Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 2 本の要点をまとめました。
Durability degradation mechanism of modified steel-fiber UHPC under coupled effect of salt freeze-thaw cycles and sustained flexural loading
近年、土木・建築分野において、高強度と優れた耐久性を持つ超高性能コンクリート(UHPC)の活用が注目されています。特に寒冷地では、塩害を伴う凍結融解(SFT)サイクルと構造物にかかる持続的な荷重が複合的に作用し、UHPCの長期性能が著しく低下する課題が顕在化しています。この複合的な過酷環境下では、コンクリートマトリックスと補強材である鋼繊維との界面劣化が全体の耐久性を決定づける重要な要素となりますが、これまでの多くの研究はSFTサイクルか持続荷重のいずれか単一の影響に焦点を当てており、これらの複合作用がUHPCの劣化に及ぼすメカニズム、特に界面レベルでの詳細な理解は十分に解明されていませんでした。
本研究は、この複合的な課題に対し、新たな視点から解決策を提示するものです。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)で表面改質した鋼繊維補強UHPC(GUHPC)と未改質のプレーンUHPC(PUHPC)の耐久性と機械的特性の進化を、3 wt% NaClと3 wt% MgSO₄溶液の複合環境下、かつ0、0.3、0.5倍の極限曲げ強度という持続荷重が作用する状況で詳細に調査しました。相対動弾性係数(RDEM)、質量損失、曲げ強度、圧縮強度といったマクロな特性評価に加え、水銀圧入ポロシメトリー(MIP)、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM/EDS)、X線回折(XRD)、熱重量分析(TG)といった多角的な微細構造解析手法を駆使し、界面レベルでの劣化メカニズムの解明に挑んでいます。その結果、EDTA改質が塩害凍結融解と持続荷重の複合作用下において、UHPCの耐久性および耐荷重能力を顕著に向上させることが明らかになりました。しかしながら、応力レベルが増加するにつれて、改質UHPCであっても耐凍害性と機械的特性は低下する傾向を示しました。例えば、0.5倍の極限曲げ強度荷重と1500回の塩害凍結融解サイクルが複合作用した場合、GUHPCはSFT単独条件と比較してRDEMが17.38%、圧縮強度が17.1%、曲げ強度が69.6%低下しましたが、PUHPCではそれぞれ21.02%、18.5%、72.6%と、より顕著な性能低下を記録し、EDTA改質の優位性が明確に示されました。
微視的な分析により、この耐久性向上メカニズムが詳細に解明されました。EDTA処理により、複合作用下での鋼繊維の腐食層の厚さが未改質UHPCの22.9 μmから13.5 μmへと大幅に減少し、カルシウム(Ca)とケイ素(Si)が豊富な埋め込みコーティング界面が形成されていることが確認されました。また、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の含有量がGUHPCで1.7%に維持されたのに対し、PUHPCでは1.3%に留まり、全空隙率もGUHPCでは7.92%と、PUHPCの9.32%から減少していました。これらの微細構造レベルでの改善が、マクロな耐久性向上の要因であると結論付けられます。本研究で得られた知見は、過酷な環境で使用されるUHPCの界面耐久性向上に向けたメカニズム的洞察を深めるとともに、具体的な工学的指針を提供するものです。これにより、将来的なインフラの長寿命化や維持管理コストの削減に大きく貢献することが期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Preparation of early strength concrete using all solid waste-based cement: Strength formation mechanism and carbon footprint evaluation
現代社会において、建築資材の基幹をなすセメント産業は、その製造過程で大量の二酸化炭素(CO2)を排出することが大きな環境課題となっています。同時に、産業活動から生じる膨大な固形廃棄物の適切な処理も喫緊の課題であり、多くの廃棄物が埋立地に送られ環境負荷を増大させています。これらの二つの地球規模の課題に同時に対処する技術開発は、持続可能な社会を実現するために不可欠であり、建設材料分野における革新が求められています。
こうした背景のもと、最新の研究は、炭鉱ボタ、カーバイドスラッジ、脱硫石膏といった主要な産業固形廃棄物を原料として、全く新しい「全固形廃棄物ベースセメント(ASWBC)」の製造に成功しました。さらに、このASWBCを用いた高性能な早強コンクリートを開発し、その力学的特性の形成メカニズムと環境負荷低減効果を詳細に分析しています。このASWBCコンクリートは優れた初期強度を発揮し、わずか6時間の養生で35.01メガパスカル(MPa)という高い圧縮強度を達成しました。これは従来の代表的な早強セメントであるスルホアルミン酸セメント(SAC)を用いたコンクリートと比較して48.6%も高い数値であり、建設工事の工期短縮に貢献する可能性を示します。その後も強度発展は継続し、28日後には54.84 MPaに到達するなど、長期的な性能においても優位性を示しています。この優れた性能は、C4A3S̄の迅速な水和によってエトリンガイトとアルミニウムゲルが生成され緻密な微細構造が構築されること、さらにC2Sの水和によるC-S-Hゲルが細孔構造を精緻化することで、強固なマトリックスが形成されることに起因することが微細構造解析により明らかにされました。
この革新的なASWBCコンクリートは、高性能に加えて、環境面でも画期的なメリットをもたらします。製造工程における炭素排出量は、従来の普通ポルトランドセメント(OPC)を用いたコンクリートと比較して29.04%もの大幅な削減を実現しました。この排出量削減は、複数のメカニズムによって達成されています。第一に、天然資源である石灰石を固形廃棄物で代替し、焼成時のCO2排出を排除。第二に、低温焼成による石炭消費量の38.9%削減。第三に、28日間標準養生を3日間の自然養生に代替することで、エネルギー消費を抑制しています。これらの相乗効果により、コンクリート1トンあたりの単位強度あたりの炭素排出量(C0値)は3.66 kg/MPa·tとなり、OPCと比較して45.1%もの最適化が図られました。本研究は、建設材料産業において、産業廃棄物の包括的なリサイクルを通じて、高性能と低炭素という二つの重要な特性を両立させる具体的な技術的経路を提示するものであり、持続可能な社会構築に向けた重要な一歩となるでしょう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)