AIニュース|2025-11-26 Cement の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Cement」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Effect of CO2-absorbed CaCO3 on the strength of blast furnace slag cement mortar

セメント産業は、その製造過程で大量の二酸化炭素(CO2)を排出するため、地球温暖化対策の観点から排出量削減が喫緊の課題です。この課題に対し、高炉スラグ(BFS)などの産業副産物をセメント代替材料として利用する研究が進められていますが、さらなるCO2排出量削減技術が求められています。本研究は、この問題に対処するため、コンクリート製品工場からの高アルカリ性廃水とボイラー排ガス中のCO2を反応させて生成した「CO2吸収炭酸カルシウム(CC)」に着目。このCCを高炉スラグセメントモルタルに配合し、その強度特性、細孔構造、水和生成物、さらには炭素排出量への影響を詳細に分析しました。これは、CO2排出量削減と産業廃棄物・排ガスの有効活用を目指す画期的なアプローチです。

研究では、高炉スラグ(BFS)とCO2吸収炭酸カルシウム(CC)の配合比率を0%から95%まで幅広く調整したモルタルサンプルを作成。細孔構造、水和生成物、炭素排出量への影響を分析し、各配合がモルタルの物性に与える影響を詳細に評価しました。その結果、BFS40%とCC25%の併用モルタルが、緻密な細孔構造とゲル細孔容積の増加、そしてカルボアルミネート相の形成により、高圧縮強度を発現することが明らかになりました。一方で、過剰なCC配合は有害な細孔を増加させ、モルタルの強度を低下させることも判明し、最適な配合バランスの重要性も示されました。

炭素排出量に関する計算からは、BFS80%とCC25%の配合が、十分な圧縮強度を保ちつつ、カーボンニュートラリティへの貢献が最も大きいことが示唆されました。これは、CC1トンあたり約440kgものCO2を固定できることに裏付けられ、セメント製造における排出量を劇的に削減する可能性を秘めています。本研究の成果は、CO2吸収炭酸カルシウムが、持続可能な補助セメント材料として、モルタルの圧縮強度向上とCO2排出量大幅削減という二重の利点をもたらすことを明確に実証しました。これらの知見は、産業廃棄物や排ガスを価値ある建材へと転換するサーキュラーエコノミーの推進にも大きく寄与し、未来の低炭素社会型建設材料開発に新たな道筋を示すものです。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


MgO-metakaolin cementitious materials: hydration, properties and microstructure

放射性廃棄物の安全かつ長期的な管理は、現代社会が直面する重要な課題であり、その固化・封じ込め技術のさらなる向上が求められています。従来のセメント系固化材が抱える課題を解決する、より高性能かつ安全な新材料の開発が喫緊の課題とされています。このような背景の中、酸化マグネシウム(MgO)とメタカオリン(MK)を主成分とする新規マグネシウム系セメント質材料(MgO-MK系システム)が、放射性廃棄物の固化および封じ込めにおいて有望な候補材料として注目を集めています。しかし、この革新的な材料の特性や、各種要因がその性能に与える影響については、これまで体系的な知見が不足していました。

本研究は、MgO-MKセメント系材料の水和、物性、および微細構造に及ぼすMgO/MK質量比、水結合材比、養生期間の影響を詳細に調査し、その結果、MgO/MK質量比の増加が、MgO-MKセメント系材料の圧縮強度と流動性の顕著な向上をもたらすことが明らかになりました。特筆すべきは、MgO/MK質量比の増加に伴い、材料の硬化時に発生する総発熱量が大幅に低減される点です。これは、大規模な固化体形成時における熱応力ひび割れリスクの軽減に繋がり、安全性向上に寄与する重要な特性と言えます。微細構造解析からは、主要な水和生成物としてブルサイト、ハイドロタルサイト、そして非晶質のマグネシウム(アルミニウム)ケイ酸塩水和物ゲル(M-(A-)S-H)が確認され、特にM-(A-)S-Hゲルが主たる生成物であることが判明しました。さらに、MgO含有量の増加はこれらの水和生成物の量を増大させ、MgO/MK質量比の増加と共にサンプルの空隙率が著しく減少し、より緻密な微細構造が形成されることが観察されました。

これらの包括的な研究成果は、MgO-MKセメント系材料の高性能化と実用化に向けた重要な設計指針を提供します。特に、圧縮強度の向上、低発熱性、そして緻密な微細構造の形成といった特性は、放射性廃棄物の長期的な安全な固化および封じ込めにおいて極めて有利です。本研究で得られた知見は、放射性廃棄物管理の安全性と効率性を飛躍的に向上させる可能性を秘めており、持続可能な社会の実現に貢献する画期的な材料開発への道を拓くものと期待されます。今後、さらなる耐久性評価や実環境下での性能検証を通じて、その広範な応用が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Lightweight cement-natural rubber nanocomposites for high-performance triboelectric nanogenerators in smart flooring applications

持続可能なスマートインフラの実現は現代社会の課題であり、特に人々の活動からエネルギーを効率的に回収する多機能建材の開発が注目されています。その中でも、人間の足元から発生する機械エネルギーを電気に変換し、自律的に電力を供給する「スマートエネルギー舗装」は、都市環境における新たな電力源として大きな可能性を秘めています。しかし、従来のエネルギーハーベスティング技術を建材に適用するには、性能、耐久性、そして製造コストの面で多くの課題が存在していました。

こうした背景のもと、本研究では、セメントと天然ゴム(NR)を組み合わせた革新的なナノコンポジット摩擦帯電ナノ発電機(TENG)を開発しました。スマートエネルギー舗装用途に特化したこの新型TENGは、デュアル界面活性剤システム(アニオン性のドデシル硫酸ナトリウムと非イオン性のLutensol)を用いることで、セメントマトリックス内における天然ゴムの均一な分散を実現。これにより、材料の摩擦帯電正特性が向上し、誘電率の増加に伴い摩擦帯電電荷密度が大幅に高まりました。さらに、ルチル相の二酸化チタン(TiO₂)ナノ粒子を添加することで誘電率を一層引き上げ、電荷貯蔵能力も向上させています。

最適化されたセメント-NR/TiO₂ TENGは、卓越した性能を発揮しました。特に、9ヘルツの動作周波数において、これまでのセメントベースTENGを凌駕する記録的な4.9ワット/平方メートルの高出力密度を達成しました。この数値は、実際の都市環境での利用を十分に想定できる水準であり、エネルギー変換効率の大幅な向上を示しています。さらに、このデバイスは、様々な湿度条件下においても優れた耐久性を維持し、建材として求められる良好な機械的強度も兼ね備えていることが確認されました。これにより、本研究で開発されたセメント-天然ゴムナノコンポジットが、実際のエネルギーハーベスティング舗装として実用化される可能性が非常に高いことが実証されました。

本研究は、天然ゴムと界面活性剤安定剤を用いたセメント改質という、効果的な戦略を提示した点で重要な意義を持ちます。その成果は、軽量でゴム化されたセメントを基盤とする自律給電型スマートインフラの開発に貴重な洞察を提供し、都市環境における持続可能なエネルギーソリューションの進展に大きく貢献するものです。将来的には、この技術が歩道や道路、建物の床など、幅広い場所で活用され、人々の日常の動きがクリーンな電力へと変換されるスマートシティの実現が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)