AIニュース|2025-11-23 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Dynamic hydrophobicity and surface reconstruction mechanism of self-cleaning traffic marking coatings incorporating modified TiO2 nanoparticles

交通標識は、その視覚的誘導機能によって安全な交通環境を支える重要なインフラですが、屋外環境に常時曝されるため、排気ガス、粉塵、雨水といった環境汚染や物理的な摩耗によって容易に劣化し、その機能が著しく損なわれるという課題を抱えています。これにより、道路利用者の安全性低下や、頻繁なメンテナンスによる多大なコスト発生といった問題が生じています。このような背景のもと、この課題を解決するため、改質ナノ酸化チタン(TiO2)を組み込んだ自己洗浄性交通標識塗料が開発され、その詳細な特性とメカニズムに関する研究成果が間もなく発表される予定です。

この新しい塗料では、ナノスケールのTiO2粒子表面にヘキサデシルトリメトキシシランとチタン酸カップリング剤を用いたグラフト修飾が施されました。この改質により、TiO2ナノ粒子の塗料中での分散性が飛躍的に向上し、結果として塗膜の初期水接触角(WCA)は125°を達成しました。加えて、この塗料は優れた光触媒作用を発揮し、有機汚染物質の効率的な分解を可能にします。さらに、人工加速UV老化試験や長期耐水性試験において卓越した耐候性を示し、耐薬品性試験および耐摩耗性試験でも高い化学的安定性と優れた摩耗耐性が確認されました。これらの包括的な試験結果は、この塗料が長期にわたる厳しい使用環境に耐えうる優れた耐久性を備えていることを明確に裏付けています。

本研究の最大の新規性は、塗料が使用される過程で、紫外線(UV)照射と機械的摩耗が相乗的に作用し、表面の微細・ナノ構造を再構築することで、撥水性が動的に強化されるメカニズムを発見した点にあります。例えば、単独のUV照射後のWCAは140°、単独の機械的摩耗後のWCAは138°まで増加するのに対し、UV照射と機械的摩耗が複合的に作用した場合には、WCAは驚くべきことに160°にまで向上することが実証されました。この現象は、塗料自体が自己強化特性を持ち、外部からの影響を受けることで、その性能がむしろ向上するユニークな性質を示唆しています。

この画期的な自己強化特性により、汚染物質の除去効率が飛躍的に高まり、交通標識の視覚的誘導機能が使用期間を通じて継続的に維持されることが期待されます。今回開発された自己洗浄性交通標識塗料は、単に汚れを落とすだけでなく、厳しい使用環境下で自らの性能を高めるという革新的な特性を備えており、交通インフラのメンテナンスコスト削減に大きく貢献するとともに、長期にわたる道路交通の安全性向上にも寄与する重要な技術となるでしょう。この革新的なアプローチは、将来のインフラ材料開発における新たな方向性を示すものとして、その実用化が強く期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Sustainable PCM-integrated lightweight concrete with improved mechanical and thermal performance: A comparative study of impregnation and microencapsulation

持続可能な建築の実現に向けて、建物の構造的完全性を維持しつつ、その熱効率を大幅に向上させることは喫緊の課題です。こうした背景から、相変化材料(PCM)を軽量コンクリート(LWC)に統合する技術は、建物の省エネルギー化に貢献する有望な解決策として注目されてきました。しかし、従来のPCM統合型LWCは、機械的強度の低下、高い吸水性、そしてPCMの漏洩といった重大な課題を抱え、その実用化を妨げる大きな障壁となっていました。

本研究は、これらの課題に対応するため、コンクリートへのPCM統合方法として、マイクロカプセル化、軽量発泡粘土骨材(LECA)への真空含浸、そしてマイクロシリカへの分散という三つの異なる手法を系統的に比較評価しました。PCMとしてポリエチレングリコール(PEG)を用い、広範なLECA置換レベルにおいて、主要な機械的特性および熱的特性(熱伝導率、太陽光応答、温暖湿潤気候下での性能)を包括的に分析。さらに、実環境での挙動をより正確に再現するため、新たに模擬太陽光曝露試験と湿度性能試験という二つの画期的な評価方法を開発し、その影響を詳細に検証しました。

この包括的な分析の結果、LECAへのPCM含浸が、機械的強度、熱性能、吸水性のバランスにおいて最も優れた性能を示すことが明らかになりました。具体的には、この手法は圧縮強度を82.5%維持しつつ、熱伝導率を55%削減、さらに吸水性の増加をわずか4.7%に抑制することに成功しています。一方、マイクロシリカへの分散は最高の断熱効果をもたらしたものの、強度が62.5%と著しく低下するという課題を抱え、マイクロカプセル化手法は強度と断熱性の間で中程度の妥協点を提供する結果となりました。

本研究の成果は、PCMを組み込んだ軽量コンクリートの機械的限界を克服し、実用的な材料設計への道を開くものです。エネルギー効率の高い建物の外皮、プレキャストパネル、非耐荷重性の断熱部品といった実世界での幅広い応用を可能にする、最適なPCM-LWCの組み合わせを提案しています。この知見は、工学者が多様な気候条件に対応した、構造的に健全かつ熱応答性に優れたコンクリートを設計するための明確な道筋を示すものであり、持続可能な未来の建築材料開発に大きく貢献する画期的な一歩と言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Development of high absorbency and lightweight water-retentive semi-flexible pavement for urban heat island mitigation

現代社会が直面する喫緊の課題の一つが、都市化の進展に伴う都市ヒートアイランド現象(UHI効果)です。特に、夏場の都市部では気温が著しく上昇し、エネルギー消費の増大、健康被害、環境負荷といった多岐にわたる問題を引き起こしています。これまでのUHI効果緩和策として様々な吸水性材料や舗装技術が検討されてきましたが、従来の材料では十分な吸水性、保水性、耐久性を両立させることが難しく、実用化には限界がありました。また、一般的なセメント系材料を多用する舗装材は、製造過程で大量の二酸化炭素を排出するという環境問題も抱えており、UHI効果緩和とCO2排出量削減を同時に達成できる、より持続可能な舗装材の開発が求められていました。

このような背景のもと、本研究は高吸水性で軽量、かつ保水性に優れた半たわみ性舗装材(WRSFP)の開発に成功しました。この新しい舗装材は、軽量発泡改質グラウトをポーラスアスファルトコンクリート(PAC)の空隙に充填することで、高い冷却性能を実現しています。研究では、発泡剤の含有量とPACの空隙率を系統的に変化させ、材料特性と舗装性能を詳細に評価しました。その結果、発泡剤を低〜中程度に添加することで、グラウトの作業性と安定性がバランスよく保たれることが明らかになりました。特筆すべきは、発泡剤の添加によって水吸収率が最大で123.8%も増加した点です。一方で、圧縮強度は減少する傾向が見られ、従来の荷重支持構造への適用には調整が必要であることも示唆されています。微細構造の分析からは、発泡剤の含有量が増加するにつれて細孔の連結性が向上し、マクロ孔(500 μm超)が最大で30.2%を占めるようになることが確認され、これが高い吸水性と保水性の鍵となっていることが示されました。最適配合のWRSFPは、シミュレーション照射試験において保水量が65.8%増加し、ピーク温度を7.0°C、5.6°C、4.9°Cも低減するという卓越した冷却性能を発揮しました。これらの結果に基づき、PACの空隙率は20%以上、発泡剤含有量はベースグラウト体積を超えないことが推奨されています。

本研究の主要な貢献は、半たわみ性舗装材に発泡改質グラウトを先駆的に導入した点、動的な保水性評価方法を開発した点、そして材料の構造と特性の定量的な関係を確立した点にあります。特に、比表面積が強度と乾燥密度に、全空隙率が吸水に強く相関するという知見は、今後の材料設計に重要な指針を与えます。この画期的な研究は、持続的な冷却機能を持つ舗装材料の開発に新たな道を開き、同時にセメント系材料への依存度を低減することで、建設分野における炭素排出量の削減にも貢献します。UHI効果の緩和とCO2排出量削減という二重の便益をもたらすこの新しい舗装材は、都市のレジリエンス向上と持続可能な社会の実現に向け、極めて大きな実用的な価値を持つと言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)