C-S-Hの論文を読んでいると、突然「Q¹」「Q²」「mean chain length」「MCL」「29Si MAS NMR」といった言葉が出てきます。
セメント・コンクリート分野に入りたてのB4や修士学生にとっては、ここで一気に読む手が止まりやすいところです。
この記事では、C-S-H論文を読むために最低限知っておきたい「Q種」と「鎖長」の意味を、数式よりもイメージ重視で整理します。
最初に結論を言うと、C-S-H論文で出てくるQ¹/Q²は、SiO₄四面体がどれくらい隣の四面体とつながっているかを表す記号です。Q¹が多いほど短い鎖が多く、Q²が多いほどシリケート鎖が長いと考えます。
C-S-Hはセメント硬化体の主要な水和物で、セメント・コンクリートの結合性や微細構造を考えるうえで中心的な相です。論文では、そのC-S-Hの「見えにくい骨格」を読むために、29Si MAS NMRでQ種を調べることがよくあります。
Q種とは何か
Q種とは、ケイ素を中心とするSiO₄四面体のつながり方を表す記号です。
C-S-Hの骨格をものすごく単純化すると、SiO₄四面体がいくつもつながった「シリケート鎖」として考えられます。このとき、1つのSiO₄四面体が隣のSiO₄四面体と何個つながっているかを、Qの右上の数字で表します。
たとえば、次のようなイメージです。
Q⁰: ● どこともつながっていない
Q¹: ●—● 鎖の端にいる
Q²: ●—●—● 鎖の途中にいるここでの「●」はSiO₄四面体を表しています。
厳密には、Qⁿのnは「隣接するSiO₄四面体と共有している酸素の数」を意味します。29Si NMRでは、このつながり方の違いが化学シフトの違いとして観測されます。Qⁿ表記では、n=0〜4がケイ素の局所環境や重合度を表すために使われます。
C-S-H論文を読むうえでは、まず次の3つを押さえれば十分です。
| Q種 | ざっくりした意味 | C-S-H論文での読み方 |
|---|---|---|
| Q⁰ | 孤立したSiO₄四面体 | 未水和のクリンカー鉱物や単量体的な環境を疑う |
| Q¹ | 鎖の端、または二量体的な構造 | 鎖が短い、端が多い |
| Q² | 鎖の途中のSi | 鎖が伸びている、重合が進んでいる |
つまり、C-S-Hの論文でQ¹とQ²の比が出てきたら、まずは「C-S-Hのシリケート鎖が短いのか、長いのかを見ている」と考えると読みやすくなります。
Q⁰/Q¹/Q²の違い

Q⁰:C-S-Hの主役というより「未反応成分」の目印になりやすい
Q⁰は、隣のSiO₄四面体とつながっていない状態です。
セメント系材料では、Q⁰は未水和のC₃SやC₂Sなど、まだ水和反応が進んでいないケイ酸塩鉱物に由来するピークとして見られることがあります。
そのため、C-S-Hの構造を読むときにQ⁰が出てきたら、すぐに「C-S-Hの鎖が短い」と読むのではなく、まず次の可能性を考えます。
- 未反応のクリンカー鉱物が残っている
- 試料中にC-S-H以外のケイ酸塩相が含まれている
- スペクトルの分離やピーク帰属に注意が必要
29Si MAS NMRでは、Q⁰、Q¹、Q²などのピーク位置が重なりにくい一方で、実際のセメント硬化体では複数相が混在します。だからこそ、NMRだけでなくXRD、TG-DTA、SEM-EDSなどとあわせて解釈する必要があります。
Q¹:鎖の端を表す
Q¹は、シリケート鎖の端にいるSiです。
模式的には、次のような位置です。
Q¹ Q¹
● — ●このような二量体的な構造では、両端がQ¹になります。
より長い鎖でも、端にいるSiはQ¹です。
Q¹ Q² Q² Q¹
● — ● — ● — ●つまり、Q¹が多いということは、鎖の端が多いということです。
鎖の端が多いということは、平均的には短い鎖が多いと考えられます。C-S-H論文で「Q¹が増えた」と書かれていたら、まずは「シリケート鎖が短くなった方向」と読みます。
Q²:鎖の途中を表す
Q²は、シリケート鎖の途中にいるSiです。
Q¹ Q² Q² Q² Q¹
● — ● — ● — ● — ●この図では、両端がQ¹で、内側の3つがQ²です。
Q²が多いほど、鎖の途中にいるSiが多いことになります。つまり、平均的には鎖が長いと考えます。
C-S-H論文で「Q²/Q¹比が増えた」「MCLが増加した」と書かれている場合、基本的にはC-S-Hのシリケート鎖が長くなったという意味です。
29Si MAS NMRでは、Q¹やQ²のピークを分離して、それぞれの面積比から平均鎖長を推定します。C-S-HゲルのQ¹/Q²を読み分け、平均鎖長を議論する流れは、Cong & Kirkpatrickの29Si MAS NMR研究以降、C-S-H構造を考える代表的な見方のひとつになっています。詳しく読みたい場合は、29Si MAS NMRで鎖長とQ種を定量したCong & Kirkpatrick論文の解説もあわせて読むと流れをつかみやすくなります。
29Si NMRでQ種を読むときの目安
29Si NMRでは、ケイ素の周囲の結合環境によってピーク位置が変わります。
C-S-Hやセメント系水和物では、文献や試料条件によって多少ずれますが、ざっくり次のような目安で読まれます。
| Q種 | 化学シフトの目安 | 何を意味するか |
|---|---|---|
| Q⁰ | 約 -65〜-75 ppm | 孤立したSiO₄、未反応ケイ酸塩など |
| Q¹ | 約 -78〜-82 ppm | 鎖端、二量体的なSi |
| Q² | 約 -84〜-87.5 ppm | 鎖中、重合したシリケート鎖 |
水和カルシウムシリケート系材料の29Si MAS NMRでは、Q⁰、Q¹、Q²の化学シフト範囲がこのような目安で整理されることがあります。
ただし、実際の論文では、ピーク位置だけで機械的に判断しないほうが安全です。
理由は、C-S-HのQ²には「鎖の中のどの位置か」「Alが近くに入っているか」などで細かな違いが出るからです。特にC-A-S-Hやスラグ系材料では、Q²(1Al)のような表記が出てきます。
そのため、論文を読むときは、次の順番で確認すると迷いにくくなります。
- 著者がどのピークをQ¹、Q²、Q²(1Al)に帰属しているかを見る
- ピーク面積からQ¹/Q²比やMCLをどう計算しているかを見る
- C/S比、Al/Si比、材齢、混和材の有無と対応させる
- XRDやTGなど、別の分析結果と矛盾していないか見る
ピーク位置の暗記よりも、「その論文では何をQ¹/Q²として数えているか」を追うほうが重要です。
鎖長の意味
C-S-Hの鎖長とは、シリケート鎖が平均してどれくらい長いかを表す指標です。
論文では、mean chain length、MCL、平均鎖長などと書かれます。
簡単に言うと、次のような違いです。
短い鎖:
●—● ●—● ●—●
Q¹ Q¹ Q¹ Q¹ Q¹ Q¹
長い鎖:
●—●—●—●—●—●
Q¹ Q² Q² Q² Q² Q¹短い鎖ではQ¹の割合が大きくなります。
長い鎖では、端のQ¹は2つだけですが、途中のQ²が増えます。
そのため、Q²/Q¹比が大きいほど、平均鎖長は長いと考えられます。
もっとも単純なモデルでは、平均鎖長は次のように表されます。
MCL ≒ 2 × (1 + Q² / Q¹)ここでのQ¹とQ²は、NMRピークの面積比として扱われることが多いです。
ただし、この式は「Q¹とQ²を中心にした単純化」です。C-A-S-HのようにAl置換を含む場合や、Q²をQ²b、Q²p、Q²(1Al)などに分ける場合は、論文ごとに使っている式を確認する必要があります。近年のC-A-S-H研究では、29Si MAS NMRのピーク分離からQ¹、Q²、Q²(1Al)などを考慮してMCLを求める例もあります。
初学者がまず押さえるべきなのは、式そのものよりも次の対応です。
Q¹が多い → 鎖端が多い → 平均鎖長は短い
Q²が多い → 鎖中が多い → 平均鎖長は長いC/S比と鎖長はどうつながるか

C-S-H論文では、C/S比またはCa/Si比がよく出てきます。
C/S比は、C-S-H中のカルシウムとケイ素の比です。
C/S比が高い = Caが多い
C/S比が低い = Siが相対的に多い一般に、C/S比が低く、Siが多い側では、シリケート鎖が伸びやすくなります。逆に、C/S比が高い側では、シリケート鎖が短くなりやすく、Q¹の割合が増える方向で理解されます。C-S-Hのレビューでも、シリカ鎖長はシリコン濃度の増加とともに長くなると整理されています。
イメージとしては、次のように読むとよいです。
| 条件 | Q種の傾向 | 鎖長の読み方 |
|---|---|---|
| C/S比が高い | Q¹が相対的に多い | 短い鎖が多い |
| C/S比が低い | Q²が相対的に多い | 長い鎖が多い |
| ポゾラン反応が進む | Q²が増えやすい | C-S-H/C-A-S-Hが重合する方向 |
| スラグ・Alを含む系 | Q²(1Al)が出やすい | Al置換を含む鎖として読む |
ここで注意したいのは、「C/S比が低いほど必ずよい材料になる」と単純化しないことです。
鎖長はC-S-H構造を読むための重要な指標ですが、強度、収縮、耐久性、空隙構造は、C-S-Hの量、密度、空隙径分布、未反応粒子、養生条件などにも左右されます。
つまり、Q種と鎖長は「材料性能そのもの」ではなく、材料性能を説明するための構造情報のひとつです。
Al置換とQ²(1Al)の読み方

スラグ、フライアッシュ、メタカオリンなどを含むセメント系材料では、C-S-HにAlが取り込まれたC-A-S-Hが議論されます。
このとき、29Si NMRではQ²(1Al)のような表記が出てくることがあります。
Q²(1Al)は、ざっくり言うと、Siの近くにAlが関係しているQ²環境です。
通常のQ²は、Si-O-Siのつながりをもつシリケート鎖中のSiを表します。一方、AlがSiの一部を置き換えると、Siの近くにAlを含む結合環境ができ、通常のQ²とは少し違うピークとして扱われます。
スラグセメント硬化体を29Si/27Al MAS NMRで調べた研究では、スラグ置換率が高くなるとC-A-S-H中のQ²(1Al)が増え、平均鎖長も増加することが報告されています。
初学者向けに言い換えると、次のようになります。
| 表記 | ざっくりした意味 | 読むときのポイント |
|---|---|---|
| Q² | Siだけでつながる鎖中の環境 | C-S-Hの鎖が伸びている |
| Q²(1Al) | 近くにAlを含む鎖中の環境 | C-A-S-H化、Al置換を考える |
| Q²b / Q²p | Q²の中の位置の違い | 論文の帰属ルールを確認する |
Q²(1Al)が出てきたら、「Alが入ったから別物」と考えるより、まずは「C-S-Hのシリケート鎖にAlが関わったC-A-S-Hとして読んでいる」と理解するとよいです。
ただし、Alがどの位置に入るか、どのピークをQ²(1Al)とみなすかは、試料条件や解析方法によって変わります。C-S-HにおけるAlの取り込みは、Ca/Si比や溶液中のAl濃度にも依存し、低Ca/SiではAlがブリッジ位置に置換しやすいと整理されることがあります。
C-S-H論文でQ種を見るときのチェックリスト
C-S-H論文を読むときは、いきなり全体を完璧に理解しようとしなくて大丈夫です。
まずは、29Si NMRの図や表を見ながら、次の5点だけ確認してみてください。
1. Q¹とQ²のどちらが多いか
最初に見るべきは、Q¹とQ²の大小関係です。
Q¹が多ければ短い鎖、Q²が多ければ長い鎖という方向で読みます。
2. Q²/Q¹比が増えているか
材齢、配合、混和材、C/S比の変化に対して、Q²/Q¹比がどう変化しているかを見ます。
たとえば、材齢が進んでQ²が増えるなら、シリケート鎖の重合が進んだと読めます。
3. MCLが示されているか
論文によっては、Q¹とQ²のピーク面積からMCLを計算しています。
MCLが大きくなっていれば、平均的なシリケート鎖が長くなったと読みます。
4. C/S比と対応しているか
C/S比が低い試料でQ²やMCLが増えているなら、構造理解としては自然です。
反対に、C/S比の変化とQ種の変化が合わない場合は、Al置換、アルカリ、未反応相、乾燥条件、測定条件などを確認します。
5. Alを含む系かどうか
スラグやフライアッシュを含む場合、Q²(1Al)や27Al NMRの情報が重要になります。
この場合、Q¹/Q²だけでなく、AlがC-A-S-H中にどう入っているかを見る必要があります。
NGな読み方と改善例
Q種は便利ですが、読み方を間違えると論文の解釈が雑になります。
NG例1:Q²が多いから強度が高いと断定する
Q²が多いことは、シリケート鎖が長い方向を示します。
しかし、強度はC-S-Hの鎖長だけで決まるわけではありません。空隙率、空隙径分布、C-S-Hの量、未反応粒子、界面、養生条件なども影響します。
改善して書くなら、次のようになります。
Q²の増加は、C-S-HまたはC-A-S-Hのシリケート鎖がより重合した可能性を示す。強度発現との関係を議論するには、空隙構造や水和生成物量の変化もあわせて確認する必要がある。
NG例2:Q⁰をC-S-Hの短い鎖として読む
Q⁰は孤立したSiO₄環境です。
セメント系では、未反応のC₃SやC₂Sなどに由来する可能性があります。C-S-Hの平均鎖長を読むときに、Q⁰をそのままC-S-Hの鎖の一部として扱うのは危険です。
改善して書くなら、次のようになります。
Q⁰ピークは未水和ケイ酸塩相の残存を反映している可能性があるため、C-S-Hの鎖長評価ではQ¹/Q²成分と分けて考える。
NG例3:論文ごとのピーク帰属の違いを無視する
Q²、Q²b、Q²p、Q²(1Al)の扱いは、論文によって細かく違うことがあります。
改善して書くなら、次のようになります。
本研究では著者のピーク帰属に従い、Q²成分にQ²bおよびQ²pを含めて平均鎖長を比較した。Al置換を含む試料では、Q²(1Al)の扱いに注意する。
卒論・修論で使える言い換え例
Q種や鎖長を卒論・修論で説明するときは、専門用語をそのまま並べるより、「何を意味するか」まで書くと伝わりやすくなります。
Q種を説明する例文
29Si MAS NMRにおけるQⁿ表記は、SiO₄四面体が隣接するSiO₄四面体といくつ結合しているかを表す。C-S-Hでは、Q¹は主にシリケート鎖の端部、Q²は鎖中のSi環境に対応する。
Q¹/Q²比を説明する例文
Q¹に対してQ²の割合が増加したことから、C-S-H中のシリケート鎖が平均的に長くなった可能性が示唆される。
C/S比と鎖長を説明する例文
C/S比の低下に伴いQ²成分が増加したことから、Siに富む条件でシリケート鎖の重合が進行したと考えられる。
Al置換を説明する例文
スラグを含む試料ではQ²(1Al)に対応する成分が確認され、Alを含むC-A-S-Hの形成が示唆された。
少し慎重に書く例文
ただし、29Si NMRのピーク分離には解析条件の影響があるため、Q種の変化はXRDやTGの結果とあわせて解釈する必要がある。
このように書くと、「Q種を知っている」だけでなく、「分析結果をどう解釈しているか」まで伝わります。
次に読むべき論文・記事
Q種と鎖長の基本を押さえたら、次は実際の論文解説を読むと理解が進みます。
Cong & Kirkpatrickの29Si MAS NMR論文
C-S-HのQ¹/Q²比と平均鎖長を考えるうえで、最初に読んでおきたい代表的な研究です。
このサイトでは、Cong & Kirkpatrickの29Si MAS NMR論文をQ種と鎖長の観点から解説した記事を用意しています。この記事を読んだあとなら、Q¹/Q²やMCLの意味がかなり追いやすくなるはずです。
C-S-Hの原子モデルを知りたい場合
Q種はNMRから見た「局所構造」の情報です。
一方で、C-S-Hを原子レベルでどうモデル化するかを知りたい場合は、CSH-FFとは何かを解説した記事が次のステップになります。
Q¹/Q²で見た鎖の長さと、原子モデル中の欠陥トバモライト構造をつなげて考えると、C-S-Hの論文がかなり読みやすくなります。
ナノ結晶性や総散乱まで進みたい場合
C-S-Hは単なる完全な非晶質ではなく、短距離〜中距離構造をもつ材料として議論されます。
NMRだけでなく、PDF解析や総散乱の観点からC-S-Hを読みたい場合は、C-S-Hはナノ結晶性をもつという論文解説も参考になります。
FAQ
Q¹とQ²だけ分かればC-S-H論文は読めますか?
かなり読みやすくなりますが、それだけで十分とは限りません。
Q¹/Q²はC-S-Hのシリケート鎖を読むうえで重要な指標です。ただし、実際の論文ではC/S比、Al置換、材齢、混和材、空隙構造、測定前処理なども関係します。
まずQ¹/Q²で「鎖が短いか長いか」を読み、その後に他の分析結果と対応させるのが現実的です。
Q²が増えると必ず性能がよくなりますか?
必ずしもそうではありません。
Q²が増えることは、シリケート鎖が長くなる方向を示します。しかし、強度や耐久性は、C-S-Hの量、密度、空隙構造、ひび割れ、養生条件などにも影響されます。
そのため、「Q²が増えた=鎖長が増えた可能性がある」と読み、その変化が性能にどう関係するかは別のデータとあわせて判断します。
29Si NMRのピーク位置は暗記したほうがよいですか?
暗記よりも、Q種の意味を理解するほうが先です。
Q⁰は孤立、Q¹は鎖端、Q²は鎖中。この3つを押さえたうえで、論文ごとのピーク帰属表を確認すれば十分です。
化学シフトの範囲は試料や解析条件によって多少変わるため、ピーク位置だけで断定しないほうが安全です。
Q²(1Al)は何を意味しますか?
Q²(1Al)は、Alが関係するQ²環境を表す表記です。
スラグ、フライアッシュ、メタカオリンなどを含む系では、C-S-HにAlが取り込まれてC-A-S-Hとして議論されることがあります。そのとき、29Si NMRでは通常のQ²とは別にQ²(1Al)が扱われることがあります。
初学者はまず、「Alを含むC-A-S-Hの鎖構造を見ている」と理解すれば大丈夫です。
まとめ:Q種はC-S-Hの鎖を読むための入口
C-S-H論文で出てくるQ¹/Q²は、難しそうに見えますが、最初に押さえるべき意味はかなりシンプルです。
Q¹は鎖の端、Q²は鎖の途中です。
Q¹が多ければ短い鎖が多く、Q²が多ければ長い鎖が多いと考えます。Q²/Q¹比やMCLは、そのシリケート鎖の長さを読むための指標です。
C/S比が低くSiに富む条件では、一般にQ²が増え、鎖長が長くなる方向で理解されます。一方、スラグやフライアッシュを含む系では、Q²(1Al)のようにAl置換を含めた読み方が必要になります。
次にC-S-H論文を読むときは、まず29Si NMRの図や表から、次の3点を確認してみてください。
- Q¹とQ²のどちらが多いか
- Q²/Q¹比またはMCLがどう変化しているか
- その変化がC/S比、Al置換、材齢、混和材とどう対応しているか
この3点を追えるようになると、C-S-H論文の「構造の話」がかなり読みやすくなります。


