AIニュース|2025-11-19 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Interfacial bonding properties between steel fiber and cement paste containing SiO2 nanoparticles: Experimental and numerical investigation

近年、インフラ構造物の長寿命化と高性能化は喫緊の課題であり、その解決策の一つとして鋼繊維補強コンクリート(SFRC)が注目されています。SFRCの性能を大きく左右するのが、鋼繊維とセメントペースト間の界面結合特性です。しかし、繊維とマトリックスの結合界面における微細なメカニズムは複雑であり、特に複数の繊維が存在する多繊維システムにおいて、その結合特性を包括的に理解し、性能を最適化する設計指針は不足していました。ナノSiO₂粒子(NS)は、セメント系材料の強度や耐久性を向上させる有効な添加剤として知られていますが、鋼繊維の界面結合性能とNS添加がどのように相乗的に影響し合うかについては、詳細な研究が待たれていました。

このような背景のもと、本研究は二重鋼繊維とNS含有セメントペースト間の界面結合性能とそれらの結合効果を体系的に調査し、画期的な知見をもたらしました。特に、繊維間隔とNS含有量間の動的な結合法則、そしてこれらが界面結合挙動に及ぼす相乗メカニズムの解明に成功しています。フックエンド繊維を用いた詳細な実験と数値解析の結果、繊維間隔に応じて最適なNS含有量が異なるという重要な発見がありました。具体的には、繊維間隔が6mmを超える場合はNS含有量1%が最適である一方、間隔が6mm未満の場合にはNS含有量3%がより高い結合強度をもたらすことが示されました。実際に、8mmの繊維間隔と1%のNS含有量を組み合わせることで、界面結合強度は11.02 MPaに達し、これはNSを添加しない従来のセメントペースト標本と比較して45%もの大幅な強度向上に相当します。

さらに、本研究は多繊維システムにおける「繊維間隔 – NS含有量 – 養生期間」という三要素間の相互作用メカニズムを包括的に解明しました。繊維間隔が界面結合性能に与える影響は、主に繊維周囲の応力場が重畳することで生じることが明らかになりました。従来のセメントマトリックスでは結合性能が弱化・強化・弱化という複雑なパターンを示すのに対し、NSで改質されたマトリックスでは放物線状のトレンドを示し、8mmが最適な繊維間隔であることが特定されました。これらの成果は、これまでの経験的な設計から一歩進み、繊維配置とナノ修飾の相乗挙動に対する定量的な理解を深めるものです。

本研究によって得られた知見は、高耐久性かつ高界面結合容量を持つ高性能鋼繊維補強コンクリートの設計最適化に向けた貴重な指針を提供します。繊維配置とナノ材料の配合に関する具体的なデータとメカニズムの解明は、建設材料分野における技術革新を加速させ、より高性能で持続可能なインフラの実現に大きく貢献するものと期待されます。将来的には、これらの成果が実際の構造物設計に適用され、社会インフラの信頼性と安全性の向上に寄与することが見込まれます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Study on the microscopic deformation and failure mechanism of accumulation landslide under seepage-flow coupling action

貯水池周辺に位置する堆積性地すべりによる変形や滑り破壊は、貯水池域全体の安全保障にとって深刻な脅威となっています。しかし、こうした貯水池地域の地すべりは、地形の不規則性が顕著であるため、従来の浸透流連成解析手法ではその複雑な挙動を正確に捉えることが困難であり、地質災害の予測と対策を講じる上で大きな障壁となっていました。

本研究は、貯水池域における堆積性地すべりの微視的な変形および破壊メカニズムを解明するため、革新的な数値解析手法を導入しました。まず、不規則な地形モデルにおける浸透流の計算に、補間有限差分法(IFDM)を採用することで、従来の課題を克服。そして、この補間有限差分浸透法を基盤として、地すべりの有限要素法-離散要素法(FDM-DEM)連成数値モデルを構築し、貯水池域の地すべりにおける流体-固体連成作用を詳細にシミュレーションしました。この統合的なアプローチにより、地すべりを構成するブロック間の結合強度、摩擦係数、表面粗さ、および貯水池の水位低下速度といった複数の要因が、地すべりの変形や滑りといった挙動に及ぼす影響を深く分析することが可能となりました。特に、本手法は中規模スケールにおける流体-固体連成の数値計算において、速度場や透過係数の結果から高い適用性を持つことが示されています。

数値シミュレーションの結果、地すべりの安定性に関わる重要な知見が複数明らかになりました。具体的には、地すべりを構成するブロック間の結合強度や摩擦係数が増加するほど、変形・滑りによる損傷領域は徐々に減少する傾向が見られました。ただし、結合強度が高い場合は滑り破壊に至らずとも、地すべり全体に大きな変形のみを生じさせ、結合強度が変形損傷に与える影響が大きいことが示されました。また、ブロックの表面粗さが増加するにつれて、滑り破壊領域は減少することが確認されました。さらに、水位低下速度が減少するにつれて変形破壊領域も減少し、速度が小さい場合には大きな変形のみが発生し、破壊には至らないことが明らかになりました。これらの結果は、結合強度と水位低下速度が堆積性地すべりの変形および破壊メカニズムに極めて大きな影響を持つことを強調しています。

本研究によって確立された流体-固体連成解析手法は、貯水池域における堆積性地すべりのような複雑な地質災害の挙動をより正確に評価するための、新たな理論的基盤を提供するものです。この先進的な数値モデルを活用することで、地すべり発生のリスク評価精度向上と、効果的な予防策や減災対策の立案に貢献することが期待されます。将来的には、本手法の適用範囲をさらに拡大し、多様な地質条件下での地すべり挙動予測モデル開発へと繋がる可能性を秘めています。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Experimental and molecular simulation insights into rejuvenation mechanism of bio-rejuvenated asphalt binders: Tailoring epoxy groups in bio-rejuvenators

アスファルトの劣化は、舗装のひび割れや耐久性低下を引き起こし、維持管理コストの増大や交通安全上の問題を生じさせる。近年、石油由来のアスファルト若返り剤に代わる、環境負荷の低い持続可能な選択肢として、バイオ若返り剤の研究開発が活発化している。中でも、分子内にエポキシ基を持つバイオ若返り剤は、劣化アスファルトの性能を顕著に回復させる効果が報告されており、その実用化に大きな期待が寄せられている。しかし、こうした優れた若返り性能がどのような分子レベルのメカニズムによって発現するのか、その詳細な機構はこれまで十分に解明されておらず、高性能なバイオ若返り剤の設計や最適化に向けた理論的基盤の構築が課題であった。

この課題に対し、本研究チームは多角的な実験と最先端の分子シミュレーションを組み合わせた多スケールアプローチを適用し、エポキシ基がバイオ若返り剤の性能に与える影響とその根底にあるメカニズムの解明に挑んだ。原子間力顕微鏡(AFM)やフーリエ変換赤外分光法(FTIR)で劣化アスファルトの形態・化学構造変化を評価し、分子動力学(MD)シミュレーションと密度汎関数理論(DFT)計算によって分子レベルの挙動と相互作用を詳細に解析した。その結果、バイオ若返り剤は劣化アスファルト中の特徴的な蜂の巣状構造の量と面積を効果的に回復させ、劣化を示すスルホキシドインデックスを大幅に低減することが確認された。また、劣化アスファルトの分子拡散係数がエポキシ官能基の数と正の相関を示すことも明らかになった。最も注目すべきは、バイオ若返り剤が、アスファルテン凝集体に吸着され動きが制限されていたレジン分子を活性化し、再び自由に拡散できる状態に導くことである。この現象は、エポキシ基と劣化アスファルト中のスルホキシド基との間に働く強力な静電引力に起因することが判明した。この静電引力は、エポキシ基がアスファルテン凝集体のπ-π相互作用電子雲に与える干渉よりも強く、結果としてアスファルテンとレジンの相互作用を効果的に緩和し、アスファルタ本来の粘弾性を回復させるメカニズムが示された。

本研究は、実験とシミュレーションを融合した多スケールアプローチにより、エポキシ基を持つバイオ若返り剤が劣化アスファルトを「若返らせる」分子レベルのメカニズムを世界で初めて多角的に解明した画期的な成果である。エポキシ基とスルホキシド基間の静電引力が、アスファルテン-レジン間の相互作用を緩和し、レジンの拡散性を回復させるという発見は、高性能なバイオ若返り剤を合理的に設計するための理論的基盤を確立する。この知見は、環境負荷の低い持続可能なアスファルト舗装技術の発展に大きく貢献し、道路インフラの長寿命化と維持管理コストの削減、ひいては持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となることが期待される。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)