AIニュース|2025-12-22 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Effects of nano-calcium carbonate on the durability and mechanisms of sludge-based geopolymer

持続可能な社会の実現に向け、環境負荷の低い建築材料としてジオポリマーの開発が注目されています。特に、産業廃棄物である汚泥を原料とするジオポリマーは、資源の有効活用と環境負荷低減の観点から有望視される一方で、原材料固有の欠陥により耐久性に課題を抱えていました。高温や酸性雨といった過酷な環境条件下での劣化が実用化を阻む主要因となっており、その幅広い工学応用には耐久性の抜本的な改善が不可欠でした。

本研究では、この課題に対し、ナノ炭酸カルシウム(NC)を汚泥ベースジオポリマーの改質材として導入しました。NCの最適な添加量を特定し、建設材料に不可欠な高温耐性、酸性雨腐食耐性、炭酸化耐性という三つの耐久性側面から、その向上効果を詳細に評価しました。研究チームは、X線回折(XRD)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、熱重量分析(TGA)、走査型電子顕微鏡(SEM)、水銀圧入法(MIP)といった高度な分析技術を駆使し、NCが汚泥ベースジオポリマーの耐久性をいかに改善するか、そのメカニズムを明らかにしました。

分析の結果、ナノ炭酸カルシウムはジオポリマーマトリックスの多孔性を効果的に低減させ、適切な量のNC添加がジオポリマー化プロセスを加速し、より緻密な微細構造を形成することが判明しました。この緻密な構造が、材料内部での亀裂伝播を抑制し、熱安定性と不浸透性を著しく向上させることを示しました。特に、NCで改質されたジオポリマーは、過酷な環境下で顕著な耐久性を示しました。例えば、800℃で2時間焼成した後でも、改質サンプルの圧縮強度は5 MPaに達し、これは対照群と比較して92.3%の向上に相当します。また、96日間の酸性雨曝露後も強度は6.27 MPaを維持し、対照群に対して215%もの増加率を記録しました。これらの結果は、ナノ炭酸カルシウムが汚泥ベースジオポリマーの耐久性を飛躍的に高める強力な改質材であることを示しており、廃棄物由来のジオポリマーの実用化と持続可能な建築材料開発に重要な一歩を記すものです。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Sustainable design of rubberised geopolymer-based ultra-high performance concrete using waste tyres: Mechanical, microstructural, and environmental evaluation

現代社会において、インフラ建設は不可欠である一方、その環境負荷、特にセメント製造に伴う大量の二酸化炭素排出が地球規模での課題となっています。また、世界的に増え続ける廃タイヤの処理も深刻な環境問題であり、その有効活用が求められています。高性能なコンクリート材料の開発は進むものの、高強度と同時に、地震や衝撃に対する高い靭性や耐久性を確保し、かつ環境負荷を低減する材料の実現は、長年の研究課題でした。従来のゴム粒子を配合したコンクリートは、その衝撃吸収性や柔軟性が期待される一方で、セメントとゴムの界面接着不良からくる強度の著しい低下が実用化を阻む大きな要因となっていました。このような背景の中、環境負荷の低い代替材料の開発と、廃材の有効活用による高性能化の両立が強く望まれています。

本研究は、セメントを使用しないジオポリマー超高性能コンクリート(GUHPC)に、廃タイヤゴムを砂の代替として配合するアプローチを試みました。廃タイヤゴムを粒度や代替率(10%から30%)を制御して添加し、その性状や機械的特性、そして環境負荷が多角的に評価されました。その結果、アルカリ性のジオポリマーマトリックスがゴムの親水性と界面接着を改善し、従来のセメント系ゴム入りコンクリートと比較して強度低下を軽減することが判明しました。特にハイブリッド粒度のゴムを配合した場合は、充填性の向上と骨材骨格の連続性によって強度損失が最小限に抑えられ、同時に靭性指数が大幅に向上し、亀裂の進展も抑制されました。例えば、ゴム代替率30%では強度は低下したものの、圧縮エネルギー吸収と初期の曲げ靭性は顕著に向上しました。さらに、廃タイヤゴムの砂への代替により、二酸化炭素排出量は26%から最大79%削減され、材料コストも約10%低減できることが示されました。一連の評価を通じて、ゴム代替率20%のハイブリッドミックスが、高強度と優れた延性を維持しつつ、二酸化炭素排出量を53%削減するという、最適な性能バランスを提供することが明らかになりました。微細構造分析からは、ギザギザの中粒ゴム界面における機械的噛み合いが、結合強化に寄与していることも解明されています。

これらの成果は、建設業界における持続可能な材料設計に新たな道を拓くものです。廃タイヤのリサイクルを促進しつつ、セメントフリーの高性能コンクリートを実現することで、地球温暖化対策と資源循環型社会の構築に大きく貢献します。本研究で開発されたゴム入りGUHPCは、その高い靭性と弾性、そして環境負荷低減という特性から、衝撃吸収性ファサードパネル、エネルギー散逸型安全バリア、耐久性に優れた舗装オーバーレイといった、高靭性や弾性が極めて重要な役割を果たす多様なインフラや保護用途への応用が期待されます。本技術の実用化は、より安全で持続可能な社会インフラの実現に向けた大きな一歩となるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Novel heavyweight geopolymer concrete with mill scale and barite aggregates for sustainable radiation shielding applications

原子力施設、医療機関、そして特定の産業分野において、放射線からの安全確保は極めて重要であり、高効率な放射線遮蔽材が不可欠です。これまで主要な遮蔽材としてセメント系コンクリートが使われてきましたが、その製造過程で排出される大量の二酸化炭素は環境負荷という課題を抱えていました。また、高密度の遮蔽性能を確保するためには特殊な骨材が必要となり、そのコストや持続可能性も課題となっています。さらに、製鉄業から排出されるミルスケールのような産業副産物の有効活用も喫緊の課題です。こうした背景から、環境に優しく、かつ優れた放射線遮蔽性能を持つ持続可能な新材料の開発が強く望まれていました。

この喫緊の課題に応えるため、最新の研究では、セメントを一切使用しない画期的な高密度ジオポリマーコンクリート(HWGC)が開発されました。本研究の最大の新規性は、製鉄過程で生じる産業副産物であるミルスケール(MS)と、天然に存在する高密度鉱物である重晶石(BR)を、細骨材および粗骨材の代替として様々な割合で組み合わせた点にあります。これは、ジオポリマーコンクリートにMSとBRを複合利用した初の試みであり、産業廃棄物の有効活用と高機能化を同時に目指すものです。研究チームは、MSとBRの代替割合を0%から100%まで段階的に変えて複数の配合を設計し、その物理的特性、機械的強度、そして最も重要な放射線遮蔽性能について詳細な評価を行いました。

実験結果は、この新型ジオポリマーコンクリートの顕著な特性を明らかにしました。ミルスケールと重晶石の含有量が増加するにつれて、材料の密度は著しく向上し、100%置換の配合では、従来の対照試料と比較して密度が約40%も改善されることが示されました。一方で、圧縮強度や引張強度といった機械的強度は、高密度骨材の増加に伴い若干低下する傾向が見られましたが、実用的な応用を十分に考慮できる範囲内です。熱伝導率と超音波パルス速度も置換率の増加とともに低下し、優れた断熱効果を潜在的に持つ可能性が示唆されました。しかし、本研究の最も重要な成果は、放射線遮蔽性能の大幅な向上にあります。ガンマ線(セシウム137)に対する線減衰係数は、100%置換の配合で約39%増加し、高速中性子(アメリシウム241/ベリリウム)除去断面積も約7%向上するという優れた結果が得られました。

本研究で開発された、ミルスケールと重晶石を複合した新型高密度ジオポリマーコンクリートは、従来のセメント系高密度コンクリートに代わる、非常に有望な持続可能な代替材料としての可能性を秘めています。これは、単に優れた放射線遮蔽能力を提供するだけでなく、製鉄産業から排出される大量の産業廃棄物を有効活用し、セメントフリーであるため製造過程における二酸化炭素排出量も大幅に削減します。この革新的な材料は、原子力発電所の遮蔽壁、医療機関のX線室やガンマ線治療室、産業分野の放射性物質貯蔵施設など、広範囲な放射線遮蔽構造物への応用が期待されます。持続可能な社会の実現が強く求められる現代において、本成果は建設材料分野における重要な一歩であり、環境と安全性の両面で新たな基準を打ち立てるものとなるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)