大学連携研究設備ネットワークとは?使い方・申請手順・活用例まで徹底解説

大学連携研究設備ネットワークとは、全国の大学等が保有する研究設備を“大学の壁を越えて”相互利用・共同利用できるようにした仕組みです。設備を検索し、予約し、利用実績に基づいて課金まで行えるため、必要な装置を必要なときに使いやすくなります。

主なポイント

  • 研究設備を検索→予約→利用→実績確定→支払いまで一気通貫で進められます。
  • 利用形態は「自分で測る相互利用」と「測定をお願いする依頼測定」の2本立てです。
  • 利用にはアカウント発行が必要で、所属機関・研究室単位の登録フローがあります。
  • 予約前後は、設備管理者・事務担当と事前に打ち合わせしておくのが成功のコツです。

基本概念・定義

大学連携研究設備ネットワークは、国立大学法人と自然科学研究機構 分子科学研究所が中心となって連携し、参画機関が所有する研究設備の相互利用・共同利用を進めるためのネットワークです。2019年4月からは、公立大学・私立大学等も設備登録が可能になるなど、参画の幅が広がっています。

この仕組みの狙いはシンプルです。高額で専門性の高い装置は、どの大学でも常時フル稼働とは限りません。そこで、遊休時間や機器の余力を“見える化”し、必要な研究者が使えるようにして、研究基盤を強くします。

もうひとつ重要なのが、予約・課金システムの存在です。単に「機器リストが載っている」だけでなく、インターネット上で予約し、利用実績が確定し、請求・支払いへつながる運用が前提に設計されています。


大学連携研究設備ネットワークで何ができる?

研究設備を“探す・押さえる・精算する”を一つの流れにできる

利用者は、登録後に発行されるアカウントでシステムへログインし、設備を選んで予約します。利用後は設備管理者の完了処理によって実績・課金が確定し、請求書に基づいて支払う、という流れです。

「相互利用」と「依頼測定」を使い分けられる

  • 相互利用:利用者自身が現地で測定する
  • 依頼測定:利用者の依頼により、設備管理者が測定を代行する

遠方で渡航が難しいとき、測定手順に熟練が必要なとき、サンプルを送ってデータだけ受け取りたいときは、依頼測定が強い選択肢になります。


誰が使える?登録できる?(利用者・組織の考え方)

まず「所属機関が登録済みか」を確認する

公式の登録方法では、最初に「自分の所属先がすでに登録されているか」を確認するよう案内されています。協議会未加入大学や公的機関は組織単位での登録となる点も明記されています。

企業利用も想定されているが、企業一覧は公開されない

登録方法の案内では、民間企業の登録については“情報管理の観点から一覧表示しない”とされています。企業として利用を検討している場合、登録状況が不明なら事務局へ問い合わせる運用です。


使い方は?最短で理解する「利用の流れ」

ここでは、初めての人がつまずきやすいポイントも含めて、手順を“最短ルート”で整理します。

1)利用前に:アカウントと研究室予算の準備を整える

設備利用(予約)にあたっては、研究室予算の設定が必要です。先に会計周りを整えると、予約後の処理が止まりにくくなります。

2)設備を探す:検索→候補を絞る

設備の検索・予約は、全体から探す方法のほか、よく使う設備をお気に入り登録して素早く予約する方法も用意されています。まずは「分析手法」「装置種別」「地域」など、研究目的に直結する軸で絞り込むのが実務的です。

3)予約前に:利用者資格が必要か確認する

設備によっては、予約前に利用者資格申請が必要で、設備管理者の承認後に予約可能になります。初回利用の設備ほど、ここで止まりやすいので注意してください。

4)予約する:相互利用か依頼測定かを決めて申し込む

相互利用では、予約後に現地で各設備の利用法に従って利用します。依頼測定では、依頼内容・希望日等により設備管理者が承認・却下するフローになります。

5)利用後:実績確定→請求書で支払う

利用後は、設備管理者による完了処理で実績・課金が確定し、課金状況はシステム上で確認できます。支払いは設備所有機関が発行する請求書に基づいて行います。


アカウント権限の違いを知ると運用がラクになる

ネットワークの予約・課金システムは、権限によってできることが明確に分かれています。代表的には次の4つです。

  • 会計責任者:利用者登録、予算設定など
  • 利用者:設備閲覧、予約など
  • 設備管理者:設備・料金設定、予約処理、課金処理
  • 機関管理者:機関全体の課金状況管理、利用記録のダウンロード等

研究室の実務では、「利用者は予約できるのに、予算が紐づいていなくて手続きが止まる」などが典型的な落とし穴です。予約を急ぐ案件ほど、会計責任者・事務担当と最初に役割分担を決めると事故が減ります。


データ・事例・比較:どういうときに“効く”仕組みなのか

活用例1:学内にない装置を、遠方でもデータとして受け取る(依頼測定)

例えば、特殊な表面分析や高感度測定など、学内に装置がない/あっても予約が埋まりがち、という場面では、依頼測定が有効です。利用者が現地へ行かずに測定を依頼できる前提があるため、移動コストとリードタイムの両方を圧縮できます。

活用例2:共同研究の“最初の一手”として相互利用する

「この測定結果が出れば共同研究が前に進む」という局面では、相互利用で短期にデータを取りに行くのが強いです。設備の利用をきっかけに、設備管理者や同分野の研究者と接点ができ、共同研究に発展することもネットワークの狙いのひとつです。

比較:学内共用・共同利用拠点との違い

  • 学内共用は近さが強みですが、装置のラインナップは所属機関に依存します。
  • 共同利用・共同研究拠点は大型施設やテーマ型の共同利用が強みです。
  • 大学連携研究設備ネットワークは、全国に点在する設備を“横につなぎ”、予約・課金まで含めた運用で使いやすくする点が特徴です。

数字で押さえる:共用促進の取り組み(加速事業)

ネットワーク内には、研究設備の共用をさらに促進するための「共用加速事業」の公募枠があり、要領では1件あたりの申請限度額を2,500千円とする旨が示されています。設備の安定稼働に向けた点検・調整等を支援対象にする設計です。
また、直近では2026年度の共用加速事業が告知され、締切が2026年1月30日と案内されています(※応募を検討している場合は日付を必ず再確認してください)。
最終確認日:2026年1月19日


注意点・ベストプラクティス

事前打ち合わせを“作業”ではなく“設計”として扱う

利用前に設備管理者や事務方と打ち合わせることは、実務上ほぼ必須です。ここを雑にすると、当日トラブルで測定が飛ぶ、請求処理が止まる、という損失が大きくなります。

打ち合わせで最低限決めておきたいのは、次の3点です。

  • 測定条件(サンプル形状、前処理、測定範囲、納品物の形式)
  • 安全・搬入手順(持ち込み可否、危険物・高圧ガス・感染性試料など)
  • 料金と支払い(見積の要否、請求先、学内事務フロー)

初回で止まりやすいポイント(最短で詰まりを回避する)

初回利用の研究室が詰まりやすいのは、測定そのものより「制度・手続き側」です。特に次の5つは、予約前に潰しておくとリードタイムが短くなります。

  • 利用者資格の要否:初回の設備ほど「資格申請→承認待ち」で止まりやすい
  • 予算の紐づけ:予約できても、予算が紐づいていないと運用が止まる
  • サンプル搬入条件:サイズ・容器・危険物扱いの可否で当日NGになりやすい
  • 見積の要否:学内手続きで事前見積が必要なケースがある
  • 請求先・宛名:研究室/部局/大学本部など、請求先の“正解”が組織で異なる

初回は「依頼測定→相互利用」へ段階的に移るのも手

操作に熟練が必要な装置や、手順が複雑な測定は、最初から相互利用に振るより、依頼測定で要点を掴み、次回から相互利用へ移るほうが結果的に早いケースがあります。

アカウント周りの小トラブルは“制度”で回避できる

例えば、パスワード再設定URLの有効期間(24時間)など、運用上のルールは案内ページに整理されています。初回利用の研究室は、会計責任者がこの種の情報を把握しておくと詰まりにくいです。


FAQ(よくある質問)

研究室の学生でも予約できますか?

可能です。ただし、実際の予約・課金運用は権限設計に依存します。利用者として予約する人、予算設定や利用者登録を行う会計責任者など、役割を分けて運用します。

相互利用と依頼測定は、どちらが一般的ですか?

目的次第です。現地で自分で測れるなら相互利用、移動が難しい/熟練が必要/データだけ欲しいなら依頼測定が向きます。

予約できない(資格申請が必要と言われる)のはなぜ?

設備によって利用者資格が設定されており、予約前に資格申請と承認が必要な場合があります。初回利用の設備は特に、申請・承認のリードタイムを見込んでください。

支払いはどうなりますか?クレカ決済ですか?

基本は、設備所有機関が発行する請求書に基づいて支払う流れです。学内の支払い手続きは所属機関の事務担当に確認します。

企業として利用したいのですが、登録状況はどこで分かりますか?

民間企業は一覧表示を行わない方針のため、登録有無が不明な場合は事務局へ問い合わせる運用になります。


まとめ

大学連携研究設備ネットワークは、大学等が保有する研究設備を、全国規模で「探して・予約して・使って・精算する」ための実務的な仕組みです。相互利用と依頼測定を使い分ければ、装置不足や予約混雑のボトルネックを越えて研究を前に進められます。

今すぐできる次の一歩は、次の3つです。

  • 自分の所属機関が登録済みか確認し、必要なら研究室(会計責任者)登録の段取りをつける。
  • 使いたい設備を検索し、初回は「依頼測定」も含めて現実的なルートを選ぶ。
  • 予約前に、設備管理者・事務担当と測定条件/安全/支払いをすり合わせる。

参考(公式)

  • 大学連携研究設備ネットワーク|利用方法:https://chem-eqnet.ims.ac.jp/howto/use
  • 大学連携研究設備ネットワーク|登録方法:https://chem-eqnet.ims.ac.jp/howto/regist

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