AIニュース|2025-10-01 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Dual-activation mechanisms for chloride ion solidification in fly ash-slag geopolymer under combined temperature/salt fog

フライアッシュやスラグといった産業廃棄物を原料とするアルカリ活性ジオポリマー(FASG)は、環境負荷の低い低炭素な建設材料として、持続可能な社会の実現に貢献する素材として注目を集めています。しかし、海洋環境下での使用においては、塩化物イオン(Cl-)の浸透による材料劣化が大きな課題となっており、その耐久性向上が不可欠です。従来のFASGが持つCl-固定化能力の改善は、海洋構造物へのジオポリマーの応用範囲を広げ、その実用化を阻む要因となっています。

本研究は、この課題に対し、高性能強塩基性陰イオン交換樹脂(HP-SBAER)をジオポリマーに複合化した機能性ジオポリマー(F-FASG)を開発し、そのCl-固定化能力を大幅に向上させることに成功しました。複合的な温度および塩水噴霧条件下において、F-FASGの機械的特性の劣化、Cl-の輸送挙動、微細構造の再編成を、様々な高度な分析手法を用いて詳細に評価しました。その結果、HP-SBAERの導入がCl-の固定化能力を顕著に高めることが明らかになりました。Cl-固定化は温度条件によって異なる二重活性化メカニズムを示すことが判明しました。35℃の条件下では、熱活性化によるゲル構造の脱重合と再重合が促進され、構造の安定性とCl-の結合能力向上に寄与しました。一方、45℃では、温度と塩水噴霧の相乗効果がゲルの脱重合を加速させ、層間隔の拡大や構造秩序の低下を引き起こし、よりアモルファスなマトリックス形成を促すことが観察されました。また、昇温によりアルミニウムイオン(Al3+)の放出が促進され、新たなゲル相が形成されることで50nm以下の細孔が緻密化する傾向が見られましたが、45℃では全体的に細孔の粗大化が優勢となることも示されました。マクロ的には、HP-SBAERの添加によりCl-の脱着速度が遅延し、表面層での局所的なCl-蓄積が抑制され、浸透深さが効果的に低減できることが実証されました。これらの成果は、ジオポリマーにおける塩化物イオンの二重活性化固定化メカニズムに関する新たな知見を提供するものです。

HP-SBAERを組み込んだF-FASGは、Cl-の浸透を効果的に抑制し、海洋環境下での材料の耐久性を大幅に向上させる可能性を秘めています。特に、35℃ではマトリックスの緻密化により機械的特性が改善する一方、45℃の塩水・高温環境下では劣化が見られることから、使用環境に応じた最適な材料設計の重要性も浮き彫りになりました。本研究は、持続可能な建設材料としてのジオポリマーの海洋環境での応用を加速させ、将来の塩害対策技術開発に貢献する重要な一歩となります。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Enhancing ceramic-like phases crystallization and sintering efficiency in thermal resistant geopolymer by B2O3 sintering aids

現代社会において、高機能な建材や耐火材料への需要は高まる一方であり、特に優れた耐火性と環境負荷の低減を両立するジオポリマーは、セメントに代わる次世代材料として注目を集めています。しかし、ジオポリマーは極度の高温や火災に曝されると、その構造が劣化し、機械的強度が低下するという課題を抱えていました。これまでの研究では、ジオポリマーの耐熱性を向上させるための様々なアプローチが試みられてきましたが、より効率的かつ効果的な方法の確立が求められていました。特に、高温下での構造的安定性と強度維持は、実用化を進める上で不可欠な要素です。

このような背景のもと、本研究は酸化ホウ素(B2O3)を焼結助剤として用いることで、ジオポリマーの耐熱性を飛躍的に向上させる可能性を探りました。研究チームは、B2O3がジオポリマーの高温挙動、相組成、微細構造に与える影響を詳細に分析し、その低温セラミック化メカニズムを解明しました。その結果、B2O3を添加することで、ジオポリマーの焼結温度が低下し、焼結効率が著しく向上することが明らかになりました。これは、高温環境下でB2O3が固体格子から溶融分子への力を弱めることで、ジオポリマーマトリックス内に溶融分子が蓄積しやすくなるためです。この現象により、焼結プロセスが従来の固相拡散から液相拡散へと移行し、材料の拡散が加速されることで、より効率的な焼結が促進されます。このB2O3が促進する粘性焼結は、ジオポリマーマトリックスの緻密化を促し、結果として熱安定性と機械的特性の向上に寄与することが示されました。

具体的な成果として、B2O3の最適量を添加したジオポリマーは、1000°Cという極めて高い温度に晒された後の残存圧縮強度が大幅に向上しました。特に、3%のB2O3を添加したジオポリマーでは、残存圧縮強度が10.5 MPaから19.9 MPaへと、実に89.5%もの強化が確認されました。これは、B2O3がもたらす緻密化と熱安定性の向上が顕著に現れた結果と言えます。一方で、4%のような過剰なB2O3の添加は、その弱い酸性とホウ酸塩がアルミニウム-酸素結合の形成を阻害するため、ジオポリマー化反応を遅らせ、初期強度の発達を妨げることが判明しました。この結果は、焼結助剤の添加量がジオポリマーの最終的な性能に大きく影響することを示唆しており、実用化に向けた最適な組成設計の重要性を浮き彫りにしています。

本研究は、焼結助剤を用いることでジオポリマーの焼結プロセス効率を向上させるという、これまでにない新たなアプローチを提示しました。この画期的な知見は、極端な高温条件下におけるジオポリマーの熱安定性と機械的特性を改善するための有力な手段を提供するものです。建築分野における耐火材料、航空宇宙産業における高温構造材、さらには廃棄物処理における固化材など、幅広い応用が期待されます。本成果は、次世代の高性能で持続可能な材料開発を加速させ、社会の安全と環境負荷低減に大きく貢献する可能性を秘めていると言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Effects of additives on alkali-activated slag/fly ash based geopolymer mortar: Mechanical properties, shrinkage properties, and shrinkage prediction model

ジオポリマーは、セメントに代わる持続可能な建設材料として近年注目を集めている。これは、産業廃棄物などを原料とし、製造時のCO₂排出量削減に貢献するためだ。しかし、その広範な実用化には課題も存在している。特に、硬化過程で発生する顕著な収縮が材料にひび割れを引き起こし、耐久性や構造物の健全性を損なう可能性がある。この収縮の問題は、特にインフラ用途において深刻な懸念事項であり、その抑制と性能向上はジオポリマー技術の普及に向けた重要な研究課題とされてきた。

このような背景のもと、本研究はスラグ/フライアッシュをベースとしたジオポリマーモルタルに、特定の添加剤を組み込むことで、収縮特性と機械的特性の改善を目指した。具体的には、膨張剤(EA)と収縮低減剤(SRA)の2種類を添加し、多数の検体を用いてこれらの材料の挙動を体系的に評価している。実験の結果、両添加剤は収縮抑制に顕著な効果を示し、特にSRAは90日で51%もの大幅な収縮低減を実現した一方、EAも27%の収縮低減効果が確認された。機械的強度については、EAが強度を5.0%から11.4%向上させたのに対し、SRAは強度をわずかに低下させた。これらの作用機序を微細構造レベルで分析した結果、EAは水酸化マグネシウム結晶の形成による体積膨張を誘発し、SRAは内部の細孔径を増加させることで収縮を緩和していることが示された。また、ジオポリマーモルタルの収縮予測モデルについても検討が行われ、既存の4つのモデルのうち、K値調整後のGL2000モデルが実験結果と最も高い精度で一致し、他のモデルが収縮を過小評価する傾向にあることが判明した。

これらの多角的な研究成果は、ジオポリマー材料の設計と実用化に重要な示唆を与えるものである。特に、膨張剤(EA)が収縮を抑制するだけでなく、同時に機械的強度も向上させる「多機能添加剤」としての可能性が示されたことは特筆に値する。これは、これまでトレードオフの関係にあった収縮抑制と強度向上という課題に対し、両立可能な解決策を提供する画期的な発見と言える。本研究で得られた定量的データと微細構造レベルでの知見は、耐久性に優れたジオポリマー構造物を設計する上で、最適な添加剤の選定基準を提供する。また、既存の収縮予測モデルをジオポリマー材料に適用する際の改良点を示したことで、より信頼性の高い予測と設計が可能になる。これらの成果は、ひび割れに強く高性能なジオポリマー複合材の開発を加速させ、持続可能な社会インフラの構築に貢献すると期待される。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)