AIニュース|2025-12-18 Cement の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Cement」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Enhanced dynamic strength and energy absorption in cement-based composites via 3D-printed honeycomb structures

セメント系複合材料は、耐衝撃保護工学分野で広く用いられていますが、地震や衝突といった動的な負荷が加わった際のエネルギー吸収効率に課題がありました。この限界を克服するため、本研究では3Dプリント技術で作製したハニカム(蜂の巣状)構造をセメント系複合材料に組み込み、その動的な性能向上を目指しました。

本研究では、異なる3種類のセルサイズ(6mm、8mm、10mm)を持つハニカム構造で補強されたセメント系複合材料を開発し、様々なひずみ速度条件下での動的圧縮挙動と損傷の進行を評価しました。機械的試験で動的強度、破壊エネルギー、破壊モードを分析し、有限要素シミュレーションで損傷メカニズムを解明しました。その結果、ひずみ速度の増加とともに動的圧縮強度と破壊エネルギーが著しく向上する、顕著なひずみ速度強化効果が示されました。ハニカム構造による補強は材料の動的性能を大幅に高め、その効果はセルサイズに大きく依存することが判明しました。最小セルサイズである6mmのハニカム構造を持つ複合材料は最適な特性を発揮し、未補強の対照群と比較して動的圧縮強度が35.03%~44.03%向上、破壊エネルギーは54.78%~136.17%もの大幅な増加を達成しました。この優れた性能は、小セルサイズのハニカムが形成する高密度のセル壁ネットワークが応力を効果的に分散させ、亀裂の伝播を抑制するメカニズムによるものです。さらに、ハニカム構造は材料の破砕を抑制し、低ひずみ速度下でも高い構造的完全性を維持しました。塑性変形や漸進的な破壊を介して損傷の進行を効果的に抑制し、巨視的な亀裂の成長を遅らせることで、エネルギー吸収能力を大幅に向上させることが示唆されました。

今回の研究は、従来のセメント系複合材料が抱えていた動的負荷下のエネルギー吸収効率の課題に対し、3Dプリントハニカム構造という革新的な解決策を提示しました。これらの知見は、保護工学分野において、より高性能な耐衝撃性セメント系材料を開発するための新しい設計指針と理論的基盤を提供するものです。将来的に、本技術は災害に強い社会基盤の構築や、特殊な防護構造物の設計など、幅広い応用が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Physical properties and microscopic mechanism of the Portland cement prepared using lime residue and gasification slag

現代社会に不可欠なポルトランドセメントは、石灰石や粘土などの天然資源を主原料とするため、資源枯渇や環境負荷が課題です。この問題解決に向け、産業廃棄物をセメント原料として再利用する研究が世界的に注目されています。本研究では、これまで固形廃棄物とされてきたライム残渣(LR)とガス化スラグ(GS)に着目しました。LRはカルシウムを、GSはケイ素やアルミニウムをそれぞれ豊富に含んでおり、これらはポルトランドセメントの主要成分と組成的に類似するため、天然資源の代替原料としてセメント製造に活用できる大きな可能性を秘めています。

研究チームは、LRとGSを異なる混合比(LR:GSが70:30から76:24まで)で組み合わせ、新たなポルトランドセメントの製造を試みました。調製されたセメントについて、焼成温度やクリンカーの相組成、硬化体の強度特性、水和メカニズムを、多角的な分析手法で詳細に解析しました。その結果、セメントは1470℃で形成され、クリンカー相は一般的なポルトランドセメントと同様の主要鉱物で構成されることも確認されました。性能評価では、LR:GS混合比が72:28、74:26、76:24のセメントが、市販セメントの品質基準である42.5級、42.5R級、325R級の強度を満たすことが明らかになりました。水和過程では、棒状のエトリンガイト、非晶質のC-S-Hゲル、層状の水酸化カルシウムといった生成物がセメントの緻密性を高め、LR:GS比が高いほど、また養生時間が長いほど緻密化が促進される傾向が観察されました。しかし、LR:GS比が76:24と過剰な場合は、クリンカー中の遊離CaOや水和相中の水酸化カルシウムの過剰な増加により、有害な空隙が形成されやすくなることで、セメント硬化体の健全性が損なわれ、持続的な強度発現が阻害されるという重要な知見も得られました。

本研究は、これまで廃棄物であったライム残渣とガス化スラグが、ポルトランドセメント生産において付加価値の高い代替原料として利用できる実現可能な道筋を示しました。これは、天然資源への依存を減らし、セメント産業における原料の持続可能な供給源を確保する上で重要です。固形廃棄物を有効活用することで、資源循環型社会への移行を加速させ、環境負荷の低減に大きく貢献できると期待されます。今後、実用化に向けたさらなる研究や、長期的な耐久性の評価を通じて、このアプローチがセメント産業の持続可能性を高める一助となるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Properties and self-healing effect of shape memory polyurethane-based sealant for cement concrete pavement joint

セメントコンクリート舗装の目地は、交通荷重や温度変化によってひび割れが発生しやすく、これが舗装全体の劣化を早める主要因となっています。従来のシーラント材料では、一度生じた損傷を修復することは困難であり、定期的な補修が不可欠でした。こうした背景から、損傷を自己で修復する機能や、変形しても元の形状に戻る形状記憶機能を有する「スマート材料」への期待が高まっています。本研究は、こうした課題解決を目指し、形状記憶ポリウレタン(SMPU)を基盤とし、自己修復機能と形状記憶機能の両方を兼ね備えたスマートシーラントを開発することを目的としています。

本論文では、形状記憶特性と機械的特性の向上を目的として二酸化ケイ素(SiO2)を、自己修復機能の強化のためにポリカプロラクトン(PCL)を、それぞれSMPUに複合化するアプローチが採用されました。開発された複合材料は、目地用シーラントとしての適用を想定し、二次元(2D)形状記憶性能を持つようにプログラミングされています。研究では、作製されたシーラントの相構造、粘弾性、2D形状記憶、機械的特性、および繰り返し自己修復特性が詳細に評価されました。その結果、PCLとSMPUは物理的に混合され、PCLの添加がSMPUの相転移温度に大きな影響を与えない一方で、シーラントの結晶性をわずかに低下させることが明らかになりました。また、シーラントの貯蔵弾性率と損失弾性率を向上させ、形状記憶と自己修復に必要な十分な形状回復能力と粘度を確保するためには、PCLの最適な添加量が重要であることを見出しました。さらに、形状記憶性能が自己修復機能発現の前提条件であり、PCLが少なすぎると十分な自己修復機能を発揮せず、多すぎるとシーラントの機械的特性が低下することも明らかになりました。

特に、PCLを10 wt%含有するスマートシーラントが、最も優れた機械的特性、粘弾性、形状記憶特性、および自己修復特性を示すことが実証されました。この最適な組成を持つシーラントは、61.03%という高い自己修復率を達成し、さらに5回の損傷-修復サイクルを経た後でも、30.17%という高い修復率を維持する優れた繰り返し自己修復能力を有することが確認されました。自己修復後には、シーラント内の微細な亀裂がほぼ完全に修復され、複数回の損傷-修復サイクル後も、材料が良好な性能を維持できることが示されました。この革新的なスマートシーラントの開発は、コンクリート舗装の目地の耐久性を大幅に向上させ、結果として舗装全体のサービスライフを延長する可能性を秘めています。これは、インフラの長寿命化とメンテナンスコストの削減に大きく貢献する、実用的な意義の大きい技術的進歩であると言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)