研究内容をESに書こうとすると、急に手が止まることがあります。
- 専門用語をどこまで削ればいいかわからない
- 研究途中で、まだ大きな成果が出ていない
- 自分の研究が応募企業にどうつながるのか整理できない
理系学生や院生にとって、研究内容は一番時間を使ってきたテーマである一方、いちばん「伝える形」に直しにくい項目でもあります。
結論から言うと、ESの研究内容で大事なのは、研究の難しさをそのまま見せることではありません。
専門外の相手にも伝わる形で、「何に取り組み、なぜ必要で、どう工夫し、何を学んだか」を整理することです。
この記事では、理系学生・院生向けに、研究内容をESへ書くときの型をわかりやすく整理します。
研究と就活の全体像を先に整理したい人は、27卒理系学生向け|研究と就活を両立する週末の使い方【3月〜6月版】もあわせて読むと動きやすくなります。
なぜESで研究内容を聞かれるのか
企業が見ているのは、研究テーマそのものだけではありません。
研究内容の項目では、主に次のような点が見られています。
- 物事を筋道立てて説明できるか
- 課題に対して、自分なりに工夫して取り組んだか
- 研究で得た姿勢や強みを、仕事でも活かせそうか
つまり、ESの研究内容は「研究の専門性を披露する欄」ではなく、あなたの考え方や進め方を伝える欄です。
そのため、研究テーマがニッチでも問題ありません。
むしろ重要なのは、読み手にとって未知の内容を、読みやすい順番で翻訳できているかどうかです。
研究内容をESに書くときの基本の型
研究内容は、次の4要素で整理すると伝わりやすくなります。
1. 何を研究しているか
最初の1文で、研究テーマの輪郭を出します。
ここで大切なのは、専門用語を並べることではなく、対象・観点・目的がわかる形にすることです。
たとえば、
- 悪い例:高炉スラグ混和系における硫酸塩劣化挙動の評価
- 良い例:コンクリート構造物の劣化を抑えるため、材料の違いが耐久性に与える影響を調べています
後者の方が、専門外の相手にも「何のための研究か」が見えやすくなります。
2. なぜその研究が必要か
次に、背景や目的を書きます。
ここでは大きすぎる話を書きすぎないことが重要です。
「社会に貢献するため」とだけ書くと、きれいですが印象には残りにくいです。
それよりも、
- どんな課題があるのか
- 何がまだ十分にわかっていないのか
- その研究で何を明らかにしたいのか
を短く整理すると、説得力が出ます。
3. 自分がどう取り組んだか
ここがESで差がつきやすい部分です。
研究内容の説明が「テーマ紹介」で終わると、読み手はあなた本人の動きが見えません。
そこで、
- どんな方法で進めたか
- どこで困ったか
- 何を工夫したか
- どう改善したか
まで書けると、一気に評価につながりやすくなります。
4. 何を学んだか・どう活かせるか
最後に、研究を通して得た学びを言語化します。
ここでありがちな失敗は、「粘り強さを学びました」のように抽象的に終わることです。
抽象語だけではなく、何を通じて、どんな姿勢が身についたのかまで落とし込むのがポイントです。
たとえば、
- 仮説と結果がずれたときに、原因を分解して考える力
- うまくいかない条件を記録し、再現性を高める姿勢
- 指導教員や先輩との議論を通じて方針修正する力
のように書くと、仕事への接続も見えやすくなります。
まずはこの順番で書けばOK【研究内容ESのテンプレ】
研究内容をESで書くときは、次の順番で組み立てるとまとまりやすいです。
- 研究テーマを一言で示す
- 背景・目的を書く
- 自分の取り組みを書く
- 工夫や困難への対応を書く
- 学びや今後の活かし方を書く
文章にすると、次の型が使えます。
私は○○に関する研究を行っています。
背景には△△という課題があり、□□を明らかにすることが目的です。
その中で私は、主に○○の実験・解析・比較を担当しました。
特に△△の点で課題がありましたが、□□という工夫によって改善を進めました。
この経験から、○○する姿勢の重要性を学び、今後は△△の場面でも活かしたいと考えています。
この型なら、テーマが材料系でも化学系でも情報系でも、大きく崩さず使えます。
研究内容のES例文【改善前・改善後】
ここでは、材料系の研究を例にします。
自分の分野に合わせて言葉を置き換えてみてください。
改善前の例
私はコンクリートの腐食に関する研究をしています。
下水道環境では硫化水素の影響で劣化が起こるため、それを防ぐことが目的です。
実験では試験体を作製して劣化状況を比較しました。
研究を通じて粘り強さを学びました。
これでも間違いではありませんが、自分が何を考えてどう進めたかが見えにくいです。
改善後の例
私は、下水道環境で起こるコンクリート腐食の進行要因を明らかにする研究を行っています。
下水道施設では硫化水素由来の腐食によって補修コストが増加する一方、材料条件による劣化の違いが十分に整理されていない点に課題があります。
そこで私は、配合条件の異なる試験体を用いて腐食の進行差を比較し、観察結果と分析データを照らし合わせながら要因を整理しています。
途中では、測定値のばらつきが大きく評価が難しい場面もありましたが、前処理条件と測定手順を見直して再現性の改善を図りました。
この経験を通じて、結果だけを見るのではなく、前提条件を分解して原因を検証する姿勢の重要性を学びました。
この形だと、研究テーマだけでなく、課題設定・自分の役割・工夫・学びまで伝わります。
まだ成果が出ていない場合はどう書く?
B4や修士1年の段階では、まだ研究途中で大きな成果がないことも普通です。
その場合は、無理に立派な結果を書こうとしなくて大丈夫です。
書くべきなのは、主に次の3つです。
- 何を明らかにしようとしているか
- そのために今どこまで進めているか
- その過程で何を考え、どう動いているか
たとえば、
- 先行研究の整理を進めている
- 実験条件の設計を進めている
- 初期データを比較して仮説を立てている
- 指導教員との議論を踏まえて方針修正している
といった内容でも十分です。
研究が途中でも、自分の頭で考えて前に進めている様子が見えれば、ESとしては成立します。
研究の材料がまだ少ないと感じる人は、日々の記録を残しやすくするために、研究ノートの取り方:デジタルvs手書きの使い分け術も読んでおくと整理しやすくなります。
研究内容をESで書くときのNG例
専門用語が多すぎる
研究室内では通じる言葉でも、採用担当者には伝わらないことがあります。
専門用語はゼロにする必要はありませんが、必要最小限にして、その前後を平易な言葉で支えるのが基本です。
背景が大きすぎる
「社会課題の解決のため」だけだと、結局何をしているのかがぼやけます。
背景は広くしすぎず、研究テーマに直接つながる課題へ落としてください。
自分の役割が見えない
「研究しています」だけでは、本人の工夫や主体性が伝わりません。
自分が担当したこと、考えたこと、改善したことを必ず入れましょう。
学びが抽象的すぎる
「粘り強さを学んだ」「大切さを知った」だけでは弱いです。
何を通じて学んだのか、どんな行動に変わったのかまで書くと強くなります。
文字数別の考え方
200字前後
テーマ・背景・自分の役割を優先します。
学びまで入れるなら一言で十分です。
300〜400字
もっとも書きやすい長さです。
背景→目的→取り組み→工夫→学び、の5点をコンパクトに入れます。
500字以上
研究紹介に寄りすぎないよう注意が必要です。
文字数が増えるほど、研究の説明ではなく、自分の判断や工夫の描写を厚めにすると読みやすくなります。
研究内容をESに書く前にやっておくと楽になること
研究内容の整理は、ESの直前にゼロから始めるとかなり重いです。
普段から次の2つをやっておくと、書く負担が下がります。
- 読んだ文献と自分の仮説を分けてメモする
- うまくいかなかった条件や改善の過程も残しておく
研究の材料集めに不安がある人は、効率的な論文検索テクニック:初心者向け完全ガイドで文献の集め方を整理しておくと、背景や目的も書きやすくなります。
また、理系向けの就活サービス全体を比較したい場合は、理系学生のスカウト就活サービス比較|アカリク・LabBase・OfferBox Makersはどう使い分ける?や、理系を活かして就職するのにアカリクを使うのは本当にアリなのかも参考になります。
まとめ|研究内容ESは「専門性」より「伝わる順番」が大事
研究内容をESに書くときは、すごい研究に見せようとしすぎなくて大丈夫です。
本当に大切なのは、専門外の相手にも伝わる順番で、自分の思考と行動が見えるように書くことです。
最後に、最低限押さえたいポイントをまとめます。
- 最初の1文で研究テーマの輪郭を出す
- 背景と目的は短く整理する
- 自分の役割と工夫を必ず入れる
- 成果が薄くても、学びや改善の過程を書く
- 専門用語は削るのではなく、翻訳する
研究内容のESは、うまく書けるとその後の面接でもかなり話しやすくなります。
まずは完璧な文章を目指すより、背景・目的・自分の役割・学びの4点を書き出すところから始めてみてください。


