AIニュース|2025-11-14 Geopolymer の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Geopolymer」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Durability and hygrothermal performance of metakaolin-based geopolymer composites reinforced with hemp shiv and miscanthus fibers

現代社会において、建設産業は地球温暖化対策や資源枯渇といった環境課題に直面しており、特に建築物のエネルギー効率を高める断熱材の選定は喫緊の課題となっています。従来の断熱材は製造過程で大量のCO2を排出したり、再生不可能な資源に依存したりすることが多く、より環境負荷の低い、持続可能な代替材料の開発が強く求められています。こうした背景から、植物由来のバイオマス資源と、セメントに代わる低炭素結合材であるジオポリマーを組み合わせた新たな建材の研究開発が世界的に進められています。

こうした中で、このほど発表された研究では、メタカオリンを主成分とするジオポリマー複合材に、ヘンプシブとミスカンサス繊維といった植物由来の骨材を最大350重量パーセントという高比率で配合することで、持続可能性と高性能を両立させた画期的な断熱材の開発に成功しました。多角的な評価の結果、この新素材は0.088 W/m.K(ヘンプシブ配合時)という超低熱伝導率を達成し、非耐荷重用途に十分な0.75 MPaを超える圧縮強度を示しました。また、高い吸水性があるものの、水に浸漬しても断熱性能への影響が最小限に抑えられる特性が確認されています。内部の三重細孔構造が、優れた断熱性と強度を両立させる鍵であることも示唆されています。さらに、水蒸気抵抗係数が2.4と非常に低く、高い通気性を持つことも実証されました。合成発泡剤を使用せずにEuroclass A1~A2に分類される高い耐火性を持ち、建材としての安全性も高いことが確認されました。

この革新的なジオポリマー複合材の環境負荷と経済性を評価したところ、市販の断熱材と比較して圧倒的な優位性が示されました。特定の熱抵抗値(R = 2.5 m2.K/W)に正規化して評価した結果、CO2排出量はほぼゼロに近く、生産コストも1平方メートルあたりわずか13.1ユーロという試算が得られています。これは、現在の市場に流通する断熱材と比較して大幅に性能を上回り、かつ非常にコスト効率が良いことを意味します。本研究は、地球規模でのカーボンニュートラル社会の実現に貢献しうる「カーボンネガティブ」な断熱材の製造に向けた、スケーラブルでコスト効率の高い道筋を示しています。持続可能な建築の実現に貢献する次世代の建材として、その実用化と普及が期待され、建設産業全体の環境負荷低減に大きく寄与する可能性を秘めています。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


A comprehensive study of pumice and mica in geopolymer mortar as GGBFS replacement on mechanical, durability, high-temperature, and sustainability performance

現代社会において、建設産業は地球環境に対する影響を低減するという喫緊の課題に直面しています。特に、従来のセメント製造は大量の二酸化炭素(CO₂)を排出するため、その代替材料の開発が強く求められています。こうした背景から、産業副産物を活用したジオポリマーモルタルは、持続可能な建築材料として大きな注目を集めています。製鉄プロセスから生じる高炉水砕スラグ(GGBFS)は、ジオポリマーモルタルの強度と耐久性を向上させる重要な成分として広く用いられてきましたが、さらなる性能向上と環境負荷低減を目指し、天然由来の補助セメント系材料の可能性を探る研究が活発化しています。本研究は、地球上に豊富に存在する軽石と雲母に着目し、これらをGGBFSの部分代替材としてジオポリマーモルタルに導入することで、その性能と持続可能性にどのような影響を与えるかを包括的に解明しようと試みました。

本研究の新規性は、軽石と雲母をGGBFSの部分代替材としてジオポリマーモルタルに添加した場合の、機械的特性、耐久性、耐熱性、微細構造、環境負荷、および経済性に至るまで、包括的に評価した点にあります。研究では、水酸化ナトリウム(NaOH)濃度や代替率を様々に組み合わせた多種類のモルタル混合物を調製し、圧縮、曲げ、引張強度などの機械的性能、吸水率や電気抵抗といった耐久性、さらに耐熱性(100℃~600℃)などの詳細な評価に加え、走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分光法(EDS)を用いた微細構造解析も実施しました。その結果、雲母5%の代替で初期圧縮強度が対照サンプル比で約5%向上したほか、雲母と軽石の添加は曲げ強度を最大14.7%高め、引張強度も改善傾向を示しました。特に、600℃という高温条件下での残留圧縮強度が対照サンプル比で最大54%も向上するなど、耐熱性の大幅な改善が確認されました。吸水率も低減し、SEM分析からは安定したCa-(N)-A-S-Hジオポリマー相の形成が確認され、軽石と雲母が常温・高温での性能向上に寄与することが裏付けられました。

本研究で得られた知見は、ジオポリマーモルタルの実用化と普及に向けた大きな一歩となります。軽石と雲母の導入により、機械的強度と耐熱性が顕著に向上し、CO₂排出量削減という環境面での貢献も実証されました。特に軽石の代替は材料費の削減にも寄与するため、持続可能性と経済性を両立する建設材料としての魅力が高まります。雲母はコスト増となるものの、その高性能化のメリットは特定の用途で価値を発揮するでしょう。これらの成果は、資源有効活用と環境負荷低減を両立する次世代建設材料開発に貢献し、将来の建設産業に高性能かつ持続可能なソリューションを提供するものと期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Corrigendum to “Microrheology of fresh geopolymer pastes with different NaOH amounts at room temperature” [Constr. Build. Mater. (2019) 284-290]

科学技術系ニュース編集者として、提供された論文情報に基づき、以下の通り要約します。

近年、持続可能な社会の実現に向け、従来のセメントに代わる新たな建材としてジオポリマーが注目を集めています。フライアッシュや高炉スラグといった産業副産物を主原料とし、アルカリ活性化させることで製造されるジオポリマーは、二酸化炭素排出量の削減や資源の有効活用に貢献すると期待されています。特に、ジオポリマーペーストの初期段階におけるレオロジー特性、すなわち流動性や粘性は、練り混ぜ作業性、ポンプ圧送性、型枠充填性、さらには最終的な材料性能に直結する極めて重要な要素です。この特性を詳細に理解するためには、マクロな挙動だけでなく、材料の微細構造レベルでの流動メカニズムを解明するマイクロレオロジー研究が不可欠とされています。そのような背景のもと、2019年に学術誌「Constr. Build. Mater.」に掲載された原論文「Microrheology of fresh geopolymer pastes with different NaOH amounts at room temperature」は、ジオポリマーペーストの初期特性において重要なファクターである水酸化ナトリウム(NaOH)の添加量が、室温下におけるマイクロレオロジーに与える影響を詳細に解析したものであり、その科学的知見はジオポリマー材料の基礎研究および応用開発において大きな意義を持つものでした。

この度発表された本論文は、上記の先行研究に対する訂正(Corrigendum)として位置づけられます。科学論文における訂正とは、既に発表された研究成果において、データ、解析手法、図表、あるいは記述内容などに誤りや不正確な点が見つかった場合に、その内容を修正し、正確な情報を提供する目的で発行されるものです。具体的な訂正内容は本論文を精査することで明らかになりますが、元の論文タイトルから推測すると、ジオポリマーペーストのマイクロレオロジー特性、特に異なるNaOH量とレオロジー特性の関係に関するデータ、その解析結果、またはそれに基づく議論のいずれかに修正が加えられた可能性が高いと考えられます。このような訂正論文の発表は、新たな研究成果の提示とは異なるものの、学術コミュニティの健全な発展において極めて重要な役割を果たします。なぜなら、研究データや結論の正確性は、科学的信頼性の根幹をなすものであり、後続の研究がこの情報を基に進められることを考慮すると、その情報が完全に正確であることが不可欠だからです。本訂正は、ジオポリマー分野の研究者に対し、より信頼性の高いデータと知見を提供することで、誤解に基づく研究の進行を未然に防ぎ、学術的議論の精度を向上させるという点で、計り知れない学術的貢献を有しています。

本訂正論文がもたらす意義は、単なる既存情報の修正に留まりません。ジオポリマー材料の設計や施工において、初期流動特性は材料の性能とコストに大きく影響するため、その理解におけるわずかな不正確さも、結果として材料開発の方向性を誤らせる可能性を秘めています。今回の訂正を通じて、ジオポリマーペースト、特に水酸化ナトリウム量がそのマイクロレオロジーに与える影響に関する理解がより堅固なものとなることで、将来的には、より高精度な配合設計、施工性の最適化、そして最終製品の信頼性向上へと繋がることが期待されます。このように、科学における自己修正のプロセスは、研究成果の透明性を高め、学術コミュニティ全体の知識基盤を強化し、ひいては社会実装される技術の安全性と有効性を保証する上で不可欠な営みであると言えるでしょう。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)