AIニュース|2025-12-31 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


3D printing of continuous carbon fiber-reinforced polymer reinforcement for concrete columns

社会インフラを支えるコンクリート構造物の耐久性向上は、現代社会における喫緊の課題の一つです。特に、構造物内部に埋め込まれる鋼製の鉄筋は、塩害や酸性雨といった環境要因により腐食しやすく、これが構造物の劣化を加速させ、補修や建て替えにかかる膨大なコストと時間の主要因となってきました。近年、こうした問題を解決するため、軽量で高強度、かつ耐食性に優れた繊維強化ポリマー(FRP)が鋼鉄筋の代替材料として注目されています。しかし、FRPを従来の製造法で複雑な形状に加工することや、高い製造コストが実用化への大きな障壁となっており、その普及は限定的でした。特に、材料の性能を最大限に引き出すためには、繊維を連続的に配置し、構造物の応力分布に合わせた最適な形状で補強材を製造することが求められていますが、これまでの技術では実現が困難でした。

このような背景に対し、最新の研究では、コンクリート柱向けの革新的な補強材として、連続炭素繊維強化ポリマー(CCFRP)を3Dプリンティングによって製造する画期的な技術が開発されました。本技術の最大の新規性は、従来のFRP製造法では困難であった連続繊維の最適な配向と複雑な三次元形状の同時実現を、積層造形技術によって可能にした点にあります。具体的には、3Dプリンターを用いて、高強度を誇る炭素繊維を途切れさせることなくポリマーマトリックス内に組み込み、コンクリート柱のせん断補強や主筋として機能させるための最適な形状を自在に成形します。これにより、個々の設計要件に応じた高精度な補強材を、自動的かつ効率的に生産する道が開かれ、炭素繊維が持つ優れた引張強度と剛性を、連続的な繊維配置によって最大限に引き出すことが可能となりました。

この新技術は、コンクリート構造物の将来に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。第一に、CCFRP補強材の採用により、鋼鉄筋の腐食問題が根本的に解消され、構造物の長寿命化と維持管理費の大幅な削減が期待されます。これは、特に老朽化が進む社会インフラの課題解決に直結し、社会全体の持続可能性に貢献します。第二に、高強度かつ軽量なCCFRPは、構造物自体の自重軽減に貢献し、基礎工事の簡素化や耐震性能の向上、ひいては建設コストの削減にも寄与するでしょう。さらに、3Dプリンティングによる製造は、設計の自由度を飛躍的に高め、特定の荷重条件や環境に対応したカスタムメイドの補強材を、オンデマンドで効率的に生産することを可能にします。これにより、より安全で強靭な構造物の建設が実現し、建築・土木分野におけるイノベーションを加速させる画期的な一歩となることが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


4D quantification of C-(A)-S-H and Mg-Al LDH phase alterations and microstructural evolution during accelerated carbonation of alkali-activated slag pastes

現代社会において、建築材料の主軸であるセメント製造は、世界全体の二酸化炭素排出量の約8%を占める主要因であり、持続可能な社会への移行を阻む深刻な環境課題を抱えています。この課題への対応策として、産業副産物であるスラグを原料とするアルカリ活性化スラグ(AAS)セメントが、優れた機械的特性を持つ環境配慮型材料として期待されています。しかし、AAS材料の長期耐久性、特に空気中の二酸化炭素と反応して劣化する「炭酸化」挙動については、その微細構造や構成相が時間とともにどのように変化するか、ナノスケールでの詳細なメカニズムが十分に解明されていませんでした。既存の研究では、材料の劣化プロセスにおける動的な相変化や微細構造の進化を包括的に捉えることが困難であり、これがAASの実用化と性能最適化における大きな課題となっていました。

このような背景のもと、本研究は、アルカリ活性化スラグペーストの加速炭酸化プロセス中に生じるC-(A)-S-HゲルおよびMg-Al LDH(層状複水酸化物)相の構造変化と微細構造の進化を、画期的な「4次元(3D空間+時間)定量化」手法を用いて詳細に明らかにしました。研究チームは、シンクロトロンX線マイクロトモグラフィー(μCT)とX線粉末回折(XRPD)をその場(in-situ)で組み合わせるという高度な分析技術を駆使し、制御された条件下で炭酸化の進行に伴う材料内部の動的な変化をリアルタイムで追跡しました。その結果、初期の炭酸化段階ではC-(A)-S-Hゲルの部分的な分解が確認される一方でMg-Al LDH相は比較的安定しているものの、炭酸化がさらに進行するとMg-Al LDHも分解を開始し、マグネサイトやハイドロタルサイト様相といった新たな炭酸化生成物が形成されることが判明しました。これらの分解と生成のダイナミクスが、ゲルの細孔構造変化と密接に連携しながら炭酸化全体の進行を強く支配し、最終的にこれらの生成物が微細構造を緻密化させるメカニズムが詳細に解明されました。

本研究で得られた知見は、アルカリ活性化スラグペーストの炭酸化挙動に関する既存の理解を大きく前進させるものです。特に、Mg-Al LDH相の役割と、それが炭酸化プロセスを通じてどのように変化し、最終的な材料性能に影響を与えるかを4次元で定量化した点は、これまでにない重要な成果です。これにより、AAS材料の長期的な耐久性を評価し、炭酸化耐性を向上させるための具体的な材料設計指針の策定が可能になります。本研究の成果は、セメント産業におけるCO2排出量削減に貢献するだけでなく、より持続可能で高性能な次世代の建設材料開発へと繋がり、地球環境負荷の低減に大きく寄与することが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Time-dependent evolution of the microstructural characteristics of C-A-S-H and N-A-S-H gels with various Ca/Si and Al/Si ratios

現代社会を支える建設インフラの持続可能性と高性能化は、喫緊の課題となっています。その性能を決定づける重要な要素の一つが、セメント系材料の主要成分であるカルシウム・アルミニウム・シリケート水和物(C-A-S-H)ゲルや、アルカリ活性材料のナトリウム・アルミニウム・シリケート水和物(N-A-S-H)ゲルの微細構造です。これらのゲルは、材料の強度、耐久性、ひび割れ抵抗性といったマクロな特性に直接影響し、その長期的な安定性は建設物の寿命を左右します。ゲルの形成と最終的な構造は、カルシウムとシリコンの比率(Ca/Si比)や、アルミニウムとシリコンの比率(Al/Si比)といった化学組成に大きく依存しますが、これらの組成比がゲルの微細構造の時間経過に伴う変化、すなわち「時間依存的進化」にどう影響するかは、未解明な点が多く残されていました。材料の長期性能を正確に予測し、より高性能な材料を開発するためには、この動的な微細構造変化の詳細な理解が不可欠とされていました。

本研究は、この未解明な領域に対し、C-A-S-HゲルとN-A-S-Hゲルの両方を対象に、多様なCa/Si比およびAl/Si比の条件下で、ゲルの微細構造が時間とともにどのように進化するのかを詳細に追跡しました。これにより、アルミニウムの導入がC-A-S-Hゲルの構造に与える影響や、N-A-S-Hゲルの形成メカニズムにおける組成依存性を体系的に明らかにしています。従来のC-S-Hゲル研究では十分に考慮されてこなかったアルミニウムの役割を深く掘り下げ、異なるタイプのゲル材料間で共通する構造進化のパターンや、組成によって特異的に発現する現象について新たな知見を提供しました。研究では、ゲルの密度、ポア構造、化学結合状態、粒子形態といった多様な微細構造特性の時間変化を解析し、組成パラメータがこれらの特性に与える影響を包括的に記述することで、ゲルの初期形成から長期熟成に至る一貫した構造変化の理解を深める重要な一歩を記しています。

得られた知見は、建設材料の設計と最適化に重要な意義をもたらします。ゲルの微細構造の時間依存的な進化と組成の関連性が明確になったことで、材料の長期的な強度発現メカニズムや耐久性低下の要因をより正確に予測することが可能になります。これは、セメント系材料およびアルカリ活性材料の性能向上に直結し、特に長期にわたる安定性が求められる大規模インフラの材料選定や寿命予測精度向上に寄与するでしょう。さらに、本研究の成果は、環境負荷の低い次世代型セメント材料や、産業廃棄物を有効活用したアルカリ活性材料の開発を加速させる基盤となります。例えば、特定のCa/Si比やAl/Si比を制御することで、特定の強度や耐久性、あるいは特定の環境条件下での安定性を発揮する新規材料の設計指針を与え、持続可能な建設社会の実現に大きく貢献すると期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)