AIニュース|2026-01-05 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Spalling resistance of SUHPC based on PC-CAC-C$ at elevated temperatures: Role of whiskers and steel fibers

優れた強度と耐久性を持つスプレー式超高強度コンクリート(SUHPC)は、構造物の補修や複雑な形状の構築において、極めて有望な材料として注目されています。その優れた性能は、インフラの長寿命化や建設コストの削減に貢献する可能性を秘めています。しかし、従来のポルトランドセメント(PC)を主成分とするSUHPCは、高温環境下において爆裂剥離という深刻な現象を引き起こす脆弱性を抱えており、これが火災発生時の構造安全性に大きな懸念をもたらし、その応用範囲を大きく制限してきました。この爆裂剥離は、コンクリート内部に蓄積された水蒸気圧が急激に解放されることで発生し、材料の急速な劣化や崩壊につながるため、SUHPCの耐火性能を向上させることは喫緊の課題となっています。

この課題を克服するため、本研究は、ポルトランドセメント(PC)、アルミン酸カルシウムセメント(CAC)、石膏(C$)を組み合わせた革新的な三成分系セメントを導入し、さらに硫酸カルシウムウィスカー(CSW)と鋼繊維を複合的に補強材として用いることで、耐爆裂剥離性を備えたSUHPCの開発に成功しました。詳細な分析の結果、この三成分系は1000 °Cまでの高温環境下でも、Al₂O₃やC₁₂A₇、ケイ灰石(wollastonite)、CA、CA₂などの熱的に安定な結晶相を保持することが明らかとなり、従来のPCベース系と比較して格段に優れた相安定性を示すことが確認されました。微細構造レベルでは、三成分系の採用が毛管空隙の割合を増加させることが判明しました。特に、CSWの添加は、セメントマトリックスとCSWの間の界面遷移帯(ITZ)における水和生成物の蓄積を促進し、この界面を緻密化させることで、材料全体の曲げ性能を向上させる効果をもたらしました。さらに特筆すべきは、CSWと鋼繊維が相乗的に作用することで、SUHPC内部に連続的かつ均一に分布した蒸気放出経路が効率的に形成された点です。この経路が、高温加熱時に発生する水蒸気の圧力を効果的に逃がすことで、破壊的な爆裂剥離を劇的に抑制することが可能となりました。その結果、本開発SUHPCは、1000 °Cという過酷な高温暴露後においても、45.8 MPaという高い残存圧縮強度と7.4 MPaの曲げ強度を維持できることが実証されました。

本研究で提示されたSUHPCの高温耐性向上戦略は、既存の課題に対する極めて効果的な解決策を提供します。これにより、SUHPCは耐久性向上を目的とした構造物の補修用途や、火災時における安全性を飛躍的に高める耐火構造への応用など、その潜在的な適用範囲を大幅に拡大するものと期待されます。これは、建設分野における持続可能性と安全性の向上に貢献する画期的な進歩であり、将来的な建築物の安全性と信頼性確保において重要な役割を果たすでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Synergistic copper-plated modification of UHMWPE fibers by polydopamine and graphene oxide and its application to multifunctional fiber concrete

近年、スマートシティやレジリエントな社会基盤の構築に向け、インフラ材料の多機能化が喫緊の課題となっている。特に、橋梁、道路、建築物といった主要構造物に、温度制御や除氷などの電熱機能を付与する多機能コンクリートの開発は、維持管理コストの削減や安全性の向上に直結するとして、世界的に高い関心を集めている。しかし、従来のコンクリートに電熱機能を持たせる試みでは、導電性材料の均一な分散や、コンクリートマトリックスとの十分な接着性、そして耐久性の確保が技術的な障壁であった。特に、高強度で軽量な繊維を導電性化し、その性能を長期維持することは困難だった。

こうした背景の中、今回の研究では、優れた機械的特性を持つ超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を基材とし、高効率な導電性繊維の創出に成功した。具体的には、UHMWPE繊維をシランカップリング剤で前処理後、生体模倣材料であるポリドーパミン(PDA)を形成。さらにそのPDA層に還元型グラフェン酸化物(RGO)を固定化し、無電解銅めっきを施す多段階かつ相乗的な表面改質プロセスを確立した。この独自のアプローチにより、PDAとRGOが銅粒子の核生成サイトとして機能し、均一な堆積を安定化させる相乗効果を発揮した。その結果、UHMWPE繊維表面に、剥離しにくい緻密で均一な銅コーティング層の形成に成功。改質されたCu/RGO-PE繊維は、未処理繊維と比較して大幅に導電性が向上し、シート抵抗値はわずか1.23 Ωを記録した。熱安定性も改善し、コンクリートマトリックスとの優れた界面結合も実現された。

作製されたCu/RGO-PE導電性繊維をセメント系マトリックスに組み込んだ多機能コンクリートは、その電熱性能において顕著な進歩を示した。この導電性コンクリートは、外部からの電圧印加によって迅速な加熱を可能にし、熱伝導率は1.802 W/m·Kへと大幅に向上した。特に冬季の除氷能力では、10ボルトの印加電圧でわずか2分以内に氷シートを完全に融解させる高い効率性を実証した。有限要素シミュレーションでも、印加電圧下での均一な熱拡散と安定した温度場形成が裏付けられた。本技術は、高導電性と優れた接着性を兼ね備えた繊維強化コンクリートの実現を可能にし、従来の課題を克服するものである。将来のスマートインフラにおける加熱、除氷、熱制御など多様な機能を持つコンクリート材料設計に新たな道を開き、持続可能で安全な社会基盤への貢献が強く期待される。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Synthesis and evaluation of ethyl α-cyanoacrylate-based composites with alkaline solid waste additives as initiators for structural repair

コンクリート構造物の健全性維持は社会基盤にとって極めて重要であり、その補修においては、特に緊急事態や厳しい低温環境下で迅速な硬化と高い初期強度を発揮する材料が強く求められています。従来の補修材料は、低温下では硬化時間が著しく延長されたり、十分な強度が得られなかったりするといった課題を抱えており、こうした制約を克服する新たな技術開発が喫緊の課題となっています。

このような背景のもと、本研究は、産業廃棄物であるアルカリ性固形廃棄物に着目し、これを高性能なコンクリート補修材料に応用するという革新的なアプローチを提示しています。具体的には、ソーダ製造工程から排出されるソーダ滓粉末(SRP)と燃焼灰粉末(CAP)を、エチルα-シアノアクリレート(ECA)の重合を促進する開始剤、さらには充填剤という二つの機能を併せ持つ添加剤として活用することで、急速硬化型の補修複合材料の開発を試みました。研究チームは、ECAとこれら固形廃棄物との複合材料が、氷点下(-5℃〜0℃)から常温に至るまで、どのような反応速度、発熱挙動、硬化特性を示すのかを系統的に調査。また、材料の微細構造や組成変化は、走査型電子顕微鏡(SEM-EDS)、X線回折(XRD)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、熱重量・示差走査熱量分析(TG-DSC)といった多角的な分析手法を駆使して詳細に解明されました。さらに、セメントマトリックス中での圧縮強度や界面接着性能も評価され、実用化に向けた包括的な性能検証が行われました。

一連の実験結果は、SRPおよびCAPのいずれもがECAの硬化を著しく加速し、特に注目すべきは、氷点下の環境下においても硬化時間を20秒以内という驚異的な速さに短縮できることを明らかにしました。この硬化プロセスは強い発熱を伴い、酸塩基中和反応が進行することで、複合材料のpHと電気伝導度が低下するというメカニズムが示唆されました。特に、SRPを添加したECA複合材料は、CAPを添加した場合と比較して、より高い密度、優れた圧縮強度、そしてセメントへの強固な接着性能を発揮することが判明しました。これは、SRPが優れた性能を持つ急速硬化型補修材料の鍵となる可能性を示唆しています。

本研究は、コンクリート補修における低温下での急速硬化・高強度化という長年の課題を解決するとともに、産業廃棄物を高性能な建設材料へと「価値転換(valorization)」させる持続可能な戦略を提示しました。これは、資源循環型社会の実現に向けた重要な一歩であり、廃棄物問題の解決と先進的な建設複合材料の開発という二つの大きな課題に対する有望な解決策です。将来的には、災害復旧現場や寒冷地でのインフラ補修など、緊急性を要する様々な建設プロジェクトにおいて、その実用化が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)