AIニュース|2025-11-29 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Air-void optimization and performance of magnesium oxychloride cement foams: An in-depth look into flocculation and rheology

現代建築分野では、軽量性、高強度、断熱性を兼ね備えた高性能建材への需要が高まっています。特に、軽量で断熱性に優れたセメントフォームは有望視されますが、従来のセメントフォームには長年の課題がありました。それは、セメントの硬化過程で生じる泡の不安定性により、安定した気泡構造と高強度の両立が困難であることです。泡の不安定さは、気泡の不均一化や消失を引き起こし、最終的な材料性能を損なう原因となっていました。この課題を克服するため、最新の研究では塩化マグネシウムセメントフォーム(MOCF)に焦点を当て、その凝集(flocculation)とレオロジー(rheology)特性がフォームの安定性および性能に与える影響について詳細な解析を行いました。

本研究は、MOCFにおける気泡構造と強度の同時最適化メカニズムを解明しました。まず、フォームの動的降伏応力は凝集ネットワークの強度に、塑性粘度は凝集物の体積分率の増加に伴って上昇し、これらレオロジー特性が複合的に作用してフォームの安定性と気泡システムを精密に制御していることが明らかになりました。特に重要なのは、塑性粘度、フォーム安定性、および最終的な気泡構造の間に非単調な関係が存在するという発見です。研究チームは、塑性粘度が0.50から0.65 Pa·sの最適な範囲にあるとき、気泡システムが最も効果的に制御されることを見出しました。この範囲を下回れば浮力による泡の急速な上昇で、上回れば過剰な粘性抵抗や降伏応力により泡が規則的な球形を形成できず、いずれも構造劣化を招くことが明らかになったのです。この知見に基づき、特定のセメントマトリックス(MgO:MgCl2:H2Oのモル比を6:1:14)と気泡システムを最適化することで、MOCFは乾燥密度700〜750 kg/m³で28日圧縮強度13.27 MPaという、従来のセメントフォームの約2〜3倍にあたる高強度を達成しました。同時に、熱伝導率も0.0962 W/m·Kと低い値を示し、優れた断熱性を維持しています。さらに、MgOの一部(20%)をフライアッシュで置換することで、強度はわずかに低下するものの、軟化係数がほぼ2倍に向上し、材料の耐久性を高める可能性も示されました。

これらの画期的な研究成果は、従来のセメントフォームが抱えていた「安定した気泡構造と高強度の両立」という困難な課題に対し、明確な解決策を提示するものです。本研究が確立した凝集とレオロジーに基づく気泡システム最適化アプローチは、軽量でありながら高強度、そして優れた断熱性を有する次世代の建築材料を設計するための実用的な指針となります。セメントフォームの強度と断熱性という相反しがちな特性を高いレベルで両立させ、さらにフライアッシュのような産業副産物を活用できる可能性を示したことは、持続可能な社会の実現に貢献する意義も大きいと言えます。MOCFの持つこれらの優れた特性は、省エネルギー建築や災害に強い建物の実現に寄与し、未来の建築・建設産業に新たな価値をもたらすことが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Effect of ultrafine steel slag on passive film stability of reinforcing steel in alkali-activated slag systems

近年、持続可能な建設材料への関心が高まる中、アルカリ活性スラグ(AAS)は、その優れた環境性能と強度特性からセメント代替材料として大きな期待が寄せられています。しかし、AASシステムにおける鉄筋の腐食防止メカニズム、特に不動態皮膜の形成とその安定性に関する理解は、その普及に向けた重要な研究課題であり続けています。この背景のもと、本研究は、AASシステムに超微細製鋼スラグ(USS)を導入することが、鉄筋の不動態化特性と腐食抵抗性にどのような影響を与えるかを、理論的な分析と多様な先進技術を用いた包括的な評価を通じて明らかにしました。

実験結果は、USSの導入がAAS間隙溶液のアルカリ度を大幅に高め、イオン組成を最適化することを示しています。特に、ナトリウムイオン(Na⁺)濃度を高め、カルシウムイオン(Ca²⁺)の利用可能性を適度に増加させることが確認されました。また、有害な硫化物種(S²⁻およびHS⁻)の濃度を低減し、これらが鉄と複合体を形成するのを抑制することで、硫酸塩種の安定性を促進する効果が認められました。電気化学的評価からは、USSを含むシステムにおいて、鉄筋の不動態皮膜の優れた安定性、分極抵抗の増加、および腐食抵抗性の向上が実証されました。

さらに詳細な分析として、モット・ショットキー(M-S)プロットによる半導体特性解析では、USSの添加によって浅いおよび深いドナー密度の両方が減少し、これが不動態皮膜の電子安定性の向上と欠陥状態の低減に繋がることが示唆されました。X線光電子分光法(XPS)およびエネルギー分散型X線分析(EDS)を用いた表面特性評価では、USSを含むAASシステムにおいて、厚く、化学的に均一で、三価鉄(Fe³⁺)に富む水酸化物不動態皮膜が鉄筋表面に形成されることが確認されました。原子間力顕微鏡(AFM)による観察では、USSなしの溶液で形成される皮膜と比較して、USSを含む溶液で形成された不動態皮膜はより滑らかで均一であることが明らかになりました。これらの多角的な発見は、USSが不動態皮膜の化学的、構造的、電気化学的完全性を強化する上で極めて有益な役割を果たすことを確証するものです。

本研究で得られた知見は、超微細製鋼スラグがアルカリ活性セメント系材料システムにおける鋼材の腐食抵抗性を向上させる大きな可能性を秘めていることを強調しています。これは、AASを基盤とした持続可能な建設材料の設計と開発において、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を大幅に向上させ、インフラの長寿命化に貢献するための重要な道筋を示すものと言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Mechanical enhancement induced by high interfacial interlocking in cement-based composite mixed with waste printed circuit boards

現代社会において、電子機器の急速な普及とそのライフサイクルの短縮化は、廃プリント基板(WPCB)に代表される大量の電子廃棄物排出という深刻な環境問題を引き起こしています。特にWPCBに含まれる非金属成分は分解されにくく、その効果的な処理は世界中で喫緊の課題となっています。こうした背景から、電子廃棄物の画期的なリサイクルと、持続可能な社会に貢献する新しい建設材料の開発が強く求められています。本研究は、この非分解性の非金属部分をセメント系複合材料に組み込むことで、有害物質の安定化を図りつつ、建材としての構造性能を向上させるという画期的なアプローチを試みました。これにより、環境負荷の低減と、資源循環型社会への貢献を目指しています。

本研究では、廃プリント基板の非金属部分を配合したセメント系複合材料について、圧縮強度試験、微細構造解析、重金属溶出評価、ライフサイクルアセスメント(LCA)といった多角的な評価を実施しました。その結果、この複合材料が顕著な機械的性能向上を示すことが明らかになりました。具体的には、28日強度が従来の材料と比較して14.5%増加しただけでなく、亀裂の発生と伝播が遅延し、優れた耐亀裂性を発揮することが確認されました。この性能向上は、非金属成分中の残留樹脂でコーティングされたガラス繊維が、セメントマトリックス内で「高界面かみ合わせ」を形成することに起因します。この強固なかみ合わせが繊維引き抜き時のエネルギー散逸を促進し、材料の靭性と強度を高めています。微細構造解析からは、大型細孔の減少と緻密化が確認されました。環境安全性についても、中性および酸性条件下での溶出試験において、重金属の溶出濃度が有害廃棄物規制値を下回ることが実証されました。さらにLCAの結果からも、従来のモルタルに比べて炭素排出量が低減され、全体的な環境負荷が小さいことも示され、環境面での優位性も明らかとなりました。

今回の研究は、廃プリント基板の非金属部分をセメント系複合材料に活用することが、安全かつ持続可能で高性能な建設材料実現の有望な道であることを示しました。この成果は、大量に排出される電子廃棄物の革新的な再利用方法を提示するものであり、資源の有効活用と環境負荷の低減に大きく貢献します。また、機械的特性、微細構造、環境安全性、そしてライフサイクル全体の視点から電子廃棄物を建設材料として評価する新しい統合的な枠組みを確立した点も重要な意義を持ちます。本研究は、建設・建材産業における電子廃棄物の活用に新たな扉を開き、持続可能な社会の実現を加速させる技術として、その応用展開が大いに期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)