速させ、持続可能な社会の実現に大きく貢献することが期待されます。今後は、この最適配合によるAASCの長期的な自己収縮挙動や、実際の建設環境下での性能評価、さらには他の物理的・化学的特性とのバランスを考慮した研究が重要となるでしょう。
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Maximizing sustainability and performance in asphalt mixtures using hydrothermal bio-oil and recycled aggregates through balanced mix design approach
アスファルト舗装は現代社会のインフラに不可欠である一方で、天然資源消費、製造時の温室効果ガス排出、そして舗装自体の早期劣化といった課題に直面している。持続可能な社会への移行が求められる中、これらの環境負荷と経済的負担の低減は喫緊の課題だ。これまで、再生アスファルト材料の利用や植物由来のバイオバインダーの開発は個別に研究されてきたが、高含有量のリサイクル骨材や再生アスファルトバインダー(RAB)に熱水バイオオイルを組み合わせ、その総合的な性能を「バランス配合設計(Balanced Mix Design: BMD)」の枠組みで評価した研究は限られていた。アスファルト混合物には、ひび割れ耐性、流動変形耐性、耐湿性といった複数の特性が高水準で両立することが求められ、単一性能改善に留まらない包括的なアプローチが不可欠だった。
本研究は、この課題解決を目指し、熱水バイオオイルと高含有量のリサイクル骨材を統合することで、アスファルト混合物の持続可能性とパフォーマンスをBMDアプローチを通じて最大化することに焦点を当てた。具体的には、使用済みコーヒー粕由来の熱水バイオオイル(20%)、RAB(30%)、バージンバインダー(50%)からなるハイブリッドバインダーを開発。これを30%から100%のリサイクル骨材と組み合わせた混合物を調製し、詳細な性能評価を実施した。化学分析の結果、バイオオイル導入はバインダー中のアスファルテン減少と芳香族成分増加を促し、再生アスファルトで失われがちな延性を回復させ凝集力を向上させる「若返り効果」を持つことを明らかにした。混合物スケールでの評価では、この効果が性能向上に寄与し、バージン混合物と比較して、柔軟性指数が18%増加、破壊エネルギーも約10%向上という耐ひび割れ性の大幅な改善をもたらした。
特に、リサイクル骨材含有率50%の混合物(R50)は、最高のクリープ弾性率と優れた耐流動変形性、そして耐ひび割れ性を両立する最適な性能バランスを達成した。長期劣化後も高い耐湿性を示している。経済的および環境的分析では、R50混合物が従来の混合物と比較して、温室効果ガス排出量を26.5%削減し、総コストも22.1%削減可能と判明した。これは、材料調達の最適化と製造時の熱エネルギー要件の低減によるものだ。これらの成果は、バランス配合設計(BMD)アプローチが、再生可能なバイオ資源と高含有量のリサイクル材を統合し、機械的信頼性を高めつつ、環境負荷とコストを大幅に削減できる実現可能な戦略であることを確立するものだ。本研究は、アスファルト舗装産業における持続可能性とパフォーマンスの向上に向けた新たな道筋を示し、資源循環型社会の構築に大きく貢献する。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)