未来の建築材料? 海水の脅威にも屈しないフライアッシュ系ジオポリマーコンクリートの耐久性【2013年】

著者名:D. V. Reddy, Ph.D., P.E., M.ASCE1; Jean-Baptiste Edouard2; and Khaled Sobhan, Ph.D., A.M.ASCE3

論文タイトル:Durability of Fly Ash–Based Geopolymer Structural Concrete in the Marine Environment

掲載誌名:Journal of Materials in Civil Engineering

出版年:2013

巻数:25

ページ範囲:781-787

地球に優しい建築材料、ジオポリマーコンクリートの可能性

セメントの部分的な代替材料として、フライアッシュなどの補完セメント材料を使用することは、温室効果の環境制御と地球温暖化の抑制に重要な役割を果たすと考えられています。Portlandセメントのすべてをフライアッシュ(水酸化ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム溶液と組み合わせて)に置き換えたジオポリマーコンクリート(GPC)の開発は、通常のPortlandセメントコンクリートに代わる有望な代替手段を提供します。本稿では、腐食性の海洋環境にさらされた低カルシウムフライアッシュ系ジオポリマーコンクリートの耐久特性を評価します。

既存のコンクリートの課題とジオポリマーコンクリートへの期待

海洋環境にさらされるコンクリートは、波や潮汐などの機械的要因、波による浸食、海水中の硫酸塩や塩化物の影響による化学的攻撃、気温の変化などの気候的要因など、いくつかの種類の侵食性の要因にさらされます。このような状況下では、コンクリート構造物の劣化は、海水などの侵食性の水によるもの、あるいは鉄筋の腐食(鉄筋コンクリートの場合)による可能性があります。さらに、コンクリートの耐久性は、その本質的な特性とは無関係に、海洋環境における暴露の種類や浸漬の程度に応じて変化します。海水に接触するコンクリートは、硫酸塩、塩化物、マグネシウムイオンなどが関与するさまざまな化学反応を受けます。膨張性塩の結晶化、不溶性複合材料の析出、イオン攻撃など、いくつかの化学機構が発生します。透過性は、海洋環境におけるコンクリートの長期耐久性を決定する主要な要因です。コンクリートの密度が高いほど、破壊性の因子がコンクリートの細孔に浸透して流れ込むことは困難になります。ジオポリマーコンクリートの調製に関しては、混合物は100%副産物(フライアッシュ)です。つまり、Portlandセメントはジオポリマーペーストに完全に置き換えられます。現在のジオポリマーコンクリートに関する研究は、主に、フライアッシュ系ジオポリマーコンクリートの調製と特性決定のためのジオポリマー技術に焦点を当てています。しかし、海洋環境におけるジオポリマーコンクリートの耐久性に関する具体的な出版物はまだありません。本稿では、鉄筋コンクリート柱の加速腐食に基づく加速耐久性試験プログラムについて説明し、天然海水暴露にさらされたジオポリマーフライアッシュ系コンクリートの耐久性能を調査します。

本研究で明らかになったジオポリマーコンクリートの強み

本研究では、低カルシウムフライアッシュ系ジオポリマーコンクリートと通常のPortlandセメントコンクリート(OPC)の耐久性を、鉄筋の加速腐食試験を通じて評価することを主な目的としました。実験の結果、ジオポリマーコンクリートは、OPCと比較して、より均質で骨材との結合性が高い(骨材を通る破壊面)ことがわかりました。その結果、ジオポリマーコンクリートは、腐食による耐亀裂性の向上と長期耐久性が得られます。ジオポリマー混合物の強度に及ぼす材齢の影響は、OPCとは異なっていました。ジオポリマーコンクリートは、材齢7日で29.7 MPa(8 M)から56.2 MPa(14 M)、28日で40 MPa(8 M)から60.2 MPa(14 M)の範囲で大きな初期圧縮強度を有していました。OPCの場合、材齢7日と28日でそれぞれ22 MPaと33 MPaでした。これらの結果は、ジオポリマーコンクリートの強度増加(材齢7日から28日)が15%(8 M)と7%(14 M)であったことを示しています。OPCに関しては、材齢7日から28日にかけて33%の増加が見られました。ジオポリマーコンクリートの劈開引張強度は、OPCよりも常に高いことがわかりました。図2に示すように、ジオポリマーコンクリートの電気抵抗率は、大幅な影響を受けませんでした。ひび割れの減少は、透過性の低下を意味します。補完セメント材料で改質したOPCとの比較は、今後の検討課題です。凝結時間、化学物質の取り扱い、高熱養生の必要性など、ジオポリマーコンクリートの欠点のいくつかは、長期的な研究で評価する必要があります。

今後の展望:ジオポリマーコンクリートが切り開く未来

本研究は、ジオポリマーコンクリートが海洋環境においても高い耐久性を持ち、従来のPortlandセメントコンクリートよりも優れた性能を発揮する可能性を示しました。特に、ジオポリマーコンクリートは高い圧縮強度と劈開引張強度を示し、長期的な耐久性に優れていることが示唆されました。これは、ジオポリマーコンクリートが、海洋構造物など、過酷な環境にさらされる構造物の建設に適している可能性を示唆しています。今後の研究では、ジオポリマーコンクリートの長期的な耐久性、補完セメント材料で改質したOPCとの比較、実用化に向けた課題解決などが求められます。ジオポリマーコンクリートは、環境負荷の低減と耐久性の両立を実現する、持続可能な社会に貢献する未来の建築材料と言えるでしょう。

本記事は学術論文の要約であり、原著作者および出版社の権利を尊重しています。詳細な情報や正確な引用については、原論文を参照してください。

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