Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Development of one-part high-strength ultra-high-toughness geopolymer composites (HS-UHTGC) against low-velocity impact loading
優れた機械的性能、環境持続性、そして簡便な現場適用性を持つ一体型ジオポリマーが近年注目を集めています。セメントと比較して製造時のCO2排出量が少ないなどの利点から、次世代の建築材料として期待されています。しかし、橋梁や防護壁、耐震構造物など、衝撃を受ける可能性のある構造物への適用を拡大するためには、その耐衝撃性のさらなる向上が課題となっていました。特に、低速度の衝撃荷重下においても、高強度と同時に高い靱性、すなわち亀裂発生後も粘り強く性能を維持できる特性を兼ね備えた材料の開発が強く求められていました。
この課題に応えるべく、本研究では、一体型ジオポリマーの衝撃吸収能力を飛躍的に向上させることを目指し、鋼繊維とポリエチレン(PE)繊維を複合させた「一体型高強度超高靱性ジオポリマー複合材料(HS-UHTGC)」の開発に取り組みました。研究チームは、合計で2体積パーセントの繊維を含む5種類の異なる配合のジオポリマー混合物を調製し、10 J、20 J、30 Jという低速度の落下錘衝撃試験を実施しました。その結果、鋼繊維1.0体積パーセントとPE繊維1.0体積パーセントを組み合わせたハイブリッド配合(S3)が、最も優れたバランスの取れた性能を発揮することを突き止めました。このS3は、圧縮強度94.2 MPa、曲げ強度22.0 MPaという高い静的強度に加え、亀裂幅を他の配合と比較して35〜60%も抑制し、30 Jの衝撃荷重下で0.99という極めて高いエネルギー散逸係数を示しました。これは、衝撃エネルギーを効果的に吸収・分散する能力が非常に高いことを意味します。一方で、鋼繊維のみの複合材料は高い強度を示すものの靱性が限定的であり、PE繊維のみの複合材料は良好な変形能力を持つものの繰り返し衝撃下では強度の急速な劣化が見られました。S3配合は静的および動的応答の両面で他の全ての配合を凌駕することが包括的に評価され、剛性向上、亀裂制御、そして亀裂発生後のエネルギー吸収という相乗的なメカニズムが明確にされました。
今回開発されたHS-UHTGCは、高い機械的性能と環境への配慮を両立する持続可能な高性能材料ソリューションとして、衝撃にさらされる様々な工学応用分野での活用が期待されます。本成果は、次世代の安全で持続可能な社会基盤の構築に大きく貢献するものと位置付けられます。
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Recent advances in High-Strength Engineered Geopolymer Composites (HS-EGC): Bridging sustainable construction and resilient infrastructure
近年、地球規模での環境問題が深刻化する中、建設業界においても持続可能性とインフラのレジリエンス(回復力)向上が喫緊の課題となっています。従来の高強度セメント系複合材料(HS-ECC)は高い性能を持つ一方で、その製造には大量のエネルギーを消費し、二酸化炭素排出量が大きいという環境負荷が指摘されてきました。このような背景から、産業廃棄物を有効活用しつつ、高い性能と環境適合性を両立させる新たな建築材料の開発が強く求められています。その有力な候補として国際的に注目を集めているのが「高強度ジオポリマー複合材料(High-Strength Engineered Geopolymer Composites、略称HS-EGC)」です。HS-EGCは、セメントを使用せず、特定の産業副産物を原料とすることで、環境負荷を大幅に低減しながら、優れた機械的特性と耐久性を発揮すると期待されています。
こうしたHS-EGC研究の進展を受け、今回発表された論文は、この高強度ジオポリマー複合材料技術に関する最近の進歩を、学術界で初めて体系的にレビューした画期的なものです。本研究は特に、圧縮強度が80MPaを超える成功事例に焦点を当て、その達成要因を詳細に分析。HS-EGCを構成する前駆体、活性剤、骨材、繊維、含水量、添加剤、硬化条件といった多岐にわたる主要パラメータを網羅的に評価し、材料性能への影響を深く掘り下げました。加えて、HS-EGCの機械的特性、耐久性、構造性能、そして最も重要な持続可能性についても徹底的に検討。その結果、HS-EGCが産業廃棄物の効果的な利用を通じて環境負荷を大幅に低減できるだけでなく、従来のセメント系材料に比べて優れた引張延性や高い耐久性を持つことが明確にされました。
HS-EGCは、その優れた機械的特性と環境適合性から、持続可能な建設と回復力のあるインフラ構築における非常に有望な選択肢です。しかし、実用化と普及に向けては、活性剤由来の排出物、初期導入コストの障壁、大規模生産へのスケーラビリティといった課題も指摘されています。本レビューは、これらの技術的・経済的課題を公平に検討し、HS-EGCの最適化設計と幅広い応用を実現するための実践的なガイダンスと、今後の研究開発に資する具体的な提言を提供しています。これにより、HS-EGCは次世代の建設材料として、環境負荷の低減とインフラの安全・強靭化に大きく貢献し、持続可能な社会の実現に向けた道を拓くものと期待されます。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Development of high-performance one-part geopolymer foam concrete using ground granulated blast furnace slag, waste concrete sludge, and bamboo powder for sustainable construction
地球温暖化対策が急務となる中、従来のセメント製造による大量の二酸化炭素排出は、建設業界の大きな課題です。これに対し、セメント代替となる低炭素で断熱性に優れたジオポリマー発泡コンクリート(GFC)が注目されています。特に施工性に優れるワンパートGFCは、その実用性が期待されています。また、資源循環型社会の実現には、産業廃棄物やバイオマス廃棄物を高付加価値な建設材料として有効活用する技術が不可欠です。本研究は、製鉄所の高炉スラグ微粉末、建設廃棄物の廃コンクリートスラッジ、そして未利用バイオマスの廃竹粉といった多様な廃棄物を原料とし、高性能なワンパートGFCの開発に取り組みました。これは、廃棄物問題の解決と環境負荷の低い次世代建設材料の創出に貢献するものです。
本研究は、高炉スラグ微粉末に加え、廃コンクリートスラッジと廃竹粉という多様な廃棄物を複合的に活用したワンパートGFCの包括的な性能評価を実施し、特に廃竹粉がGFCの特性に与える影響を詳細に解明しました。実験の結果、廃コンクリートスラッジを含まず、廃竹粉を5%配合した「mix 0CS-BP5」が最も優れた性能を示すことが判明しました。このGFCは、28日後に11.4 MPaの高い圧縮強度と1.2 MPaの曲げ強度を達成し、これは廃竹粉が細孔構造を改善し、内部クラックを架橋する効果によるものです。また、対照配合と比較して吸水率を39%低減、91日間乾燥収縮率を52%抑制しました。耐久性においても、50サイクルの凍結融解試験後質量損失はわずか3.6%、750°Cで3.0 MPaの圧縮強度を保持するなど、優れた耐凍結融解性と耐熱性を実証しました。熱伝導率は0.32〜0.43 W/m・Kと、断熱性と機械的強度のバランスも良好です。一方、廃コンクリートスラッジの含有量増加は、構造の不均一性から強度や輸送特性の低下を招くことが示されました。
本研究の成果は、産業廃棄物およびバイオマス廃棄物を高付加価値な建設材料へと転換する可能性を明確に示し、持続可能な建設分野に新たな選択肢を提供します。廃竹粉がジオポリマー発泡コンクリートの強度、耐久性、収縮抑制に重要な役割を果たすことを実証した点は、学術的・実践的にも大きな意義を持ちます。開発された高性能かつ低炭素なワンパートGFCは、従来のセメント系材料の代替として、エネルギー効率が高く、長期的な耐久性を有する建築物やインフラへの幅広い応用が期待されます。本技術の普及は、建設業界の環境負荷低減と資源循環型社会の実現に大きく貢献し、持続可能な未来の構築に向けた重要な一歩となるでしょう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)