Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。
Sustainable geopolymer composites incorporating waste volcanic tuff and recycled geopolymer concrete powder as base materials
## 廃棄物とリサイクル材でCO2排出半減、持続可能な次世代グリーンコンクリート開発へ
従来の建設材料であるセメントコンクリートは、その製造過程で大量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化の一因となるほか、天然資源の枯渇や建設廃棄物の増加といった環境課題を抱えています。こうした背景から、環境負荷の低い代替材料の開発が急務とされており、特に産業廃棄物や未利用資源を原料とするジオポリマーコンクリートが注目されています。ジオポリマーは、セメントに代わる低炭素な結合材として期待されますが、さらなる持続可能性のためには、より広範な廃棄物由来材料の活用が不可欠とされてきました。
本研究は、この課題に対し、廃棄物である火山性凝灰岩と、使用済みジオポリマーコンクリートを粉砕したリサイクル粉末という二つの未利用資源を、ジオポリマーの補助結合材前駆体として活用する画期的なアプローチを試みました。これらの廃棄物由来材料を高炉スラグと組み合わせることで新たなジオポリマーコンクリートを合成し、さらに材料性能向上を目指し、ポリビニルアルコール、玄武岩、炭素といった多様な繊維を補強材として添加。研究チームは、様々な養生条件の下で合成された複合材料の単位重量、空隙率、吸水率、圧縮強度、微細構造、耐火性、耐摩耗性といった多岐にわたる特性を詳細に評価しました。
一連の評価の結果、繊維補強がジオポリマーコンクリートの機械的性能を顕著に向上させることが判明しました。具体的には、リサイクルジオポリマー粉末を用いたモルタルでは最大16%、火山性凝灰岩を用いたシリーズでは最大23%もの圧縮強度向上が確認されています。これは、廃棄物由来の材料を主成分としながらも、従来の材料に匹敵する、あるいはそれを超える強度を発揮し得る可能性を示唆するものです。さらに特筆すべきは、炭素排出量分析により、本研究で開発されたジオポリマー混合物が、従来のセメントコンクリートと比較して、製造時の二酸化炭素排出量をほぼ半分に削減できることが明らかになった点です。この環境負荷の大幅な低減は、持続可能な建設材料開発における大きなブレークスルーと言えるでしょう。
本研究は、火山性凝灰岩とジオポリマーコンクリート廃棄物をジオポリマーシステムの潜在的な原料として確立し、建設分野における代替かつ持続可能なソリューションを提供します。天然資源の消費を抑えつつ、廃棄物の有効活用を促進し、製造時の炭素排出量を大幅に削減することで、環境保全と経済性の両立に大きく貢献するものです。この革新的なジオポリマー複合材料は、将来のインフラ建設において、地球環境に配慮した「グリーンコンクリート」の主流となる可能性を秘めており、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となるでしょう。
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Comprehensive mechanical, durability, and microstructural assessment of lightweight GGBS–metakaolin geopolymer concrete incorporating LECA
現代社会において、建築材料として広く用いられる普通ポルトランドセメント(OPC)は、製造過程で大量の二酸化炭素(CO₂)を排出し、天然資源を消費することから、その環境負荷が長年の課題として指摘されてきた。こうした背景のもと、持続可能な代替材料として、地盤高炉スラグ(GGBS)やフライアッシュなどの産業副産物を原料とするジオポリマーコンクリート(GPC)が注目を集めている。GPCは、CO₂排出量の削減や天然資源の節約に貢献するだけでなく、優れた機械的強度と耐久性を発揮する。しかし、GPCのさらなる高性能化と軽量化を両立させ、実用化を加速させるためには、その材料特性をより深く理解し、最適な配合を確立することが不可欠である。
この課題に対し、最新の研究では、GGBSを主成分とするジオポリマーコンクリートの機械的特性、耐久性、微細構造を包括的に評価した。本研究では、強度グレードGP30およびGP60を目標に、GGBSにメタカオリン(MK)を補助前駆体として添加し、さらに天然粗骨材の一部または全てを軽量発泡粘土骨材(LECA)に置き換えることで、軽量化と性能のバランスを追求した。実験の結果、GGBSとMKを80:20の質量比でブレンドした配合が最適な性能を発揮することが明らかになった。この最適配合では、28日圧縮強度がGP30で約37 MPa、GP60で約69 MPaに達し、対照配合と比較して吸水率と気孔率を50%以上低減するなど、優れた耐久性を示した。一方、MK含有量が30%を超えるとペーストの粘度が増し、気孔率が高まる傾向が見られた。また、LECAの導入はコンクリートの密度を最大30%削減する効果があるが、軽量化と機械的性能のバランスを考慮すると、天然粗骨材の50%以下の部分的な代替が推奨される。これらの結果は、走査型電子顕微鏡(SEM)やX線回折(XRD)による微細構造分析によって裏付けられ、最適なMK配合が緻密なゲル相形成に寄与する一方、LECAの導入は界面移行帯の弱化やボイド増加を引き起こすことが確認された。
本研究は、地盤高炉スラグを基盤としたジオポリマーコンクリートにおいて、メタカオリンと軽量発泡粘土骨材を組み合わせることで、高強度、高耐久性、そして軽量性を両立させるための具体的な配合設計指針と、その背後にある微細構造メカニズムを明らかにした点で極めて重要である。この成果は、持続可能な建築材料の開発を加速させ、環境負荷の低減と、より高性能なコンクリート構造物の実現に貢献する可能性を秘めている。特に、軽量で高強度なコンクリートは、高層建築物や橋梁、プレキャスト製品など、多岐にわたる建設分野での応用が期待され、将来の建設産業における革新を牽引する重要な一歩となるだろう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)
Utilization of novel agricultural waste ashes in self-compacting geopolymer concrete: Pumpkin shell and sugar beet ashes
現代社会において、建築・建設分野における持続可能性の追求は喫緊の課題であり、特にセメント製造が排出する大量の二酸化炭素は地球温暖化の主要な原因の一つとされています。この課題に対し、セメントを使用しない「地ポリマーコンクリート」は、産業副産物や廃棄物を有効活用できる環境配慮型材料として注目を集めています。しかし、地ポリマーコンクリートの主要な原料の一つであるフライアッシュ(FA)は、その供給源が限られているという課題も抱えています。このような背景から、新たな代替材料の探索は、持続可能な建設材料の開発をさらに推進するために不可欠です。本研究は、これまで未利用であったカボチャの殻灰(PSA)とテンサイ灰(SBA)という二つの農業廃棄物に着目し、これらをセルフコンパクション地ポリマーコンクリート(SCGC)におけるFAの部分代替材として利用する可能性を詳細に評価することを目的としました。
研究では、様々な配合のSCGC混合物21種類を製造し、フレッシュ性状、機械的強度、輸送特性(耐久性)、耐熱性、および微細構造の観点から包括的な性能評価を実施しました。その結果、PSAとSBAの含有量が多いほど、それらの高い表面積と吸水率に起因してコンクリートの作業性が低下する傾向が見られましたが、FAは流動性と機械的強度の向上に寄与することが明らかになりました。特筆すべきは、FAを90%、PSAとSBAをそれぞれ5%ずつ配合した「90FA–5PSA–5SBA」混合物が、最も優れた総合性能を発揮した点です。この最適配合のSCGCは、28日圧縮強度で110.7 MPa、割裂引張強度9.1 MPa、曲げ強度14.5 MPa、弾性係数46.09 GPaという極めて高い機械的強度を達成しました。さらに、塩化物イオン浸透が275 Coulombsと低く、透水性が1.43 × 10⁻¹¹ cm/s、吸水係数が2.76 × 10⁻⁴ mm/s⁰·⁵と、卓越した耐久性を示しました。耐熱性に関しては、200 °Cで圧縮強度がわずかに増加するものの、800 °Cでは大幅に低下することが確認されました。相関分析によりFAが最も影響力の大きいバインダーであることが示された一方、PSAとSBAは最適な比率で配合された場合に性能を相乗的に向上させることが示唆されました。走査型電子顕微鏡(SEM)による微細構造観察では、これらの三成分系混合物がより緻密で均質なマトリックスを形成しており、PSAとSBAが微細構造の改善に寄与していることが裏付けられました。
本研究で示されたカボチャの殻灰とテンサイ灰の地ポリマーコンクリートへの応用は、従来のセメント産業が抱える環境負荷問題に対し、画期的な解決策を提示するものです。これらの農業廃棄物を高機能な建設材料へと転換することで、廃棄物の有効活用と資源循環型社会の実現に大きく貢献します。特に、開発された高性能SCGCは、その優れた機械的強度と耐久性から、高層建築物やインフラ整備など、厳しい性能要件が求められる多様な用途での実用化が期待されます。本研究は、未利用バイオマス資源の新たな価値を創造し、持続可能でレジリエントな未来の建設産業を築くための重要な一歩となるでしょう。
出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)