AIニュース|2026-01-11 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Feasibility of fly ash-based geopolymer as a sustainable alternative to cement in concrete production

コンクリートは現代社会に不可欠な建設材料ですが、その主要成分であるセメントの製造過程は、世界の二酸化炭素(CO2)排出量の約8%を占め、地球温暖化対策の喫緊の課題です。持続可能な社会実現に向け、低環境負荷なセメント代替材料の開発は建設産業の最重要テーマです。このような背景の中、石炭火力発電所の副産物であるフライアッシュは、その大量発生と有効活用が期待される有望なセメント代替候補です。しかし、未改質のフライアッシュを多量に用いた場合、コンクリートの性能、特に耐水性や強度に課題が残り、実用化への障壁となっていました。

本研究は、フライアッシュを特殊な手法で表面改質し、超疎水性を持たせることで、セメント代替材料としての性能を飛躍的に向上させる新たなアプローチを提示しました。研究チームは、パーフルオロデシルアクリル酸シラン(PFDS)、炭素膜(CS)、ワックス含浸ナノシリカ(WFNS)の三つの方法でフライアッシュを改質し、その特性を比較評価しました。その結果、PFDSおよびWFNSで処理されたフライアッシュ(FA-PFDS、FA-WFNS)が顕著な超疎水性を示すことが確認され、低エネルギー基による表面修飾の有効性が示唆されました。これらの改質フライアッシュを用いた試験体は、未改質フライアッシュの場合と比較して、吸水率の大幅な低下と耐水性の向上を示しました。さらに、機械的性能においても顕著な改善が見られ、特にセメントの40%をFA-PFDSで置換した試験体は16.3 MPa、FA-WFNSで置換した試験体は15.1 MPaという圧縮強度を達成し、未改質フライアッシュを用いた場合の12.6 MPaを大幅に上回りました。これにより、強度を維持・向上させながらセメント使用量を削減できる可能性が示唆されます。一方、CSを用いた改質は耐水性改善に効果がなく、圧縮強度を損ねました。これらの成果は、微細構造解析によっても裏付けられています。

本研究で開発された超疎水性フライアッシュベースジオポリマーは、高性能かつ持続可能なセメント代替材料として極めて有望であることを実証しました。この技術の実用化は、コンクリート製造のCO2排出量大幅削減に加え、フライアッシュの有効活用と資源循環利用に貢献します。耐水性と強度を向上させた高耐久コンクリートはインフラの長寿命化にも繋がり、建設産業の持続可能性を大きく前進させることが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Resource utilization of waste bored pile slurry: Properties, mechanisms and environmental safety of geopolymer-based lightweight controlled low-strength materials

現代の建設現場、特に基礎工事においては、大量の廃止孔掘削泥水(Waste Bored Pile Slurry, WBPS)が発生します。このWBPSは高含水で汚泥状の廃棄物であり、その処理には多大なコストと環境負荷が伴うことが長年の課題でした。従来の埋め立て処理は土壌汚染のリスクを抱え、限られた埋立地の有効活用という観点からも、より持続可能で効率的な処理・資源化技術の開発が強く求められていました。しかし、WBPSの特性からその有効利用は限定的であり、画期的な解決策が待望されていました。

こうした背景のもと、本研究はWBPSの根本的な解決策として、これを主要な原料とするジオポリマー系軽量低強度管理材料(Controlled Low-Strength Material, CLSM)の開発に成功しました。この革新的なアプローチでは、WBPSに加え、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末(GGBFS)、さらにはリサイクルされた発泡ポリスチレン(EPS)粒子といった複数の産業廃棄物をアルカリ活性化プロセスによって組み合わせ、新たな高付加価値建材を生み出しています。開発された材料は、優れた流動性(161〜231.5 mm)と低密度(1120〜1220 kg/m³)、速硬性(7.13〜16.4時間で凝結)、そして埋め戻し材として十分な強度(1.81〜2.62 MPa)を兼ね備えています。また、優れた掘削性(剥離弾性率: 0.456〜0.651)と高い断熱性も有するため、再掘削が必要なプロジェクトや断熱用途にも適しています。さらに、微細構造解析により、C-(A)-S-HおよびN-A-S-Hゲルが形成され多相複合セメント系を構築すること、そしてNa⁺とCa²⁺イオンがゲルの形成と構造緻密化を相乗的に促進するという、材料の優れた機械的特性を支える本質的な反応メカニズムを詳細に解明しました。このメカニズム解明は、今後のジオポリマー材料設計における重要な知見となります。

本研究の成果は、WBPSの効率的な資源化を実現するだけでなく、複数の産業廃棄物の相乗的利用を可能にする点で極めて大きな意義を持ちます。開発されたジオポリマー系CLSMは、その優れた物理的特性と環境安全性が確認されており(浸出液pHや重金属濃度は環境基準を満たす)、非腐食性かつ無毒であることが実証されています。これにより、建設現場におけるWBPSの廃棄問題に環境に優しく経済的な解決策を提供し、持続可能な建設活動への移行を加速させることが期待されます。再掘削が容易な埋め戻し材や、断熱性能が求められる土木・建築分野での幅広い応用が可能であり、資源循環型社会の実現に向けた理論的・技術的な基盤を確立するものでしょう。これは、廃棄物ゼロ社会を目指す現代において、環境負荷低減と資源有効活用を同時に達成する画期的な進歩と言えます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Physical and microstructural characterization of wood ash–based geopolymer mortars with ceramic powder under different curing regimes

現代社会において、建築資材の基盤であるセメントの製造は、大量の二酸化炭素排出と天然資源の消費を伴い、地球環境に大きな負荷を与えています。この課題に対応するため、環境負荷の低い代替材料の開発が建築分野における喫緊の課題となっています。ジオポリマーは、産業廃棄物や副産物を原料として利用できるセメントフリーの結合材として、その環境性能と高い機能性から注目を集めています。本研究は、特にバイオマス発電所などから排出される木灰に着目し、これを主要な前駆体として利用するジオポリマーモルタルの開発を目指しました。さらに、別の産業廃棄物である陶磁器粉末を組み合わせることで、廃棄物の有効活用と高性能なセメントフリー建築材料の創出という、持続可能な社会の実現に貢献する新しい建材開発を目的としています。

研究チームは、木灰を水酸化ナトリウム(NaOH)で活性化させることによりジオポリマーモルタルを製造する手法を開発しました。この際、NaOHの添加量を3段階に調整し、ゲルの形成に与える影響を検討しています。さらに本研究の新規性として、木灰の一部を陶磁器粉末(CP)で置換する独創的なアプローチを取り入れ、その置換率を10、20、30重量パーセントの3水準で詳細に調査しました。加えて、養生温度が材料特性に与える影響を評価するため、室温(20 °C)、中温(70 °C)、高温(100 °C)という3種類の条件でモルタルを硬化させ、その物理的、機械的特性を包括的に評価しています。具体的には、単位体積重量、吸水率、見かけ気孔率といった物理特性に加え、圧縮強度と超音波パルス速度を測定しました。微細構造および鉱物学的分析には、走査型電子顕微鏡(SEM/EDS)、X線回折(XRD)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)といった高度な分析手法が用いられ、C(N)ASH型のジオポリマーゲルや、エトリンガイトに類似した針状結晶の形成が確認されました。これらの結果から、モルタルの単位体積重量は概ね2.00 g/cm³未満であり、養生温度、NaおよびCP含有量の増加に伴い圧縮強度が向上することが明らかになりました。

本研究の最も重要な発見は、木灰と陶磁器粉末を併用することで、ジオポリマー合成の適切な前駆体として相乗的に機能し、優れた性能を持つセメントフリーの軽量複合材料が製造可能であることを実証した点にあります。特に、14重量パーセントのNaOHと10重量パーセントの陶磁器粉末を使用し、100 °Cで養生した特定の配合(N14CP10–100とコード化)が、総合的に最も優れた物理的および機械的性能を最終的に発揮することが特定されました。この成果は、廃棄物由来の材料を高性能な建材へと昇華させる可能性を明確に示しており、資源の有効活用、地球環境負荷の低減、そして持続可能な建築分野の発展に大きく貢献するものです。将来的に、この研究で開発されたジオポリマーモルタルは、軽量性、強度、環境性能が求められる幅広い建築用途において、従来のセメントに代わる革新的な材料として実用化されることが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)