Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Microscopic insights into the rejuvenator-induced depolymerization of asphaltene aggregates in aged asphalt
アスファルトは道路舗装などに広く利用されていますが、長期の使用や環境要因により酸化老化が進むと、その性質が劣化し、ひび割れなどの問題を引き起こします。この老化の主な原因は、アスファルト中に含まれるアスファルテンという成分が酸化によって凝集し、その構造が変化することにあります。劣化したアスファルトを再生し、再利用する技術は持続可能な社会の実現に向けて極めて重要であり、特にアスファルテン凝集体の分解(脱重合)が再生効率を左右する鍵となります。しかしながら、アスファルテンの複雑な分子構造のため、再生剤の主要な成分がアスファルテン凝集体にどのように作用し、脱重合を促進するのかという微視的なメカニズムについては、これまで主にシミュレーションを用いた研究が行われてきたものの、その詳細な影響は不明瞭なままでした。
まもなく発表される論文「Microscopic insights into the rejuvenator-induced depolymerization of asphaltene aggregates in aged asphalt」は、この課題に対し、従来のシミュレーションとは異なる多様な実験的特性評価技術を駆使することで、酸化老化中のアスファルテン凝集体の微視的挙動と、再生剤による脱重合メカニズムを詳細に解明しました。研究チームは、10種類のバイオベースおよび石油ベースの再生剤化合物を選定し、その構造とアスファルテン凝集体の脱重合効率の相関を明らかにしました。具体的には、酸化老化によりアスファルテンの芳香族層の積層密度と秩序が増加し、O-H···O水素結合が促進され、臨界ミセル濃度が低下し蛍光消光が起きることで、等間隔の層状多孔質構造を持つ樹枝状の三次元凝集体が形成されることが明らかになりました。しかし、再生剤の導入は、アスファルテン凝集体の芳香族層の積層構造を効果的に破壊する一方、脂肪族鎖の配置にはほとんど影響を与えないことを示しました。さらに、窒素や酸素などのヘテロ原子を含む再生剤は、アスファルテン分子と直接水素結合を形成することで、脱重合をより一層促進し、凝集体のサイズを大幅に減少させ、より分散した不規則な構造へと変化させることが明らかになりました。特に、ヘテロ原子官能基を持つバイオベースの再生剤が優れた脱重合効率を示すことが強調されています。
本研究は、再生剤によるアスファルテン脱重合のメカニズムについて、これまでにない深遠な微視的洞察を提供します。得られた知見は、アスファルト再生技術の科学的基盤を強化するものであり、特にリサイクルアスファルト用途において、より効率的で高性能な再生剤を分子レベルで設計するための基礎的な指針となるでしょう。これにより、劣化したアスファルトをより経済的かつ環境負荷を低減しながら再生する技術の発展に大きく貢献し、持続可能なインフラ整備への道を開くことが期待されます。
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Characteristics of surface roughness of corroded steel pipeline under different service environment
鋼管パイプラインは社会インフラの基幹を成す重要な要素ですが、その腐食は構造的な完全性を脅かし、深刻な事故や経済的損失を引き起こす可能性があります。そのため、パイプラインの腐食損傷を正確に評価し、適切な対策を講じることは極めて重要です。これまで、腐食評価は主に腐食量や最大深さに焦点を当ててきましたが、腐食が引き起こす表面の複雑な形態変化、すなわち粗さの多角的な特性を定量的に把握し、それを損傷評価に結びつける研究は限定的でした。特に、多様なサービス環境が腐食形態に与える影響については、詳細な知見が不足しており、より信頼性の高い評価手法の確立が課題となっていました。
本研究は、この課題に対し、多次元的なアプローチで鋼管パイプラインの腐食粗さ特性を詳細に解明しました。まず、24本の鋼管試料に対し、海水、粘土、砂土、砂利という4種類の典型的な環境を模擬した電気化学的加速腐食実験を実施。そこで、3次元レーザースキャンを用いた独自の形態取得ワークフローを開発し、パイプラインの全体的な幾何学的偏差と局所的な腐食特徴を精密に区別できるようにしました。さらに、標準偏差、平均波長、実効値勾配(RMS勾配)、界面面積比、自己相関長、テクスチャ方向比、体積パラメータといった多次元的な指標を用いて、各環境下での腐食形態が示す表面粗さの特徴を体系的に分析しました。その結果、腐食速度が特定の閾値を超えると、どの環境においても局所的な穴あきが発生する可能性が示されました。環境ごとの特徴としては、海水では比較的均一な腐食が進行し、粗さパラメータの変動は最小限に留まりました。一方、粘土環境では粒子の被覆効果により粗さが増加する傾向が見られました。砂土環境では、砂粒が沈降してピットに塩溶液を保持し、特に下表面で腐食が深く集中し、上下表面間で顕著な粗さの違いが生じることを発見しました。また、砂利環境では、比較的大きな粒子が不均一な溶液接触を制限するため、下表面でわずかに高い粗さを示すことが明らかになりました。これらの多様な結果から、多くの粗さパラメータが腐食速度と線形相関を示す一方、尖度、歪度、異方性といったパラメータは環境によって大きな変動を示すことが特定されました。これらの知見に基づき、粗さパラメータと腐食速度との間に線形経験的フィッティング式を確立しました。
本研究で確立された線形経験的フィッティング式は、異なるサービス環境におけるパイプライン腐食の定量評価に信頼できる基礎を提供します。これにより、環境特性に応じた個別最適化された保護戦略の策定が可能となり、パイプラインの寿命延長や維持管理コストの削減に大きく貢献することが期待されます。将来的には、この成果が既存インフラの安全性向上に寄与し、より持続可能でレジリエントな社会インフラシステムの構築に貢献するでしょう。
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Study on the characteristics and performance of nano-silica/unsaturated polyester resin composite modified asphalt waterproof adhesive layer
橋梁の寿命を大きく左右する要因の一つに、橋面舗装下の防水接着層(WAL)の性能が挙げられます。この層は、舗装と橋梁構造物との間に強固な接着を提供し、水の浸入を防ぐ重要な役割を担います。しかし、従来のアスファルト系WAL材料は、特に高温環境下で接着強度が著しく低下するという課題を抱えていました。これが層間での剥離や舗装の機能不全、早期劣化につながり、維持管理コストの増大や交通規制の頻発といった問題を引き起こすため、その解決が喫緊の課題です。
こうした背景のもと、本研究では、従来のWALが抱える高温下での接着強度低下を克服するため、アスファルトをナノシリカ(NS)と不飽和ポリエステル樹脂(UPR)で複合的に改質した、新規WAL材料を開発しました。ナノシリカによる補強とUPRの優れた接着性能を組み合わせ、両者の相互作用を最適化することで、材料の高性能化を目指しました。開発された複合改質アスファルトの諸性能を検証するため、実験室試験を通じてその特性と性能を詳細に評価しました。
実験結果は、この新規複合改質アスファルトが従来の材料を大きく上回る性能を持つことを示しました。最適な材料配合比として、カップリング剤:ナノシリカ:不飽和ポリエステル樹脂:開始剤:アスファルト:相溶化剤が3:3:100:4:282:4という質量比が特定されています。ナノシリカの配合は、アスファルトマトリックス中でのUPRの均一な分散を促進し、改質アスファルトの靭性・高温安定性を顕著に向上させ、UPR単独使用時に懸念される低温ひび割れ抵抗性への悪影響も緩和することが確認されました。接着性能に関して、この複合改質アスファルトの引張付着強度は、未改質アスファルトの1.59倍、一般的なSBS改質アスファルトと比較しても1.48倍という優れた数値を示し、高温下でも高い接着性能を維持することが立証されました。さらに、耐久性試験では、優れた耐候性と、より多くの荷重サイクルに耐えうる能力が確認され、長期的な信頼性も裏付けられました。
今回開発されたナノシリカ/不飽和ポリエステル樹脂複合改質アスファルトを用いた防水接着層材料は、高温環境下での極めて優れた接着性能に加え、靭性、耐候性、そして荷重サイクルに対する耐久性といった総合的な特性において非常に良好なバランスを示しました。この画期的な材料は、橋梁舗装における防水接着層の性能と寿命に飛躍的な向上をもたらすでしょう。本研究は、不飽和ポリエステル樹脂の道路工学分野での応用を拡大するものであり、今後のインフラ材料開発に大きく貢献することが期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)