C-S-Hゲルの自己粘弾性特性解明【2019】

著者名:Z. Hu, A. Hilaire, J. Ston, M. Wyrzykowski, P. Lura, K. Scrivener

論文タイトル:Intrinsic viscoelasticity of C-S-H assessed from basic creep of cement pastes

掲載誌名:Cem Concr Res

出版年:2019

巻数:121

ページ範囲:11-20

研究の背景と動機

コンクリート構造物の老朽化の一因であるクリープは、材料の粘弾性的な応答により時間と共に変形する現象です。特にSupplementary Cementitious Materials (SCM)がクリープ挙動に及ぼす影響は、数少ない研究の中でも顕著な差異が見られるため、その基礎的メカニズムの解明は急務です。本研究は、それらの基礎的メカニズムを解明することを目的としています。

解決できたこと

本研究により、異なる水セメント比とSCMを用いたセメントペーストのマクロスケールでのクリープ挙動は、主に固相の体積分率とペーストの多孔性に依存していることが示されました。特に、C-S-Hゲルの粘弾性的挙動がこれらの要因に大きく寄与していることが明らかになりました。これにより、他分野への応用として微細構造レベルでのクリープ挙動の解明が期待されます。

研究の貢献

Huらは、異なるSCMによる乾燥収縮や強度の変化という課題に対し、微細構造シミュレーションを用いて、C-S-Hゲルの粘弾性特性の統一的な理解を得ました。

実世界への応用と影響

この研究成果は、将来的にクリープ特性の改善を目指した新たなセメント材料の設計に資する可能性があります。また、この成果は、長寿命化が求められるコンクリート構造物の保守計画にも貢献することでしょう。

今後の展望と未解決の課題

今後の研究課題として、より広範なSCMに対するC-S-Hゲルの粘弾性特性の変動を詳細に評価することが考えられます。また、理想的な微細構造設計に向けた指針を提供するために、3次元モデルを導入したさらなる理論的モデルの構築が望まれます。

学術的位置づけと読者へのインパクト

本研究は、強力な理論的基盤と実験的証拠に基づき、セメント材料における微細構造の役割を深く理解するための重要な知見を提供します。これにより、読者はクリープ挙動に関する新しい視点を獲得し、セメントの粘弾性挙動の改善策を模索するための基礎を築くことができます。

本記事は学術論文の要約であり、原著作者および出版社の権利を尊重しています。詳細な情報や正確な引用については、原論文を参照してください。

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