AIニュース|2026-01-03 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Cl- transport characteristics within nano-marine concrete under bending load coupled with dry and wet cycles

海洋環境下にあるコンクリート構造物の耐久性劣化は、塩化物イオンの浸透によって鉄筋が腐食することが主な原因であり、その対策は長年にわたる喫緊の課題です。特に、乾燥と湿潤が繰り返されるサイクル、さらには波浪などによる曲げ荷重が複合的に作用する過酷な環境下では、劣化の進行が加速されることが知られています。従来のコンクリートではこれらの複合的な劣化要因に十分に対応することが難しく、海洋構造物の長寿命化には新たな材料技術の開発が不可欠でした。本研究は、近年注目されているナノテクノロジーを応用し、ナノ粒子混和剤を用いた「ナノ海洋コンクリート」に着目。乾燥-湿潤サイクルと曲げ荷重の複合作用下における塩化物イオンの輸送特性と、劣化抑制メカニズムの解明を目指しました。

本研究の最大の新規性は、乾燥-湿潤サイクルと曲げ荷重が同時に作用する複合環境下において、ナノ海洋コンクリート内部での塩化物イオンの輸送特性と微細構造の変化を詳細に解析した点にあります。室内複合実験を通じて、ナノ粒子混和剤の配合量、応力レベル、そして腐食時間が、塩化物イオンの最大含有量やコンクリート内部への侵入深さ、さらには拡散係数にどのような影響を与えるかを定量的に明らかにしました。特に、電子マイクロプローブ分析(EMPA)、水銀圧入法(MIP)、X線回折(XRD)といった高度な分析技術を駆使し、セメントと骨材の界面転移帯(ITZ)における微細構造の変化を詳細に観察することで、ナノ粒子による劣化抑制のメカニズムを深掘りしました。 研究の結果、ナノ粒子混和剤としてナノSiO2とナノFe3O4をコンクリートに配合した場合、その最適な配合量は2%であることが判明しました。荷重がかかるコンクリート内部では、圧縮ゾーンにおける塩化物イオンの最大含有量、侵入深さ、および拡散係数は、応力レベルとナノ粒子含有量の増加に伴って一旦減少し、その後増加するという複雑な挙動を示しました。一方、引張ゾーンでは、これらの値は応力レベルの増加とともに一貫して増加する傾向を示しました。重要な発見として、塩化物イオンの輸送モードが初期の「対流-拡散」から「拡散」へと徐々に変化していくこと、そしてナノ粒子の添加が塩化物イオンの拡散係数に顕著な影響を与えることが明らかになりました。微細構造分析からは、ナノ粒子がコンクリートの気孔構造を微細化し、C-S-H(カルシウムシリケート水和物)やC-F-H(カルシウムフェライト水和物)といった水和生成物の形成を促進することが確認されました。これにより、界面転移帯の緻密性および接着性が向上し、結果として塩化物イオンの最大含有量と侵入深さが著しく抑制され、塩化物イオンが対流によって深部まで浸透する「対流ゾーン」の発展が効果的に阻害されることが示されました。

本研究で得られた知見は、海洋インフラの設計・建設において、乾燥-湿潤サイクルと曲げ荷重が複合的に作用する過酷な環境下でのコンクリートの長期耐久性を向上させるための重要な基礎データを提供するものです。ナノ粒子混和剤の最適な配合比率と、それが塩化物イオンの輸送メカニズムに与える影響を特定したことは、高耐久性海洋コンクリートの実用化に向けた大きな一歩となります。これにより、海洋構造物の長寿命化、メンテナンスサイクルの延長、ひいては維持管理コストの削減に貢献し、持続可能な社会基盤の構築に寄与することが期待されます。将来的に、ナノテクノロジーを応用した高性能コンクリートが、地球規模でのインフラ劣化問題に対する有力な解決策となる可能性を示唆する、極めて意義深い成果と言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


A sustainable pavement coating with balanced cooling and adhesion for urban heat reduction

都市化の進展に伴うヒートアイランド現象は、アスファルト舗装路面の蓄熱が主要因となり都市部の高温化を招く。これは、居住環境の快適性低下や冷房需要増大によるエネルギー消費増加を引き起こす。さらに、高温に曝される舗装自体も劣化が加速し、ひび割れやわだち掘れなどを生じさせ、頻繁な補修と維持管理コスト増大の課題を抱える。これらの緩和策として遮熱コーティングが利用されてきたが、従来の製品は冷却効果重視のため、耐久性や基材との接着強度が不十分なケースが多かった。その結果、塗膜の早期剥離や劣化が発生しやすく、長期的な効果が得られにくい。このため、頻繁な再塗布や補修による資源消費や経済的負担増加という課題を抱えていた。

こうした課題に対し、本研究は都市インフラの持続可能性と快適性を両立させるべく、冷却性能と接着強度という、これまで相反しやすいとされてきた二つの目標を同時に最適化する、革新的な道路用遮熱コーティングの設計フレームワークを確立した。開発プロセスでは、まずコーティングの基盤となる成膜材料の比率を接着強度の観点から最適化することで強固な結合を確保。次に、太陽光反射率と冷却能力を最大化する機能性充填材システムを設計した。そして最終段階として、最適化された成膜マトリックスと機能性充填材の比率を詳細に調整することで、冷却性能と接着強度がバランス良く両立する理想的な配合を見つけ出すことに成功した。この多段階かつ体系的なアプローチこそが本研究の新規性であり、単なる冷却効果の追求に留まらず、実用性と持続性を兼ね備えた次世代遮熱コーティング開発への道を拓いた。

提案されたコーティングの性能は多角的な検証を通じて実証された。実環境下での測定では、着色コーティングが強い日射条件下で舗装表面温度を最大約10℃低減できることが確認された。室内シミュレーションでは、高温曝露期間の著しい短縮が示され、アスファルト層のわだち掘れや熱損傷リスク低減に寄与する可能性が示唆された。複合試験では、使用環境下の負荷で冷却性能と接着強度が緩やかに低下する傾向が見られ、コーティング設計における耐久性考慮の重要性が改めて示された。最も注目すべき成果は、屋外実験によって、効果的な舗装冷却が地表付近の気温上昇も抑制することが実証された点である。この結果は、開発された遮熱コーティングが、都市全体のヒートアイランド現象緩和に貢献し、居住環境の快適性向上、さらには冷房エネルギー消費削減による環境的・経済的利益を示唆する。本研究は、持続可能な都市インフラの構築に向けた、実用的かつ革新的な解決策を提供するものである。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Strain-rate-dependent damage and mechanical behavior of pultruded carbon fiber reinforced composite under transverse compression

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、その卓越した軽量性と高強度から、航空宇宙、自動車、建設など多岐にわたる分野で不可欠な材料です。特に、連続繊維を高体積率で一方向に引き抜き成形するプルトルードCFRPは、効率的な生産性と優れた機械的特性により、構造材として高いポテンシャルを秘めています。しかし、実環境では衝突や衝撃といった高ひずみ速度下の荷重に晒されることが多く、特に繊維配向に垂直な「横方向圧縮」に対する材料の挙動は、安全性と信頼性を評価する上で極めて重要です。従来のCFRP研究は準静的条件下での評価が中心であり、高ひずみ速度下におけるプルトルードCFRPの横方向圧縮挙動と損傷メカニズムに関する包括的な理解は不足していました。

こうした背景のもと、2026年1月に発表される最新の研究は、高繊維体積率のプルトルードCFRPを対象に、広範なひずみ速度にわたる横方向圧縮挙動と損傷メカニズムを系統的に解明しました。本研究では、材料試験システム(MTS)や分割ホプキンソン圧力棒(SHPB)による実験と、高速度デジタル画像相関法(DIC)や走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた詳細な分析を通じて、変形から破壊に至るプロセスを解き明かしました。その結果、材料の損傷メカニズムがひずみ速度に応じて明確な3段階の遷移を示すことが明らかになりました。具体的には、準静的荷重下では繊維とマトリックスの剥離・脆性破壊が支配的ですが、高ひずみ速度ではマトリックスの塑性変形が優勢となり、超高ひずみ速度域(651 s⁻¹超)ではマトリックス塑性と繊維破壊の複合モードへと変化します。横方向圧縮強度と弾性係数はひずみ速度に顕著に依存し、その挙動を記述する動的増加係数モデルが確立されました。一方、破壊ひずみは速度非依存性を示し、エネルギー散逸密度はひずみ速度とともに増加するものの、ある臨界範囲(947–1178 s⁻¹)を超えると依存性が減少し定常状態へ遷移します。さらに、Zhu-Wang-Tang(ZWT)フレームワークに基づく速度依存性粘弾性構成モデルを開発し、プルトルードCFRPの動的圧縮応答を正確に予測できることを実証しました。

これらの画期的な研究成果は、高繊維体積率プルトルードCFRPの動的な機械的特性と損傷挙動に関する理解を飛躍的に深化させるものです。ひずみ速度に応じた損傷メカニズムの解明と、広範な速度域をカバーする動的特性モデルの構築は、航空機や自動車の衝突安全設計、建築物の耐震・耐衝撃構造など、衝撃荷重が作用する環境下で利用されるCFRP構造部材の設計最適化と信頼性向上に直接的に貢献します。材料の破壊挙動を正確に予測し、安全かつ高性能な複合材料の開発を促進することで、将来の軽量・高強度構造物の実現に向けた重要な指針を提供するとともに、CFRPのさらなる応用拡大に道を開くものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)