AIニュース|2025-12-31 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Reactive components and alkali leaching behavior of lunar regolith simulant for geopolymer production

人類の月面探査計画が本格化し、将来的な月面基地の建設や長期滞在が現実味を帯びる中、地球からの物資輸送に伴う莫大なコストと物流の課題は、持続可能な宇宙開発を実現する上で大きな障壁となっています。この困難を克服するために、現地資源利用(In-Situ Resource Utilization, ISRU)の概念が極めて重要視されており、月面に豊富に存在するレゴリス(月の表土)を建設材料として活用する研究が活発に進められています。中でも、レゴリスを原料としたジオポリマーは、セメントに代わる次世代の建設材料として大きな注目を集めています。ジオポリマーは、高い強度、優れた耐熱性、化学的安定性を持つだけでなく、製造時のエネルギー消費がセメントに比べて格段に少ないという環境負荷の低さも特長として挙げられます。しかし、月面のレゴリスは地球上の鉱物とは組成や構造が異なるため、ジオポリマーの原料として適切に活用するためには、その物質特性、特にジオポリマー化反応における化学的挙動を詳細に理解することが不可欠でした。

このような背景のもと、本研究は月面レゴリスのジオポリマー生産における課題に焦点を当て、その基礎的な物質特性を包括的に解明した点に新規性があります。具体的には、月のレゴリス模擬物質を用いて、ジオポリマーの骨格形成に寄与する「反応性成分」の特定と、ジオポリマー化を促進するアルカリ活性剤がレゴリスから特定の元素を溶出させる「アルカリ浸出挙動」の詳細な評価が行われました。研究の結果、レゴリス模擬物質中に含まれる特定の鉱物成分がジオポリマー化反応において重要な役割を果たすこと、そしてアルカリ活性剤の種類や濃度によって、ケイ素やアルミニウムといった骨格を形成する主要元素の溶出挙動が大きく異なることが示唆されました。これらの知見は、月面レゴリスを原料とするジオポリマーの製造プロセスを最適化するために不可欠な情報であり、レゴリスの組成に応じた最適なアルカリ活性剤の選定や反応条件の設定を可能にするための科学的基盤を提供するものです。

本研究の成果は、将来の月面探査や基地建設に向けた建設技術の確立に極めて重要な意義を持ちます。月のレゴリスの反応性成分とアルカリ浸出挙動に関する詳細な理解は、月面環境下で高品質かつ安定したジオポリマーを効率的に製造するための設計指針を与えるものです。これにより、地球から建設資材を運ぶことなく、現地でコンクリート構造物をはじめとするインフラを構築する道が開かれるため、宇宙ミッションの費用対効果を劇的に改善し、持続可能な月面活動の実現に大きく貢献します。最終的には、月面での人類の長期滞在、科学探査の拠点構築、さらには月面資源の有効活用に向けた産業基盤の構築に不可欠な基盤技術として、その発展に寄与するものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Performance of geopolymer pervious concrete using red ceramic waste as a partial substitute for metakaolin

現代社会において、建築材料が環境に与える負荷、特にセメント製造に伴う大量の二酸化炭素排出や、天然資源の枯渇、そして増え続ける産業廃棄物の処理は、地球規模での喫緊の課題となっています。こうした背景から、環境負荷の低い代替材料の開発は持続可能な社会を築く上で不可欠であり、セメントを使用しない「ジオポリマーコンクリート」がその有力な選択肢として注目を集めています。ジオポリマーコンクリートは、産業副産物や廃棄物を原料とすることで、炭素排出量を大幅に削減できるという利点があります。同時に、都市部の集中豪雨対策やヒートアイランド現象の緩和、地下水涵養といった機能を持つ「透水性コンクリート」への需要も高まっており、これら二つの技術の融合は、都市インフラの持続可能性を向上させる上で極めて重要です。しかし、ジオポリマーコンクリートの主要な原料の一つであるメタカオリンは、時に高価であったり、特定の地域での入手が困難であったりする点が課題とされています。

このような課題に対し、本研究は産業廃棄物である「赤色セラミック廃棄物」を、ジオポリマー透水性コンクリートのメタカオリン代替材料として利用する新たなアプローチを提示しています。これは、未利用の廃棄物を高付加価値の建築材料へと転換し、資源の循環利用を促進する点で画期的な試みと言えます。研究では、赤色セラミック廃棄物をメタカオリンの一部として系統的に置き換え、製造されたジオポリマー透水性コンクリートの様々な性能、具体的にはその透水性、圧縮強度、曲げ強度といった物理的および機械的特性を詳細に評価したと考えられます。これにより、廃棄物由来の代替材料を使用した場合に、従来のジオポリマーコンクリートや透水性コンクリートが持つ性能基準を満たし、あるいはそれを上回るような最適な配合条件や効果を明らかにしたと推察されます。

この研究の成果は、複数の側面から社会に大きな意義をもたらします。第一に、セメントの使用量を削減することで、製造工程における二酸化炭素排出量を大幅に抑制し、気候変動対策に貢献します。第二に、大量に発生する赤色セラミック廃棄物を有効活用することで、埋め立て地の削減や廃棄物処理コストの低減につながり、資源の循環型社会(サーキュラーエコノミー)の実現を加速させます。経済的観点からは、高価なメタカオリンの一部を安価な廃棄物で代替することにより、ジオポリマーコンクリートの製造コストを削減し、その市場普及を促進する可能性を秘めています。さらに、透水性という機能を持つことで、都市の雨水管理能力を向上させ、洪水リスクの軽減や都市型ヒートアイランド現象の緩和にも貢献。このように、本研究は環境、経済、社会の各側面において多大な貢献を期待できる、持続可能でレジリエントな未来の都市インフラ構築に向けた重要な一歩と言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Recycled concrete aggregates in geopolymer mortars: Performance and environmental assessment

建設産業は、世界経済の発展を支える一方で、大量の天然資源の消費と膨大な建設廃棄物の排出という、深刻な環境課題に直面しています。中でも、コンクリートの主成分であるセメントの製造過程で排出される二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化の主要因の一つとされ、その環境負荷の軽減は喫緊の課題です。また、天然骨材の採取による資源枯渇や生態系への影響も懸念されており、持続可能な社会の実現には、建設廃棄物の有効活用と環境負荷の低い代替材料の開発が不可欠とされています。そうした背景から、フライアッシュや高炉スラグといった産業副産物を原料とし、セメント製造に比べてCO2排出量を大幅に削減できる「ジオポリマー」は、次世代のグリーン建材として大きな期待が寄せられています。

このような状況の中、最新の研究では、このジオポリマー技術と建設廃棄物から得られる「再生コンクリート骨材(RCA)」を組み合わせるという、極めて画期的なアプローチが提示されました。本研究の最大の新規性は、既存のコンクリート構造物の解体時に発生する再生骨材を、セメントフリーのジオポリマーモルタルの骨材として活用することで、資源循環と低炭素化という二つの環境目標を同時に追求する点にあります。研究ではまず、この再生骨材を組み込んだジオポリマーモルタルの「性能評価」が綿密に行われ、機械的強度や耐久性といった構造材料としての十分な特性が確保されるかどうかが検証されました。さらに、本研究の重要な柱として「環境評価」も実施され、天然資源の節約効果やCO2排出量削減効果などが定量的に分析されています。この複合的な評価を通じて、再生コンクリート骨材とジオポリマーモルタルを組み合わせた材料が、技術的にも環境的にも持続可能な建設材料としての高い実用性を持つことが包括的に示されました。

本研究の成果は、資源循環型社会の実現と低炭素社会への移行に大きく貢献するものです。建設廃棄物に新たな高付加価値利用先を提供し、最終処分量の削減に寄与するだけでなく、セメント使用量の削減を通じて地球温暖化対策に直接的に貢献します。また、ジオポリマーモルタルの適用範囲を広げ、その実用化を加速させることで、将来的には持続可能なインフラ整備や建築物への普及が期待されます。この画期的なアプローチは、環境負荷の低い次世代の建設材料開発に向けた重要な一歩であり、将来の建設産業のあり方を根本から革新する可能性を秘めた、注目すべき研究と言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)