Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 1 本の要点をまとめました。
Effects of silicon carbide whiskers with functional groups on properties and microstructure of polyethylene fibers-slag/metakaolin geopolymer
持続可能なグリーン材料として期待されるジオポリマーは、セメントに代わる環境負荷の低い選択肢として注目を集めています。しかし、その高い吸水性や脆性といった特性は、特に海洋工学のような過酷な環境下での長期的な利用を阻む主要な課題となっていました。この課題は、ジオポリマーの広範な実用化、ひいては持続可能な社会の実現に向けた活用において克服すべき点でした。
本研究は、この課題を解決するため、ポリエチレン(PE)繊維を複合したスラグ・メタカオリンジオポリマー(PE-ジオポリマー)を基盤とし、その性能を革新的に向上させるアプローチを開発しました。具体的には、シランカップリング剤KH560を用いてシリコンカーバイドウィスカー(SiCw)の表面に機能性基をグラフト化し、改質SiCwを調製しました。この機能性SiCwをPE-ジオポリマーに添加することで、SiCwとジオポリマーマトリックス間の界面接着性を強化し、複合材料全体の特性改善を目指しました。研究では、グラフト化されたSiCwの特性評価に加え、異なる含有量の改質SiCwを添加したPE-ジオポリマーのマクロな特性(流動性、機械的強度、吸水率、透水性空隙率など)およびミクロな構造・反応メカニズムを多角的に分析しました。
その結果、機能性SiCwの適切な添加は、PE-ジオポリマーの作業性を向上させるだけでなく、その物理的特性を劇的に改善することが明らかになりました。特に、28日圧縮強度は59.6 MPa、28日曲げ強度は8.8 MPaに達し、終局応力5.53 MPaと終局ひずみ4.49 %という優れた引張特性も実現しました。さらに、吸水率が最大41.4 %、透水性空隙率が最大41.0 %削減され、ジオポリマーの弱点であった防水性が大幅に向上しました。ミクロ分析により、シラン由来の機能性基が水和反応を促進し、主にC(N)-A-S-Hゲルからなる水和生成物の増加とペーストの微細構造の再配置を促すことで、より密実で均質なマトリックスが形成されるメカニズムが解明されました。シランとSiCwの相乗効果がPE-ジオポリマーの総合的な性能を著しく高めることが証明された本成果は、海洋工学をはじめとする過酷な環境下での利用に耐えうる、高性能かつ持続可能なジオポリマー複合材料の開発に道を開くものです。これにより、ジオポリマーの応用範囲が大きく広がり、環境負荷低減と社会インフラの長寿命化に貢献する画期的なソリューションを提供できると期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)