AIニュース|2025-12-02 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 1 本の要点をまとめました。


Reactive components and alkali leaching behavior of lunar regolith simulant for geopolymer production

月面探査や将来的な月面基地建設が現実味を帯びる中、地球からの物資輸送コスト削減のため、月面の現地資源を活用した建材開発は極めて重要な課題である。月レゴリス(月の砂や塵)を主原料とするジオポリマーは、低温で製造可能であり、地球外環境での利用が期待される有望な建材候補の一つである。しかし、月レゴリスの組成が極めて不均一であるという根本的な課題が存在し、これが製造されるジオポリマーの特性を精密に制御する上での大きな制約となっていた。本研究は、この課題を克服するため、月レゴリス模擬物質のアルカリ活性化特性とそのメカニズムを詳細に分析し、ジオポリマーの性能を規制する要因を明らかにすることを目指した。具体的には、原料の鉱物組成から反応活性、そして最終的な機械的特性へと一貫した分析を行い、ジオポリマー製造の基礎的な知見を深めた。

分析の結果、月レゴリス模擬物質(HIT-L-2)において、非晶質相が最も高いアルカリ反応性を示すことが明らかになった。一方、オリビン、輝石、斜長石といった結晶質相の溶解には特定の温度閾値が必要であり、その反応性はオリビンが最も高く、次いで輝石、斜長石の順で低下することが判明した。さらに重要な発見として、ジオポリマーの形成に不可欠なケイ素(Si)とアルミニウム(Al)のアルカリ浸出挙動に顕著な差異が見出された。Siの溶解活性化エネルギー(86.75–95.97 kJ/mol)はAlのそれ(64.44–74.07 kJ/mol)よりも高く、この差によって浸出条件が強化されると浸出液中のSi/Alモル比が2.01から4.16へと大きく変動することが示された。これらの結果は、原料となる鉱物相の組成構造と、アルカリ浸出の温度、アルカリ濃度、期間といったパラメーターが、複合的に元素の溶解挙動を支配し、それがジオポリマーの最終的な組成や微細構造に直接的な影響を与えることを明確に示唆している。

本研究で得られた最も実用的な知見の一つは、ジオポリマーの圧縮強度がSiおよびAlの浸出率と非常に強い正の線形相関(相関係数R > 0.95)を示すことである。これは、原料の浸出挙動を制御することで、ジオポリマーの最終的な機械的強度を予測し、設計することが可能であることを意味する。実際に、実用上十分な圧縮強度(16–29 MPa)を持つジオポリマーブロックは、養生温度を90°Cに維持した場合にのみ安定して製造できることが確認された。これらの地球上の条件下で確立された「組成-特性」の関係性に関する理解は、将来的に月面で入手可能な月レゴリスの組成変動に対応し、必要な性能を持つジオポリマーを「オンデマンド」で設計・製造するための極めて重要な予備的参考情報となる。もちろん、実際の月面環境におけるさらなる検証は不可欠であるが、本研究は、月面基地建設という壮大な目標に向けた、現地資源活用型建材開発における大きな一歩を記したと言えるだろう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)