AIニュース|2026-01-05 Cement の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Cement」に関連する新着論文 1 本の要点をまとめました。


Enhancing fiber alignment and tensile properties of 3D-printed Ultra-High Performance Strain-Hardening Cementitious Composites by nozzle channel design

近年、建設分野における3Dプリント技術の導入が加速する中で、セメント系材料を用いた構造物の性能向上が重要な課題となっています。特に、高い引張強度とひずみ硬化特性を持つ超高性能ひずみ硬化型セメント複合材料(UHP-SHCC)は、次世代材料として注目される一方で、3Dプリント製造時に材料中の短繊維の配向が不均一になるという課題がありました。従来の長方形ノズルでは、繊維配向が不均一となり、材料全体の引張性能が十分に発揮されませんでした。これまでの研究では、ノズル内にバッフル(邪魔板)を設置して物理的に繊維を配向させるアプローチもありましたが、これはノズル内部の圧力上昇や目詰まりリスクの増大、材料の気孔率増加、さらには引張強度の低下といった深刻な副作用を伴い、押し出しの信頼性を損なうという問題がありました。このように、実用的な3DプリントにおけるUHP-SHCCの性能を最大限に引き出すためには、押し出しプロセスに悪影響を与えることなく、効果的に繊維配向を制御する新たな技術が求められていました。

本研究は、この課題に対し、ノズル内部の流路設計を最適化するという革新的なアプローチを提案し、繊維配向の課題を解決しました。従来の物理的な接触による配向制御ではなく、ノズル流路の幾何学的な形状が作り出す「流体閉じ込め効果」と「圧力勾配」を巧妙に利用することで、繊維が流れに沿って自然に、かつ均一に配向するメカニズムを開発しました。初期に設計したV字型ノズルでの検証を経て、さらに最適化された「N字型ノズル([5×30-N90°])」を開発しました。このN字型ノズルは、押し出し時の目詰まりや過度な圧力上昇といった問題を回避しながら、セメント複合材料の層全体にわたってほぼ等方的な繊維配向を実現することに成功しました。具体的には、材料の中間部における繊維配向角度を10.1度まで抑制し、層内での配向偏差を0.5度以下に抑えることで、極めて均一な繊維配向を実現しました。

この最適化されたN字型ノズルを用いることで、3DプリントされたUHP-SHCCの機械的特性は飛躍的に向上しました。従来のノズルで製造された材料と比較して、引張強度は9.93 MPaと17.8%向上し、ひずみ性能も11.76%と15.7%の改善を達成しました。これらの結果は、幾何学的なノズル設計の最適化が、押し出しの信頼性を維持しながら、UHP-SHCCの繊維配向と引張特性を劇的に向上させることを明確に実証するものです。本研究の成果は、建設分野における3Dプリント技術の適用範囲を大きく広げるものであり、より高性能で耐久性のある、複雑な形状の構造物を製造する道を拓きます。今後、この技術は、高層建築物やインフラ構造物、災害に強い建築物など、様々な用途において、材料の性能を最大限に引き出した革新的な建設ソリューションの実現に大きく貢献するものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)