Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Electromechanical impedance-based deterioration monitoring and tensile strength prediction of epoxy resin under humid-thermal and alkaline environments
エポキシ樹脂は、その優れた機械的特性と接着性から、建設、航空宇宙、自動車産業など広範な分野で構造用接着剤や複合材料のマトリックスとして不可欠な素材です。しかし、高温多湿や強アルカリといった過酷な環境下では、樹脂の劣化が進行し、性能低下や構造物の安全性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、これらの環境下での劣化状況リアルタイムモニタリングと残存性能予測は、構造物の信頼性確保とメンテナンス最適化における喫緊の課題でした。従来の評価手法ではin-situモニタリングが困難であり、新たなソリューションが求められていました。
このような背景のもと、最新の研究では、電気機械インピーダンス(EMI)を利用した画期的なセンサー技術を開発し、エポキシ樹脂の劣化モニタリングと引張強度予測を可能にしました。本研究ではまず、2種類の市販エポキシ樹脂を湿潤熱を伴う強アルカリ環境(60℃、pH 13.6)に暴露し、物理的・機械的特性の変化を分析しました。接着剤用樹脂は15日で12%、マトリックス用樹脂は7日で0.5%の吸水飽和に達し、表面ではピット状の隆起や網目状の亀裂が観察されました。引張強度は初期に一時的に上昇後、継続的に低下し、120日間の暴露後には接着剤用樹脂で49.4%、マトリックス用樹脂で96.5%の強度維持率を示しました。これらの結果に基づき、圧電セラミック(PZT)シートを樹脂内部に埋め込んだEMIセンサーを構築。実験の結果、樹脂劣化に伴うセンサーのコンダクタンス特性の規則的な変化を確認しました。さらに、これらのコンダクタンス指標と引張強度との間に極めて高い相関(決定係数R²が0.93以上)があることを実証し、高精度な回帰モデルを構築しました。これにより、センサーのコンダクタンスを継続的に監視するだけで、樹脂の機械的特性を非破壊的に定量予測できる道が開かれました。
本研究で開発されたEMIセンサー技術は、湿潤熱およびアルカリ環境下で使用されるエポキシ樹脂の劣化状態をリアルタイムで評価し、その残存性能を定量的に予測する効果的なソリューションを提供します。この技術は、橋梁や風力発電ブレード、航空機部品など、エポキシ樹脂が広範に利用される重要構造物の安全性と信頼性向上に寄与します。劣化状況に応じた的確なメンテナンス計画を可能にすることで、予期せぬ事故のリスクを低減し、維持管理コストの最適化にも大きく貢献するでしょう。このモニタリング技術は、エポキシ樹脂を用いた構造物の長寿命化と持続可能性を実現する、産業界にとって極めて重要な基盤技術となるでしょう。
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Study on the mixed-mode Ⅰ/Ⅱ fracture characteristics of C80-MSC with different stone powder contents based on AE technology
コンクリート生産における天然砂の代替として山砂の利用が広がる中、その多すぎる石粉(ストーンパウダー)含有量(5%超)が、特に高強度コンクリートの性能に悪影響を及ぼす可能性があり、適切な管理が課題となっています。本研究は、C80高強度山砂コンクリート(C80-MSC)の混合モードI/II破壊特性とアコースティックエミッション(AE)特性に及ぼす石粉含有量の影響を詳細に調査しました。
研究では、0wt%から20wt%までの異なる石粉含有量を持つC80-MSCを用い、半円曲げ試験片による三点曲げ試験を実施して、破壊エネルギーと破壊靭性を評価しました。AE技術を用いた破壊メカニズムの非破壊解析や、走査型電子顕微鏡(SEM)による微細構造観察も実施しました。特に、汎用最大接線応力(GMTS)基準を適用し、破壊開始角や破壊靭性といった特性を異なる石粉含有量で高精度に予測するモデルを確立した点は、重要な新規性を示しています。
主要な発見として、石粉含有量が0wt%から15wt%に増加するにつれて、C80-MSCの破壊エネルギーと破壊靭性が全ての破壊モードで向上することが明らかになりました。破壊エネルギーは最大53.86%、破壊靭性は最大38.83%の増加が見られました。しかし、石粉含有量が20wt%まで増加すると、これら破壊特性は減少し、破壊エネルギーで最大26.45%、破壊靭性で最大25.34%の低下が確認され、最適な石粉含有量の範囲が存在することが示唆されました。さらに、モードII破壊がモードIや混合モードI+II破壊と比較して、最も長い破壊経路とより多くのエネルギーを要することも判明しました。これらの結果は、AEき裂分類やSEM観察によって裏付けられています。
本研究の成果は、高強度コンクリートにおける山砂の石粉含有量に関する最適な設計指針を提供する点で、重要な意義を持ちます。特定された石粉含有量の適切な管理は、コンクリート構造物の耐き裂性向上を通じて、構造全体の信頼性と耐久性を高めることに貢献します。これにより、持続可能な建設材料としての山砂の有効活用を促進し、建設業界の資源効率向上と環境負荷低減に大きく寄与するものと期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
A quantitative study of phase assemblage in cement-fly ash-slag ternary systems using machine learning-assisted BSE-EDS image analysis
持続可能な社会の実現に向け、建設業界では産業副産物を有効活用した多成分系セメント材料の利用が不可欠です。特にセメント、フライアッシュ、スラグを組み合わせた三成分系材料は、資源の有効活用と環境負荷低減の両面で大きな期待が寄せられています。しかし、これらの複雑な複合セメント材料が水和反応によって硬化していく過程を正確に追跡することは、材料の組成の不均一性や従来の評価手法の限界から困難でした。水和反応に伴う相の変化や微細構造の発達を詳細に把握できなければ、材料の性能最適化は難しく、高精度な分析手法の開発が課題でした。
このような背景のもと、最新の研究では、セメント-フライアッシュ-スラグ三成分系の水和反応における課題を克服するため、機械学習を援用した革新的な画像解析フレームワークが開発されました。このフレームワークは、BSE-EDS分析(後方散乱電子像とエネルギー分散型X線分光の統合)を基盤とし、高度な画像処理、教師なしクラスタリング、スーパーピクセルセグメンテーションアルゴリズムを統合することで、材料中の元素移動、相進化、微細構造発達を水和反応プロセスを通じて包括的かつ定量的に追跡可能にしました。これにより、不均一な組成を持つ多成分系セメント材料中の相を高精度に識別し、その含有量を正確に定量できるようになりました。開発されたフレームワークは、既存のシミュレーションモデルであるVCCTLおよびCemGEMSとの比較検証においても、相含有量の定量に関して高い一貫性を示すことが確認されており、その信頼性が裏付けられています。
この新しい機械学習支援型BSE-EDS画像解析フレームワークは、多成分系セメント材料の微細構造特性評価に「パラダイムシフト」をもたらすものと言えるでしょう。原材料から反応生成物に至るまで、水和プロセス全体の特性評価をより正確かつ自動化された方法で実現します。これにより、セメント系材料の性能向上や耐久性評価、高機能材料の設計・開発が加速されると期待されます。また、産業副産物のさらなる有効活用を促進し、建設分野の環境負荷低減と資源循環型社会構築に大きく貢献することが期待され、材料科学研究の新たな標準となる可能性を秘めています。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)