AIニュース|2025-12-13 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Multi-scale valorization of high-volume fly ash backfill: Synergistic regulation of hydration kinetics and energy evolution by sodium lignosulfonate

持続可能な鉱業活動において、石炭火力発電所から大量に排出されるフライアッシュ(HVFA)をセメント系充填材として高付加価値化することは、環境負荷低減と資源循環に資する重要な戦略です。しかし、HVFAを多量に利用する充填材の開発では、スラリーの流動性(作業性)と、硬化後の機械的強度発現との間に長らく技術的トレードオフが存在していました。流動性を高めると強度が低下し、逆に強度を追求すると作業性が損なわれるという課題が、その実用化を阻む主要因となっていました。

本研究は、この課題に対し、リグノスルホン酸ナトリウム(SL)がHVFA充填材の性能に及ぼす相乗的な調整効果を、多段階的な分析手法を統合し、そのメカニズムを詳細に解明しました。その結果、最適なSL添加量0.3%が、優れた作業性と凝結特性を効果的に両立させることを見出しました。この添加量では、スランプ値が約1割向上しつつ、凝結遅延を制御可能な範囲に抑えることが可能です。特に重要な発見は、水和速度論の定量分析により、SLが初期の水和反応を遅らせる一方で、長期的な反応効率を劇的に向上させるという、性能の経時的な「逆転」現象が明らかになった点です。28日目には対照群を上回る高い化学結合水含有量が確認され、SLがセメント水和とポゾラン反応を長期的に促進し、微細構造の緻密化に寄与することが示唆されました。また、この微細構造の緻密化が巨視的な破壊メカニズムに影響を与え、損傷モードが変化することも示され、HVFAシステムのプロセス-構造-特性関係が明確に確立されました。

本研究で確立されたSL改質HVFAシステムの科学的基盤は、高性能かつ低炭素な鉱業用充填材の設計と開発に向けた画期的な知見を提供します。流動性の確保と長期的な強度発現という従来の課題を克服する今回の成果は、鉱山におけるフライアッシュの有効活用を促進し、セメント使用量の削減を通じた二酸化炭素排出量の低減にも貢献します。これにより、鉱業における環境負荷を大幅に軽減し、より持続可能な資源開発プロセスへの移行を加速させるものとして、その社会的・産業的意義は極めて大きいと言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Advanced modelling of moisture transport process in unsaturated cementitious materials considering multi-modal pore size distributions

セメント系材料、特にコンクリートは、インフラ構造物から建築物まで多岐にわたる用途で不可欠な材料です。これらの材料の耐久性や性能は、内部での水分移動挙動に大きく左右されることが知られています。例えば、水分浸透は凍害、塩害、アルカリ骨材反応などの劣化メカニズムを促進し、材料の長期的な健全性に深刻な影響を及ぼします。しかし、セメント系材料は内部に複雑な細孔構造を持つため、不飽和状態における水分(水蒸気や液体水)の透過プロセスを正確に予測することは極めて困難でした。従来の水分移動モデルは、細孔構造の複雑さを単純化して扱ってきたため、現実の材料挙動を十分に説明できず、特に吸着・脱着過程で異なる水分挙動を示すヒステリシス現象の理解が不十分であった点が、より精度の高い予測モデル開発の障壁となっていました。

このような背景に対し、本研究は、多峰性の細孔径分布を考慮した微細構造ベースの水分移動予測モデルを開発し、セメント系材料における水分輸送プロセスの理解を大きく前進させました。研究の核心は、まず細孔スケールでの詳細な解析を通じて、細孔構造の特徴と水蒸気吸着等温線の関係を定量的に確立した点にあります。特に注目すべきは、脱着時に細孔閉塞効果によって閉じ込められる水の割合を特徴づけるために、新しいS字関数を導入したことです。この関数は、閉じ込められる水の割合がピーク細孔径に強く依存することを示しており、従来のモデルでは十分に捉えきれなかった吸着・脱着ヒステリシス現象のメカニズム解明に貢献します。さらに、本モデルは、従来の単一細孔径分布ではなく、セメント系材料に特有の複数のモードを持つ対数正規細孔径分布を考慮することで、現実に即した材料内部の複雑な細孔構造をより正確に反映することを可能にしました。

開発されたモデルは、細孔閉塞とキャビテーションメカニズムの両方を考慮した水蒸気吸着等温線、吸着および脱着時の相対透過率、そして内部水分分布の予測において、実験データと極めて良好な一致を示し、その高い精度と妥当性が検証されました。本研究から得られた主要な知見の一つは、より緻密な細孔構造を持つ材料が、同じ相対湿度条件下でより高い水分飽和度を保持するという点です。これは、材料設計において細孔構造の最適化が水分管理にいかに重要であるかを示唆しています。また、従来の単峰性アプローチと比較して、多峰性細孔径分布モデルが水分移動挙動をより包括的に表現できることが強調されました。本研究は、細孔スケールでのメカニズムと巨視的スケールでの輸送モデリングとを結びつけることで、セメント系材料の水分輸送を調査するための高度な数値アプローチを提案しました。この革新的なアプローチは、セメント系材料の耐久性向上や新規材料開発において、より効果的な設計と評価を可能にし、将来的なインフラの長寿命化に貢献すると期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Coupled environmental impacts on FRP properties in polar regions

極地の過酷な環境下で建設される構造物の設計には、材料特性と極地特有の複合的環境要因との関係性理解が不可欠です。極低温、紫外線、湿度変化などが同時に作用する極地では、材料が一般的な環境とは異なる挙動を示す可能性があります。軽量高強度な繊維強化ポリマー(FRP)の極地応用が期待される一方、その耐久性や劣化メカニズムの体系的理解が不足しており、極地でのFRP利用の安全性と信頼性確保の課題となっていました。

本研究は、この課題に対し、直交実験計画法と多因子環境曝露スキームを組み合わせ、極地を模擬した複合条件下でFRPの機械的挙動を系統的に調査しました。引張、曲げ、シャルピー衝撃試験に加え、分散分析で環境変数の材料劣化への影響と相互作用を特定し、マクロ・ミクロレベルの形態分析で破壊メカニズムを精密に解明。従来の単一因子評価では見過ごされがちだった複合的な影響を捉え、FRPの本質的な劣化挙動に迫った点が大きな新規性です。

研究の結果、FRPは全体として極地環境に対し良好な適応性を示しつつも、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)とガラス繊維強化ポリマー(GFRP)とで異なる劣化挙動が明確になりました。CFRPは、マトリックス脆化、界面剥離、繊維破断といった漸進的な損傷を受け、衝撃靭性が最大で30%低下し、層間せん断強度も損なわれることが判明しました。対照的に、GFRPは水素結合に起因する層間剥離や亀裂偏向といった独自のエネルギー散逸メカニズムにより、比較的安定した性能を維持することが示唆されます。

これらの知見は、極限環境におけるFRP材料の耐久性および破壊挙動に関する貴重な科学的洞察を提供します。CFRPとGFRPで異なる劣化メカニズムが明らかになったことは、将来の極地工学構造物の設計において、より適切な材料選択や耐久性評価を行うための強固なデータ基盤構築に貢献。本研究成果は、極地での持続可能な開発やインフラ整備におけるFRPの安全かつ信頼性の高い応用を可能にし、未来の極地インフラ開発の安全性と効率性向上に繋がるものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)