AIニュース|2026-01-09 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Multiscale characterization of geopolymers modified with alkali-catalyzed nano-silica: Effects on dispersion and mechanical properties

持続可能な社会の実現に向け、セメント代替材料としてジオポリマーが注目を集めています。特に、産業副産物であるフライアッシュやスラグを原料とするジオポリマーは、二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献すると期待されています。その性能をさらに向上させるため、ナノシリカ(NS)の添加が広く研究されてきましたが、ナノシリカを合成する際の触媒条件(酸性かアルカリ性か)が、その分散性やジオポリマーの最終的な物性にどのような影響を与えるかについては、これまで詳細な研究が不足していました。高性能な複合材料を開発する上では、ナノ粒子がマトリックス中でどのように振る舞うかを理解することが極めて重要です。

このたび発表された研究では、アルカリ触媒および酸触媒で合成されたナノシリカが、フライアッシュ・スラグ混合ジオポリマーの多尺度的な特性に及ぼす影響が系統的に評価されました。研究チームは、ナノシリカの合成条件とその添加量(0.16 wt%と0.32 wt%)を主要な変数とし、透過型電子顕微鏡(TEM)から小角X線散乱(SAXS)に至るまで、多様な先進分析手法を駆使して構造と機械的変化を詳細に解析しました。その結果、アルカリ触媒で合成されたナノシリカは、ジオポリマー中で酸触媒ナノシリカより優れた分散性を示し、より高密度で均質なゲルネットワークを促進することが明らかになりました。特に、0.16 wt%のアルカリ触媒ナノシリカを添加した場合、圧縮強度が38.4%向上し、表面粗さが約50%低減、ゲルネットワークの緻密さを示す回転半径(Rg)が18%減少しました。SEM/EDS分析からは、アルカリ触媒ナノシリカが界面でケイ素とアルミニウムの濃縮を促し、密で連続的なC-(N)-A-S-Hゲルネットワークの形成に寄与していることが示唆されました。AFMによる弾性率マッピングとSAXSによるギニエ解析も、ナノスケールでの構造均一性と微細構造の連続性が大幅に向上したことを裏付けています。しかし、ナノシリカの添加量が0.32 wt%に増えると粒子が凝集し、微細構造の完全性が損なわれることも判明し、最適な添加量の重要性が浮き彫りになりました。

本研究で得られた知見は、ジオポリマーの強度と均一性の両方を高めるための実用的な戦略として、0.16 wt%のアルカリ触媒ナノシリカの有効性を強く示唆しています。ナノ粒子の合成条件と添加量がその分散性や材料特性に多大な影響を与えることを多角的に解明したことで、今後のナノ修飾持続可能な結合材の設計と開発において、極めて重要な指針を提供するものです。この成果は、高性能かつ環境負荷の低い次世代の建材開発を加速させ、持続可能な社会の実現に向けた材料科学分野への大きな貢献が期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Mechanical and microstructural properties of coconut fiber-reinforced coral concrete under seawater corrosion and alternating temperature-humidity cycles

海洋環境におけるコンクリート構造物の耐久性確保は、長年の課題となっています。特にサンゴ骨材を用いたサンゴコンクリート(CC)は、その特有の高い多孔質性と脆性により、海水腐食や潮汐による温度・湿度サイクルといった複合的な劣化要因に弱く、耐久性が著しく低いことが知られています。このため、海洋構造物への広範な適用が制限されており、その性能向上は喫緊の課題とされています。

こうした背景のもと、本研究はサンゴコンクリートの耐久性改善を目指し、天然由来のココナッツ繊維(CF)を補強材として活用したココナッツ繊維補強サンゴコンクリート(CFRCC)を開発し、その性能を体系的に評価しました。具体的には、CF添加量を0%、1%、2%、3%と変化させたCFRCCを調製し、海水腐食および温度・湿度サイクル条件下でのマクロな機械特性とミクロな劣化メカニズムを詳細に分析。デジタル画像相関法(DIC)を用いて質量変化率、圧縮破壊挙動、全視野ひずみ分布を解析するとともに、X線回折(XRD)や走査型電子顕微鏡(SEM)などの先進的な分析手法を駆使し、相組成、微細構造、元素分布、細孔構造の変化を多角的に解明しました。

その結果、ココナッツ繊維の最適な添加量が2%であることが明らかになりました。この割合でCFを添加したCFRCCは、海水腐食と温度・湿度サイクル条件下で最も小さな質量変化を示し、腐食性イオンの侵入に対して最適な抵抗性を持つことが判明しました。また、サンゴコンクリート特有の脆性破壊を大幅に抑制し、延性的な破壊挙動への移行を促進。初期圧縮強度は18.32%向上し、サイクル後の強度保持率も最も高い値を示しました。DIC分析からは、2%CF添加によってひずみ分布がより均一になり、発生するクラックがより細かく分散することが確認されました。さらにミクロレベルの分析では、2%のCFが細孔構造を最適化し、有害なエトリンガイト(AFt)やフリーデル塩の過剰な生成を抑制していること、そして骨材とセメントマトリックス間の界面移行帯(ITZ)の安定性を向上させることで、コンクリートの劣化を遅らせるメカニズムが解明されました。一方で、CFの過剰な添加は、繊維の凝集や空隙率の増加を招き、かえって性能を悪化させることも示唆されており、最適な添加量の重要性が強調されています。

本研究で得られた多岐にわたる知見は、海洋環境におけるサンゴコンクリートの耐久性向上に向けた多スケールでの理論的基盤を提供するとともに、持続可能な海洋インフラ開発のための具体的な技術的支援となるものです。ココナッツ繊維というバイオマス資源の活用は、環境負荷低減にも寄与し、未来の海洋工学に新たな道を開く可能性を秘めていると言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Design development of lightweight ambient-cured geopolymer sandwich slab panels

現代の建設業界は、地球温暖化対策と資源効率の向上という喫緊の課題に直面しています。特に、セメントの製造過程で多量の二酸化炭素を排出する従来のポルトランドセメントコンクリート(PCC)に代わる、低炭素で持続可能な材料の開発が強く求められています。加えて、構造物の軽量化は、運搬コストの削減、施工性の向上、そして基礎構造への負担軽減といった多岐にわたるメリットをもたらし、より効率的な建設プロセスを実現する上で不可欠です。このような背景の中、環境負荷が低く、優れた性能を持つ次世代の建材として、ジオポリマーコンクリート(GPC)が注目されています。本研究は、このGPCと発泡ポリスチレン(EPS)コアを組み合わせることで、材料効率に優れ、かつ軽量なサンドイッチスラブパネルを開発し、その実用性を検証しました。

本研究は、室温硬化型GPCとEPSコアを組み合わせた軽量サンドイッチスラブパネルの設計開発を目的としました。GPC混合物の施工性や圧縮強度を評価した結果、GPCは28日以降のヤング率増加が圧縮強度以上に顕著である一方で、同等のPCCと比較して脆い引張応答を示すことが判明しました。この課題克服のため、繊維補強を導入。わずか25 kg/m³の低繊維量で、GPCの亀裂発生後の抵抗性と早期の亀裂開口抵抗性が大幅に向上することを発見しました。繊維補強GPCスラブパネルは、PCCスラブパネルを凌駕する耐荷重能力、改良された延性、優れたエネルギー吸収性を示し、亀裂伝播の遅延や亀裂発生後の剛性・荷重回復能力の改善も確認されました。これらの知見は構造性能と結びつけられ、様々なスパンの一方方向GPCサンドイッチスラブパネルが使用性と耐力要件を満たす設計ガイドラインの開発に繋がりました。

本研究の成果は、繊維補強GPCサンドイッチパネルが軽量プレキャスト構造用途において極めて有望な選択肢であることを明確に示しています。特に、低炭素コンクリートの使用と材料使用量の削減を特徴とするGPCを用いた材料効率の高い構造スラブの開発は、持続可能な建設への貢献として計り知れない意義を持ちます。この技術は、建築物のライフサイクル全体での環境負荷を大幅に低減するだけでなく、軽量化による施工プロセスの効率化、運搬コストの削減、基礎構造の簡素化など、経済的および実用的なメリットも多岐にわたります。GPCは、その優れた機械的特性と環境性能から、将来の建築・土木分野における主要な構造材料の一つとして確立される可能性を秘めており、本研究はその実用化に向けた重要な一歩となるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)