Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Degradation behavior of early-age frozen mortar under the combined effects of sulfate attack and freeze-thaw cycles
寒冷地におけるコンクリート構造物の耐久性確保は、その安全性と経済性を左右する喫緊の課題です。特に、建設初期に遭遇する凍結は、モルタルの品質に不可逆的な影響を及ぼし、その後の過酷な環境下での劣化を加速させる要因となります。従来の研究では、硫酸塩による化学的侵食や凍結融解作用といった個別の劣化メカニズムに焦点が当てられてきましたが、現実の環境下ではこれらの要因が複合的に作用することが多く、さらに初期凍結という特殊な条件下での複合劣化挙動については、十分に解明されていませんでした。このような知識のギャップは、寒冷地におけるコンクリート構造物の長期的な性能評価や、効果的な耐久性設計を阻害する要因となっており、その詳細な解明が求められていました。
このような背景を受け、最新の研究では、建設初期に凍結したモルタルが硫酸塩攻撃と凍結融解サイクルの複合影響下での劣化挙動を包括的に解析しました。本研究は、モルタルの凍結開始時間、凍結期間、繊維添加が複合劣化に与える影響を詳細に検討した点で新規性があります。複合劣化サイクルの増加は、モルタルの機械的特性低下と微細構造への深刻な損傷を引き起こし、凍結開始が早いほど、また凍結期間が長いほど劣化が加速されることが確認されました。しかし、この過酷な劣化に対する有効な対策も同時に見出されました。具体的には、玄武岩繊維(BF)とポリビニルアルコール(PVA)繊維をモルタルに添加することで、複合劣化に対する耐性が大幅に向上することが明らかになりました。特に注目すべきは、これら両繊維をそれぞれ0.1%ずつ同時に配合した場合に最も優れた相乗効果が発揮された点です。この最適な配合では、複合劣化の最終段階においても、圧縮強度の低下はわずか13.71%、曲げ強度の低下は11.17%、質量損失率も2.18%に抑えられるという優れた耐久性を示し、繊維による損傷抑制と健全性維持効果が示唆されました。さらに、本研究では、モルタルの相対動弾性係数と損傷層厚さを予測するモデルを開発し、その高い精度を実証しました。微視的分析では、劣化に伴う気孔率増加や水酸化カルシウム含有量の減少といった微細構造変化が捉えられ、劣化メカニズム理解に貢献します。
本研究成果は、寒冷地におけるコンクリート構造物の耐久性設計と保護技術に、極めて重要な理論的・技術的基盤を提供します。初期凍結リスク評価や効果的な繊維補強材の活用法が具体的に示されたことは、寒冷地工学における構造物の安全性と信頼性向上に大きく貢献します。既存構造物の耐久性評価の理論的基礎としても活用でき、寒冷地社会インフラの持続可能性を支える上で多大な意義を持ちます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Assessing the mechanical properties, frost resistance, and microstructure of steel slag powder incorporated roadbeds foamed concrete
今日の建築・土木分野における重要な課題の一つは、産業廃棄物の効果的な再利用と、それに伴う建設材料の高性能化、特に厳しい環境条件下での耐久性向上です。製鉄プロセスで副産物として大量に排出される製鋼スラグは、その有効活用が長年の課題となっており、環境負荷低減と資源循環型社会の実現に向けて、新たな利用方法の開発が求められています。この背景のもと、路盤材として利用されるフォームコンクリートに製鋼スラグ粉を配合し、その機械的特性と凍結融解環境下での耐凍害性を詳細に評価する研究が注目されています。
今般発表された研究では、粒度200メッシュに調整した製鋼スラグ粉を異なる割合で添加した6種類の路盤用フォームコンクリート(SRFC)を製造し、その材料特性を系統的に調査しました。特に、製鋼スラグ粉の含有量がSRFCの圧縮強度や凍結融解に対する抵抗性にどのように影響するかを解明することに焦点を当てています。さらに、X線コンピュータ断層撮影(X-CT)やX線回折(XRD)といった高度な微細構造分析技術を駆使し、材料の内部構造変化と性能変化の根本的なメカニズムを詳細に探求しました。実験の結果、SRFCの圧縮強度は製鋼スラグ粉の添加量に依存し、最適含有量である10%(SRFC10)で最大値を示しました。この初期の強度向上は、製鋼スラグ粉がフォームコンクリート内部の気孔構造を最適化し、気孔径分布の均一化、球形度の向上、およびフラクタル特性の改善に寄与していることがX-CT分析によって明らかになりました。しかし、製鋼スラグ粉の含有量が10%を超えると、圧縮強度は直線的に低下することが判明しました。これは、製鋼スラグ粉が反応性の低い火山灰成分を限定的にしか含まず、不活性な相が豊富であるため、過剰な添加はセメント質の結合成分の割合を相対的に減少させ、水和反応を阻害するためであると結論付けられました。また、厳しい凍結融解条件下での耐久性評価では、SRFC10が優れた性能を示すことが確認されました。対照群である通常のフォームコンクリート(FC)と比較して、SRFC10の質量損失率はFCのわずか44.28%に抑えられ、圧縮強度損失率もFCの78.23%にとどまりました。この顕著な差は、製鋼スラグ粉を最適量配合することで、路盤用フォームコンクリートの耐凍害性が大幅に向上することを示しています。
本研究の成果は、製鋼スラグという産業廃棄物を高付加価値な建設材料へと転換させる道を拓くものです。特に、凍結融解が頻繁に発生する寒冷地の道路建設において、製鋼スラグ粉を配合した路盤用フォームコンクリート(SRFC)は、その優れた機械的特性と耐凍害性から、持続可能で高性能な路盤材として広く適用される可能性を秘めています。これは、環境問題への貢献と、インフラの長寿命化という二重の意義を持ち、今後の実用化に向けた重要な基盤を提供するものと言えるでしょう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Compressive behavior of seawater sea sand concrete (SSC) composite columns with dual-functional C-FRCM jacket under eccentric loading
建設業界では、淡水や砂資源の枯渇が深刻化しており、持続可能な建設材料の探求が喫緊の課題となっています。この問題への解決策として、海水を練り混ぜ水に、海砂を骨材に用いる「海水海砂コンクリート(SSC)」が注目されています。しかし、SSCはその高い塩分含有量ゆえに、内部の鉄筋腐食を引き起こしやすく、これが構造物の耐久性や安全性を著しく損なうという大きな課題を抱えています。従来の防食技術や構造補強技術では、これらの複合的な問題を包括的に解決することが困難であり、塩害環境下におけるSSC構造物の長期的な信頼性を確保するためには、新たな統合的アプローチが求められていました。
このような背景のもと、本研究は、耐久性と機械的性能の両面からSSC構造物の性能を向上させる革新的なアプローチを提案しています。具体的には、海水海砂コンクリート製の柱に、炭素繊維強化セメント系複合材料(C-FRCM)製のジャケットを施し、これに「電気防食(ICCP)」機能を統合した「二重機能SSC複合柱」を開発しました。この複合柱は、塩害による鉄筋腐食を抑制するICCPと、構造物の強度や剛性を向上させる「構造強化(SS)」という二つの機能を同時に担うことで、従来の課題を一挙に解決することを目指しています。研究では、この複合柱の偏心荷重下での圧縮挙動を詳細に評価するため、偏心量、電流密度、ICCP適用期間、電荷量といった多様なパラメータを変えながら、合計14体の試験体を用いた広範な実験を実施しました。
実験結果は、この二重機能SSC複合柱が期待通りの性能を発揮したことを明確に示しています。開発されたICCPシステムは、鉄筋腐食を最大で67%も抑制するという高い防食効果を実証し、C-FRCMジャケットは、複合柱の耐荷力を最大12.4%、剛性を最大34.9%、変形能力を最大15.1%向上させました。これにより、腐食保護と構造強化という二重機能が効果的に実現されることが確認されました。しかしながら、ICCPの電流密度、適用期間、電荷量が増加するにつれて、複合柱の構造性能がわずかに低下する傾向も確認され、特に電荷量がこの性能低下の主要因であることが特定されました。これは、ICCPの実用化における最適化の必要性を示唆する重要な知見です。さらに、本研究では複合柱の圧縮挙動を予測するための高精度な理論計算式が提案され、その平均誤差は7%と低く、かつ安全側に評価される保守的な結果を示しました。これらの知見は、海水海砂コンクリートを安全かつ持続的に建設材料として利用するための画期的な技術的基盤を提供するものであり、淡水・砂資源の保全、建設コストの削減、そしてインフラの長寿命化に大きく貢献すると共に、今後の設計指針や実用化に向けた重要な一歩となることが期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)