AIニュース|2025-12-20 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Synthesis of ambient-cured geopolymer with recycled glass as binder and fine aggregate: Enhancing mechanical and durability performance

従来の建築材料であるセメントは、その製造過程で大量の二酸化炭素を排出することから、地球温暖化への影響が懸念されており、持続可能な社会の実現に向けた代替材料の開発が喫緊の課題となっています。こうした背景の中で、産業副産物から合成されるジオポリマーは、低炭素でありながら優れた性能を発揮する次世代の建築材料として注目を集めています。しかし、ジオポリマーのさらなる普及には、使用する産業副産物の種類の拡大や、製造過程でのエネルギー消費を抑えられる常温養生条件下での性能向上といった課題が残されていました。

本研究は、こうした課題に対し、未利用資源である廃棄ガラスに着目し、その革新的な活用法を提案するものです。具体的には、廃棄ガラス粉末(GP)をセメント代替バインダーの一部として、また廃棄ガラス砂(GS)を天然砂に代わる細骨材として、ジオポリマーモルタルに「二重に」組み込むという独自のアプローチを開発しました。この手法は、ガラス廃棄物の高付加価値化と、ジオポリマーモルタルの性能向上を同時に目指すものであり、特に製造過程でのエネルギー消費を抑えられる常温養生条件下での適用に重きを置いた点が特筆すべき新規性と言えます。研究チームは、バインダーにGP 50%、フライアッシュ(FA) 25%、高炉スラグ(GGBS) 25%を組み合わせ、細骨材として天然砂をGSで25%から100%まで置換したモルタルを調製し、その機械的特性、耐久性、微細構造を系統的に評価しました。

その結果、細骨材としてGSを50%置換したジオポリマーモルタルが、GSを含まない対照試料と比較して、最適な性能を発揮することが明らかになりました。具体的には、流動性が9%向上し、圧縮強度が13%、劈開引張強度が14%それぞれ向上しました。さらに、建築材料として重要な耐久性に関しても顕著な改善が見られ、乾燥収縮が71%も大幅に低減され、吸水率も2%低減されました。これらの優れた性能は、微細構造解析によって裏付けられました。GSから溶出した反応性シリカがジオポリマー化反応を促進し、アモルファスゲルの形成を促すことで、気孔率が減少し、より緻密で均質なマトリックス構造が構築されたことを示しています。

本研究の成果は、廃棄物であるガラスを、環境負荷の低い次世代建築材料の主要な構成要素として有効活用できる画期的な道筋を示しています。常温養生条件下で優れた機械的強度と耐久性を備えるジオポリマーモルタルの開発は、従来のセメントに依存する建設業界の慣行を変革し、二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献する可能性を秘めています。これは、資源循環型社会の実現に向けた重要な一歩であり、ガラス廃棄物の有効活用と、より持続可能な建築材料の供給に繋がるものとして、今後の実用化が大いに期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Preparation, characterization, and analysis of wollastonite-enhanced kaolinite-based porous geopolymer and its reinforcing mechanism

環境負荷低減と省エネルギー化が求められる現代において、建材分野では高性能かつ環境に優しい材料の開発が急務です。多孔質ジオポリマー材料は、製造時の二酸化炭素排出量の少なさ、原材料のコスト効率の高さ、そして優れた断熱性能から、次世代の持続可能な建材として注目を集めています。しかし、その多孔質構造に起因する機械的強度の不足が実用化の大きな課題であり、高い断熱性を保ちつつ必要な耐久性を確保する必要がありました。

この課題に対し、本研究は多孔質ジオポリマーの機械的強度を改善する新たなアプローチを提案しました。研究チームは、高硬度・高融点のミクロンサイズ繊維である珪灰石(WS)に着目。この珪灰石繊維を多孔質ジオポリマーシステムに**初めて**導入し、材料の機械的性能の向上を目指しました。カオリナイトを主成分とする多孔質ジオポリマー断熱材を対象に、珪灰石ウィスカーの添加が、微細構造、相組成、密度、圧縮強度、熱伝導率、熱安定性といった物理化学的特性に与える影響を体系的に調査しました。

具体的には、珪灰石繊維を重量比で5%添加した熱処理済みの多孔質ジオポリマーは、0.162 g/cm³の軽量性を保ちつつ、熱伝導率0.056 W/(m·K)という優れた断熱性能と、圧縮強度0.62 MPaという大幅に改善された機械的強度を両立しました。これにより、従来の機械的強度不足を克服し、理想的な性能バランスを実現しました。この強化メカニズムは、導入された珪灰石ウィスカーが材料内部で繊維架橋として機能し、破壊抵抗力を高めることに加え、ジオポリマーマトリックスとの界面接着強化により応力伝達効率を向上させるためと考えられます。さらに、珪灰石繊維の添加は細孔サイズの微細化と細孔壁の強化を促し、これらが全体の機械的特性と熱安定性の向上に寄与していることが突き止められました。

本研究の成果は、環境に優れ、優れた断熱性を持つ一方で課題であった機械的強度を大幅に向上させた新規多孔質ジオポリマー材料の開発に成功した点で、極めて重要な意義を持ちます。この革新的な材料は、建築分野の高性能断熱材や、軽量かつ高強度を求められる様々な構造材として、幅広い応用が期待されます。本研究で確立された強化メカニズムの理解は、今後のジオポリマー材料設計に新たな指針を与え、持続可能な社会実現に向けた材料科学の発展に貢献すると期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Synergistic Effect of Multi-Supplementary Materials on Rheology and Ultra-Early Stage Properties of 3D Printable FA-GBFS Geopolymer

3Dプリンティング技術の急速な発展に伴い、その造形性を左右する主要因である材料のレオロジー(流動特性)制御の重要性が増しています。特に、産業廃棄物を主原料とする環境配慮型素材として注目されるジオポリマーは、高い強度と耐久性を持ちながらも、その複合的な組成ゆえに、造形初期の流動性や凝結挙動を精密に制御することが難しいという課題を抱えていました。これまでの研究では、個々の産業廃棄物がジオポリマーの特性に与える影響は検討されてきたものの、複数の廃棄物を組み合わせた際の、特に超初期段階におけるレオロジーへの相乗的または複合的な影響については十分に解明されておらず、その性能最適化の大きな障壁となっていたのが現状です。

この課題を解決するため、本研究はフライアッシュ(FA)と高炉スラグ(GBFS)を主成分とするジオポリマーに対し、スチールスラグ(SS)、シリカフューム(SF)、排煙脱硫石膏(FGD)といった様々な産業副産物を単独または複合的に添加し、その超初期レオロジー特性とメカニズムを詳細に解析しました。具体的には、混合からわずか3分後のペーストサンプルに対し、レオロジー試験、ミニスランプ測定、そして微細構造解析を組み合わせることで、各添加剤がジオポリマーの流動性や構造形成にどのように影響するかを包括的に評価しました。その結果、特にシリカフュームとスチールスラグの組み合わせ(SF-SS)、およびスチールスラグと排煙脱硫石膏の組み合わせ(SS-FGD)が、FA-GBFS系ジオポリマーのレオロジーおよび超初期特性に単独添加時よりも顕著かつ良好な影響を与えることを突き止めました。

この相乗効果の根底には、驚くべき微細構造レベルでのメカニズムが確認されました。シリカフュームがスチールスラグの表面に吸着されることで、スチールスラグから供給される高いアルカリ性がシリカフュームの溶解を劇的に促進します。同時に、スチールスラグがシリカフュームをコーティングするように作用することで、粒子間の摩擦抵抗が増加し、これがジオポリマーペースト全体の内部抵抗を高める結果となりました。このような複合的な相互作用は、緻密で強固なC(N)-A-S-HおよびC-S-Hといったゲルネットワークの形成を劇的に促進し、結果としてジオポリマーの内部構造の完全性と、3Dプリンティングにおける自己支持性や層間接着性に不可欠なチクソトロピー回復能力(構造破壊後の再構築能力)を著しく向上させることに成功しました。

本研究は、産業廃棄物由来の複数の補強材がジオポリマーの超初期特性に及ぼす複雑な相互作用と、その微細構造レベルでのメカニズムを初めて体系的に解明した点で極めて高い新規性を有しています。この画期的な知見は、3Dプリンティング技術を用いた建築分野において、高機能かつ環境負荷の低い次世代型建築材料の開発を加速させるものです。特に、未利用の産業廃棄物を高付加価値な建材へと転換する道筋を示すとともに、廃棄物の削減と資源循環型社会の実現に大きく貢献する可能性を秘めており、持続可能な社会の構築に向けた重要な一歩となるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)