AIニュース|2025-11-17 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


The influence of aggregate distribution and gradation on the compressive performance of FRCAC: DE simulation, experiment and theoretical analysis

環境負荷低減に貢献する完全再生粗骨材コンクリート(FRCAC)は、高い環境的価値を持つ材料として注目されています。しかし、その実用化には、内部に存在する再生粗骨材の分布、粒度分布、個々の粒径がFRCACの単軸圧縮性能にどのように影響を与えるかという点が未解明のままでした。これらの骨材特性が力学挙動に与える複雑な影響の解明は、材料設計の最適化と信頼性向上に不可欠な課題とされていました。

本研究では、この課題に対し、離散要素法(DEシミュレーション)を用いた詳細な解析アプローチを採用しました。まず、DEシミュレーションを支援する使いやすい専用ソフトウェアを開発し、実測データに基づきミクロな物理パラメータを精密に校正することでモデルの信頼性を確立しました。この高精度なDEモデルを用い、FRCAC内部の破壊プロセス、破壊モード、き裂の発生・進展、変形分布を詳細に解明。さらに、再生粗骨材の配置、粒度分布、粒径がFRCACの力学特性に及ぼす影響を系統的に調査し、そのメカニズムを明らかにしました。

得られた主な知見は以下の通りです。構築されたDEモデルがFRCACの応力-ひずみ曲線とき裂進展挙動を極めて正確に再現できることが実証され、き裂が中央部から両端へ進展し主要な斜めき裂を形成する様子は、実際の実験結果と完全に一致しました。異なる骨材分布を持つ試料間の応力-ひずみ曲線にはばらつきが見られ、弾性率、ピーク応力、ピークひずみ、終局ひずみの変動係数はそれぞれ0.080、0.069、0.097、0.080と低い値でした。60種類の骨材分布を持つFRCACの力学特性指標は正規分布に従い、骨材分布自体がこれらの力学特性の数値に与える影響は最小限である一方、破壊モードには顕著な影響を与えることが判明しました。また、粗骨材の粒径が増加すると、弾性率は増加する一方で、ピークひずみ、終局ひずみ、ピーク応力は減少し、破壊後の主要な斜めき裂の幅も粒径増加とともに拡大することが観察されました。

これらの多角的なシミュレーションと実験による研究成果は、これまで不明瞭であったFRCACの圧縮性能における骨材特性の影響を定量的に明らかにするものです。本研究で確立された高精度なDEシミュレーション手法と得られた知見は、FRCACの材料設計と性能評価における重要な指針となり、その詳細な研究を大きく前進させます。これにより、環境負荷の低い持続可能なコンクリート材料としてのFRCACのさらなる実用化と普及に貢献することが期待されます。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Probabilistic modeling of asphalt mixture stiffness curves using Gaussian Process

アスファルト舗装の設計において、アスファルト混合物の剛性曲線は、その性能と長期的な耐久性を評価するための基盤となる不可欠な物性です。この曲線は材料の粘弾性挙動を捉え、舗装の変形抵抗性や疲労寿命の予測に用いられます。しかし、剛性曲線の実験的決定は、時間とコストを要する上、材料のばらつきや測定誤差による不確実性を常に伴います。特に、新しいアスファルト混合物の開発段階では利用可能なデータが限られることが多く、こうしたデータ制約下で高精度かつ信頼性の高い剛性予測を行うことは、長年の課題でした。従来の決定論的な予測手法では、これらの不確実性を十分に考慮することが困難で、設計段階でのリスク評価が不十分となる可能性があったのです。

本研究は、この課題に対し、アスファルト混合物の剛性曲線を予測するためのガウス過程回帰(GPR)を用いた革新的な確率論的アプローチを提案します。従来の類似研究が部分的な剛性予測に留まるのに対し、本モデルは30の低減周波数にわたって完全なマスターカーブを再構築し、連続的かつ包括的な剛性プロファイルを提供します。わずか39サンプルという限定的なデータセットにもかかわらず、97.5%という極めて高い予測精度を達成した点は注目に値します。訓練に用いられていない6つの実験曲線による検証では、データが限られたシナリオにおいて、提案するGPRモデルが従来の決定論的な機械学習手法を一貫して凌駕することが実証されました。このアプローチの最大の特長は、各周波数における剛性の予測値が単一の固定値ではなくガウス分布として出力されることにある点です。これにより、アスファルト混合物の挙動や実際の舗装設計に内在する不確実性を、明示的に定量化し考慮することが可能となりました。

本研究で確立されたGPRモデルは、舗装材料の選定と設計プロセスに画期的な進歩をもたらします。不確実性を考慮した剛性予測は、より信頼性が高く、リスクを適切に管理した舗装設計を可能にし、舗装の耐久性、安全性、そして経済性の向上に貢献します。この確率論的予測を実用的な設計ツールとして統合するため、本研究は「マスターカーブ信頼帯(MCCB)」と「特性マスターカーブ(CMCs)」という概念を新たに導入しています。MCCBは予測される剛性曲線の信頼区間を明確に示し、CMCsは特定の信頼水準に基づいて定義されます。これらのツールにより、エンジニアは材料のばらつきや予測の不確実性を設計段階で直接評価し、より情報に基づいた意思決定が可能となります。特にデータ不足の新規材料開発や配合調整において、実験コストと時間を大幅に削減し、より堅牢で高性能な舗装構造実現の強力な指針となるでしょう。予測される不確実性を設計プロセスに組み込むことは、経済的で持続可能なインフラ建設に貢献します。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Reactions between BOF slag and acidic phosphate: shifting acid-base reaction towards hydration

現代社会において、セメント製造に伴う大量の二酸化炭素排出は喫緊の課題であり、持続可能な建築材料の開発が強く求められています。その解決策の一つとして注目されるのが、製鉄プロセスから排出される転炉スラグ(BOFスラグ)です。BOFスラグは、セメントクリンカーと類似した水硬性を持つ相を含有するものの、従来のアルカリ活性化手法では水和反応が限定的であり、高強度なバインダーとしての活用が困難でした。その結果、BOFスラグの多くは低付加価値な用途に留まっており、CO2排出量削減と廃棄物問題の両面から、その高付加価値化に向けた革新的な技術が期待されています。

本研究は、このBOFスラグの潜在的な水硬性を最大限に引き出すための独自のアプローチを提案しています。具体的には、モノリン酸カリウム(MKP)を10重量パーセント未満の少量添加することで、BOFスラグに含まれるケイ酸二カルシウム(C2S)やブラウンミラー石(C2(A,F))といった潜在的な水硬性相を、常温で効果的に活性化することに成功しました。従来のアルカリ活性化とは異なり、このリン酸添加は、初期の酸塩基反応から持続的な水和反応へとプロセスを巧みに移行させることで、BOFスラグの硬化を促進します。研究チームは、定量X線回折、走査型電子顕微鏡による元素マッピング、熱重量分析、熱量測定、水銀圧入法など、多角的な解析手法を駆使して、生成される微細構造や強度発現メカニズムを詳細に解明しました。

重要な発見として、MKPの添加量がBOFスラグの水和反応の進行と生成物の種類を大きく左右することが明らかになりました。最適なMKP添加量である5重量パーセントでは、7日材齢で19.9 MPa、28日材齢で44.5 MPaという優れた圧縮強度を達成しています。これは、ハイドロタルサイト、パイロオーライト、C-S-Hゲル、ハイドロガーネット、さらにはヒドロキシアパタイト様相といった多様な水和生成物が複合的に形成された結果です。一方で、2.5重量パーセントのMKPでは7日材齢での水和は緩やかであるものの、28日材齢での水和を顕著に促進することが観察されました。しかし、MKPの添加量が過剰な10重量パーセントになると、初期反応が急激に進み過ぎることで粗大な空隙が形成され、かえって強度が損なわれることも判明しました。これらの知見は、リン酸塩の添加量を適切に管理することが、BOFスラグの持続的な水和と機械的性能を最適化する上で極めて重要であることを示しています。本研究の成果は、BOFスラグを高性能なセメントフリーバインダーとして建設分野で活用するための実現可能な戦略を提供し、セメント産業の脱炭素化と資源循環型社会の構築に大きく貢献する可能性を秘めています。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)