AIニュース|2025-12-25 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Acoustic emission-based flexural fracture analysis of polyethylene fiber reinforced ultra-high performance concrete under low vacuum environment

近年、超高性能コンクリート(UHPC)はその卓越した強度と耐久性から、様々な建設分野での応用が期待されています。しかし、宇宙構造物や真空プロセスを伴う特殊な産業施設など、低真空環境下でのコンクリートの挙動は十分に解明されておらず、その性能や損傷メカニズムを理解し、耐性を向上させることは極めて重要な課題となっています。特に、ポリエチレン繊維補強超高性能コンクリート(PEFRC)は優れた機械的特性を持つ一方で、低真空環境という特殊条件下での長期的な信頼性については、さらなる研究が求められていました。本研究は、このような背景のもと、PEFRCの低真空環境下における曲げ挙動と損傷メカニズムを体系的に解明し、その耐性向上に資する知見を提供することを目的としています。

本研究では、密粒子充填モデルに基づき、異なる繊維含有量(0.75~1.50 vol%)と粗骨材置換率(0, 20%, 40%)を持つPEFRC試験体を設計しました。これらの試験体に対し、三点曲げ試験とアコースティックエミッション(AE)技術を組み合わせることで、大気乾燥(AD)と低真空乾燥(VD)それぞれの条件下における機械的特性と損傷進展を比較分析しました。その結果、低真空環境がPEFRCのピーク後の靭性を低下させることを確認しました。AE解析(リングカウント、AEエネルギー、b値、AF-RA画像)からは、低真空環境下での乾燥による収縮が、繊維の引抜き挙動を悪化させることが示唆されました。これは、AE信号の増加、せん断亀裂の割合増加、そしてb値警告期間の短縮として明確に現れました。しかし、興味深いことに、適切な繊維含有量(1.5 vol%)と粗骨材置換率(20~40%)の相乗効果により、PEFRCは低真空条件下でも優れた破壊靭性を維持し、同時にコスト上のメリットも確保できることが実証されました。これは、安定した繊維-マトリックス-骨材の相乗的構造システムが、低真空環境下でのPEFRCの脆性化を効果的に緩和することを示唆しています。

本研究は、低真空環境という極限条件下におけるコンクリートの挙動とその損傷メカニズムを詳細に解明した点で、学術的・技術的に大きな意義を持ちます。特に、AE技術を駆使して低真空下での繊維引抜き挙動の悪化とそれに伴う脆性化を明らかにし、その対策として繊維と粗骨材の最適な組み合わせを特定したことは、今後の高性能コンクリート材料設計に重要な指針を与えます。本成果は、将来的な宇宙構造物や真空チャンバー、あるいはその他の特殊環境下で使用される次世代の高性能コンクリート開発に向けた、重要な理論的および技術的基盤を提供するものです。これにより、高性能材料の応用範囲が大きく広がり、社会インフラや先端産業の発展に貢献することが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Ultra-high performance concrete and high-strength steel: compressive behavior of concrete-encased cellular steel columns with spiral confinement

近年、建築構造物の高層化、長寿命化、そして耐震性能の向上という社会的な要請に応えるため、高強度・高性能な建築材料の開発と応用が強く求められています。特に、高い強度と耐久性を併せ持つ超高性能コンクリート(UHPCC)と、軽量かつ高強度な鋼材を組み合わせた複合構造は、従来の材料では達成が困難な卓越した性能を発揮する可能性を秘めています。しかし、これらの先進材料を一体化した複合柱部材の軸方向圧縮挙動、特に内部コンクリートの効率的な拘束による部材全体の耐荷力と変形能力の向上には、従来の長方形帯鉄筋では得られにくい新たな帯鉄筋の形状や配置が不可欠であり、詳細な研究が求められていました。

本研究は、この課題に対し、高強度Q690セルラーH形鋼を内蔵し、超高性能コンクリートで被覆された複合柱(UHCES)に、高強度螺旋帯鉄筋を適用した場合の圧縮挙動を、実験的および数値解析的に詳細に調査しました。本研究は、螺旋帯鉄筋による効率的なコンクリート拘束と、内蔵セルラーH形鋼の寄与を包括的に評価し、新たな設計知見を提示しました。8本のUHCES柱の軸圧縮試験では、帯鉄筋設計や鋼材拡張比が、破壊モード、耐荷力、変形能力、剛性、損傷進行に与える影響を明らかにしました。特に、双方向螺旋帯鉄筋を採用したUHCES柱は、従来の長方形帯鉄筋に比べ、耐荷力13.4%、剛性14.5%、変形係数209%の向上を示し、軸圧縮性能で顕著な優位性を実証しました。帯鉄筋間隔短縮も性能を大きく向上させましたが、内蔵鋼材の拡張比は、ある範囲を超えると性能が低下する傾向があり、剛性がその変化に敏感でした。これらの知見に基づき、螺旋帯鉄筋とセルラーH形鋼柱の拘束効果を統合した軸圧縮耐荷力評価解析モデルを開発。このモデルは実験結果に対し平均約5%の高い精度を示し、各構成要素の耐荷力寄与を正確に算出可能であることを示しました。

本研究の成果は、超高性能コンクリートと高強度鋼材を用いた次世代複合柱部材の設計と実用化に向け、極めて重要な貢献をします。螺旋帯鉄筋の導入がもたらす耐荷力、剛性、変形能力の飛躍的向上は、より安全で経済的な高層建築物やインフラ構造物の実現に道を開くものです。これにより、部材の断面縮小による省スペース化や、ひいては建設コストの削減に繋がり得る大きな意義を持ちます。また、開発された高精度な解析モデルは、UHCES柱の設計プロセスを効率化し、将来の設計基準やガイドライン策定の基礎となることが期待されます。本研究で得られた知見は、複合材料を用いた革新的な構造システムの開発を加速させ、持続可能でレジリエントな社会基盤の構築に貢献していくことが展望されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Beanpod-inspired in-situ structural regulation strategy for suppressing the aggregation of graphene oxide towards cementitious composites

近年、高性能なセメント系複合材料の開発が求められる中、優れた機械的特性を持つ酸化グラフェン(GO)はその有力な補強材として注目されています。しかし、GOをセメントに混ぜると、セメント中に含まれるカルシウムイオン(Ca2+)とGOが「カルシウム架橋」と呼ばれる構造を形成し、GOが凝集してしまうという深刻な課題がその実用化を阻んできました。この凝集はGOの分散性を著しく低下させ、結果として期待されるセメント系複合材料の性能向上を阻害する大きな要因となっていました。

この長年の課題に対し、最新の研究成果が提示されました。研究チームは、自然界の「豆のさや」構造から着想を得た革新的なアプローチを提案し、その効果を実証しました。彼らは、豆のさやが豆を包み込むように、GOの内部に水酸化インジウム(In(OH)3)ナノ粒子を「その場(in-situ)」で自発的に構築させるという独自の構造制御戦略を開発しました(この複合体をIGと呼称)。このIn(OH)3ナノ粒子がGOシート間に介在することで、カルシウム架橋による凝集を効果的に抑制し、GOの分散性を飛躍的に向上させることを目指しました。

研究チームは、密度汎関数理論(DFT)計算を用いてIn3+とGO間でのその場での自発的構築メカニズムを理論的に解明し、提案した戦略の妥当性を裏付けました。実験的検証の結果、この新しい「IG」複合材料は、従来のin-situ構造制御を行わないGOと比較して、GOシート間の層間垂直距離を驚異的な1041.2%も拡大させ、分散性も172.32%向上させることに成功しました。この著しい構造改善は、セメント系複合材料の性能向上に直結し、IGを含むセメントペースト(IGC)では、曲げ強度が25.26%、圧縮強度が17.20%それぞれ向上するという顕著な機械的特性の改善が確認されました。

今回の「豆のさや」に着想を得たその場での構造制御戦略は、これまで酸化グラフェンのセメント系複合材料への応用を阻んできた凝集問題に対する、非常に独創的かつ効果的な解決策を示しています。この研究成果は、GOの高性能なセメント材料への適用可能性を大きく広げるとともに、新しい複合材料設計における革新的な概念を提供するものであり、将来的には、持続可能で耐久性の高い建設材料の開発に貢献し、建築・土木分野における工学的応用を大いに促進するものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)