Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Influence of bending angles on initial damage and mechanical properties of bent rebars
鉄筋コンクリート構造の安全性と安定性を確保する上で、部材の適切な定着や横方向の拘束に用いられる曲げ加工された鉄筋は不可欠な存在です。しかし、これら曲げ鉄筋は、コンクリートの膨張や外部からの力によって脆性破壊を起こしやすいことが報告されており、これは構造物の耐荷重能力を著しく脅かす深刻な問題として認識されています。この脆性破壊は、多くの場合、鉄筋が曲げ加工される際に発生する微細な初期損傷に起因すると考えられていますが、具体的にどのような要因が初期損傷の発生とそれに伴う機械的性能劣化に影響を及ぼすのか、その詳細なメカニズムはこれまで十分に解明されていませんでした。
こうした背景のもと、本研究は曲げ加工された鉄筋の初期損傷形成とその後の機械的性能劣化に関する包括的な実験的調査を実施しました。特に、曲げ角度、曲げ加工に用いるマンドレルの直径、および鉄筋自体の直径という三つの主要なパラメータが、初期損傷の発生と材料強度にどう影響するかを詳細に分析しています。なかでも、コンクリート構造物の定着や拘束において特に重要となる大角度での曲げ加工に焦点を当て、その影響を多角的に評価した点が、この研究の重要な新規性であり、曲げ加工プロセスが鉄筋の長期的な安全性に及ぼす影響について新たな知見をもたらしました。
実験の結果、初期損傷はこれらのパラメータによって複雑に影響を受けることが明らかになりました。曲げ角度の増大、鉄筋直径の増加、曲げマンドレル直径の減少が、マンドレルと鉄筋表面の横リブ間の摩擦や押し出しせん断効果により、初期損傷を顕著に増幅させることが示されています。具体的には、直径16mmの鉄筋を曲げ径2dで加工した場合、180°曲げでは初期亀裂が45°曲げの場合の3.51倍となる642μmに達することが確認されました。このような初期損傷の急速な伝播は、鉄筋が本来持つ降伏点に達する前の脆性破壊を引き起こし、直線鉄筋と比較して破壊強度が90%以上低下し、延性もほぼ完全に失われるという深刻な結果を招きます。走査型電子顕微鏡(SEM)による破断面観察からも、曲げ角度の増大や時効処理が、脆性破壊に特徴的なリバーライクな形態を顕著に悪化させることが示唆されています。
本研究は、曲げ加工された鉄筋の機械的特性が曲げ角度の違いによってどのように劣化するのかについて、これまで不足していた定量的かつ理論的な知見を提供するものです。得られたデータと洞察は、コンクリート構造物の設計基準をより安全かつ信頼性の高いものへと改善するための基礎情報となり、特に曲げ加工鉄筋の長期的な安全性と耐久性確保において、極めて重要な貢献を果たすことが期待されます。
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Investigation into the frost resistance of self-healing concrete with recycled aggregates modification – incorporating microbial precipitation mineralization on the surface of recycled aggregates
社会インフラを支えるコンクリート構造物は、特に寒冷地における凍結融解作用による凍害が深刻な問題で、構造物の寿命を著しく短縮します。この課題に対し、微生物作用でひび割れを自己修復する「自己修復コンクリート」が研究されていますが、コンクリート内部の過酷な環境で微生物を保護し、その修復機能を維持することが技術的な課題でした。また、建設廃棄物削減と資源循環のため再生骨材利用が進むものの、天然骨材と比較して品質が劣悪であるため耐久性低下を招く可能性があり、コンクリートの性能改善が急務でした。
こうした背景を踏まえ、本研究は再生骨材活用と自己修復機能向上を両立させる革新的なアプローチとして、「再生骨材の表面を微生物による炭酸カルシウム沈殿作用で改質する技術(Enhanced Recycled Concrete, ERC)」を開発し、その耐凍害性を詳細に評価しました。ERCでは、再生骨材表面にミネラル層を形成させることで、コンクリート内部の自己修復用バクテリアを物理的に保護し、過酷な条件下でも微生物が効率的に炭酸カルシウムを生成する能力を維持させます。研究チームは、このERCコンクリートが凍害に対しどれほどの抵抗力を持つかを明らかにするため、質量損失率、残留圧縮強度、残留曲げ強度といった主要な指標を用いて、厳格な凍結融解サイクル実験を実施しました。
実験の結果、ERCコンクリートは優れた耐凍害性を示すことが明らかになりました。凍結融解サイクル数が増加するにつれて、ERCコンクリートの質量損失率は対照群と比較して著しく低く抑えられることが判明しました。また、残留圧縮強度においては、凍結融解抵抗性分類F50からF300の範囲で、対照群と比較して最大11.8%の向上が見られ、残留曲げ強度も最大5.8%の増加を示しました。走査型電子顕微鏡(SEM)やX線回折(XRD)を用いた微細構造解析からは、凍結融解サイクル後においても、自己修復の鍵となるミネラル沈殿物がコンクリート内部に豊富に存在していることが確認され、これが耐凍害性向上に寄与していることが裏付けられました。一方で、長期間の凍結融解サイクルを経ると、沈殿物中に含まれる準安定相であるバテライトが他の鉱物相に変化する可能性も示唆され、さらなる長期安定性に関する研究の必要性も指摘されています。本研究の成果は、資源循環型社会の実現に貢献する再生骨材の高性能化と、コンクリート構造物の長寿命化、ひいては維持管理コストの削減に大きく寄与し、持続可能な社会基盤構築に向けた重要な一歩となるでしょう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Performance and implications of cost-effective natural sand substitutes for quartz in ultra-high performance concrete
超高性能コンクリート(UHPC)は、その優れた強度と耐久性から、構造物やインフラでの利用が進む建設材料です。しかし、高純度な石英砂の使用が不可欠であり、これが材料コストを高騰させ、広範な普及の大きな障壁となっていました。地域で安価に入手可能な天然砂は、石英砂に比べ最大で95%も経済的であることから、これらの天然砂をUHPC用骨材として代替利用できれば、製造コストを大幅に削減し、UHPCの持続可能性を高めることが期待されます。本研究は、この課題に対し、費用対効果の高い天然砂のUHPC用骨材としての代替可能性を検証することを目的としました。
本研究では、複数の地域産天然砂をUHPCにおける石英砂の完全または部分代替として採用し、フレッシュ状態での作業性、圧縮強度、繊維引き抜き挙動、そして複合材料としての引張性能など、主要な性能特性を評価しました。その結果、全ての代替砂を用いたUHPCが150 MPaを超える圧縮強度を達成し、一部の部分代替配合では、参照とした石英砂配合を上回る優れた圧縮強度を示すことが明らかになりました。特筆すべきは、単一繊維引き抜き試験によって、骨材の形態、特にその角張った形状や表面のテクスチャが、UHPCに用いられる鋼繊維とマトリックス間の界面結合力を著しく向上させる効果があることが実証された点です。この向上は引張強度とひずみ硬化能力を高め、特定の天然砂システムで特に顕著でした。また、骨材形態が縞鋼繊維の界面結合に与える好影響を初めて実証し、UHPC設計に新たな知見をもたらしました。
これらの研究成果は、UHPCの製造におけるコスト障壁を大きく低減し、その環境負荷を軽減する実用的な道筋を提示するものです。適切に選定・配合された地域産天然砂は、UHPCの性能を損なうことなく、高価な石英砂の代替または補完が可能であることを証明しました。これにより、地域の豊富な細骨材資源を最大限に活用し、より経済的で持続可能なUHPCの配合開発が現実のものとなります。本研究の知見は、UHPCの普及を促進し、将来の建設産業において、高性能かつ環境に配慮した社会基盤の構築に大きく貢献するものと期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)