AIニュース|2025-12-11 Alkali-activated materials の新着まとめ

Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials を中心に、キーワード「Alkali-activated materials」に関連する新着論文 3 本の要点をまとめました。


Micro-mechanical characterization of polymer-modified asphalt mixtures using discrete element modelling with soft-bond and linear contact bond models

現代社会において、交通量の増加と多様化する環境負荷に耐えうるインフラの構築は喫緊の課題となっています。特に舗装材料として広く用いられるアスファルト混合物には、高い耐久性とひび割れ抵抗性が求められており、ポリマー改質アスファルト(PMA)混合物は、従来のバインダーと比較してその優れた性能から注目を集めています。PMAは過酷な条件下でもその性能を維持し、舗装の長寿命化に貢献することが期待されています。しかし、PMA混合物の内部構造は骨材、バインダー、空隙など複数の不均一な要素から構成されており、さらに粒子スケールでの複雑な相互作用が存在するため、そのミクロ力学的な挙動や破壊メカニズムを詳細に把握することはこれまで困難でした。このメカニズムを深く理解することは、より高性能な舗装材料の開発や、既存舗装の効率的な維持管理戦略を策定する上で不可欠です。

このような背景のもと、本研究は、PMA混合物のミクロ力学的な特性と破壊メカニズムの解明に、革新的なシミュレーション技術である離散要素法(DEM)を適用しました。具体的には、Particle Flow Code (PFC) を用いて、PMA混合物の単軸圧縮強度(UCS)および間接引張強度(ITS)試験をシミュレートしています。このシミュレーションでは、引張破壊と段階的な結合劣化というPMA混合物の重要な破壊様式をより正確に表現するため、従来の線形接触ボンド(LCB)モデルに加え、新たにソフトボンド(SB)モデルを導入し、その有効性を詳細に評価しました。異なる試験片サイズや骨材粒度分布条件でのシミュレーションを通じて、モデルは実験結果と綿密に照合・検証され、9種類のPMA配合において、圧縮強度および弾性係数に関してわずか1.5%未満という極めて高い精度で実験値を再現することに成功しました。この高精度なシミュレーションモデルの構築こそが、本研究の特筆すべき新規性と言えます。

本研究によって確立された高精度なDEMシミュレーションは、PMA混合物の破壊挙動に関する新たな知見をもたらしました。特に、試験片のサイズによって強度が変化する「強度-サイズ効果」が明確に観察・モデル化されたことは、実用上極めて重要です。これにより、現場で採取される非標準的なコアサンプルの強度値を、実験室で標準的に測定される値と等価なものとして評価できるようになり、現場データの解釈精度が飛躍的に向上します。さらに、本研究ではアスファルト舗装表面に発生するひび割れ、ポットホール、路面標示劣化といった損傷を高解像度で捉えた画像データセットも構築しました。これは、将来的にコンピュータービジョンを活用した自動舗装監視システムを開発するための基盤となるものです。本研究で提示された統合的なシミュレーションおよび画像解析フレームワークは、PMA混合物のミクロスケールでの破壊挙動に対する深い理解を促進し、現場データのより正確な解釈を可能にします。ひいては、強靭で持続可能な舗装インフラの構築に向けた、インテリジェントな維持管理戦略の実現に大きく貢献するものと期待されます。

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Piezoresistivity and mechanical performance of self-sensing cement-based sensors under the influence of seawater

社会インフラの老朽化が進む現代において、その健全性を継続的に監視する「構造ヘルスモニタリング」技術の重要性は高まる一方です。特に、ひずみや損傷を自律的に検知する「自己感知セメント系材料」は、将来のスマートインフラの基盤技術として注目を集めています。しかし、これらの材料製造には導電性フィラーのコストや淡水資源の利用といった課題が伴います。持続可能な材料開発が求められる中、豊富に存在する海水を用いたセメント系材料の可能性が探られていますが、海水が自己感知性能や機械的特性に与える影響は十分に解明されていませんでした。本研究は、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を導電性フィラーとして組み込んだセメント系複合材料において、練り混ぜ水として海水を使用した場合の自己感知性能、パーコレーション閾値、および機械的特性への影響を体系的に評価することを目的としました。

研究では、MWCNTと海水を含むセメント系複合材料を調製し、熱重量分析(TGA)、X線回折(XRD)、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)、走査型電子顕微鏡(SEM)、エネルギー分散型X線分光法(EDS)といった多様な分析手法で水和生成物や微細構造特性を詳細に解析しました。その結果、練り混ぜ水に海水を用いることで初期の発熱量が増加し、初期水和反応が促進されることが判明しました。これは複合材料の初期圧縮強度向上にも寄与します。また、導電経路が形成されるパーコレーション閾値は、MWCNTの添加量だけでなく細孔溶液中のイオン濃度にも強く依存することが明らかになりました。特に、MWCNTを0.7重量%添加し、練り混ぜ水として50重量%の海水を用いた複合材料が最高の電気抵抗分数変化を示し、優れた自己感知能力を持つことを確認しました。この発見は、海水とMWCNTの特定の組み合わせが材料の高性能化に貢献することを示しています。

これらの発見は、持続可能なスマートインフラ実現へ向けた新たな道を開くものです。本研究の成果は、淡水資源の制約を受けずに海水を利用した高性能な自己感知セメント系材料の開発に貴重な洞察を提供します。これにより、沿岸部や海洋環境に建設される橋梁や港湾施設などのインフラにおいて、材料が自身の状態を自律的に診断し、損傷を早期に検知する「自己診断型」構造物の実現に貢献が期待されます。これは、インフラのライフサイクルコスト削減、安全性の向上、予知保全への移行を促進するでしょう。さらに、建設分野における淡水資源の消費を抑え、環境負荷低減にも寄与する可能性を秘めており、将来の持続可能な社会構築に向けた重要な一歩です。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)


Synergistic enhancement of cement-based materials by an organic-inorganic hybrid of multi-walled carbon nanotubes and cellulose nanofibers

コンクリートやモルタルに代表されるセメント系材料は、現代社会を支える基幹的な建設材料ですが、その引張強度や曲げ強度が圧縮強度に比べて低く、脆性的な破壊挙動を示す点が長年の課題でした。この課題を克服し、材料の靭性や耐久性を向上させるため、近年、材料の微細構造を改質する目的で、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)やセルロースナノファイバー(CNF)といったナノ材料をセメント系材料に添加する研究が進められてきました。これら個々のナノ材料がセメント系材料の強度や耐久性向上に寄与することは知られていましたが、これらを組み合わせた際の複合的な相乗効果、特にその詳細なメカニズムについては、これまで十分に解明されていませんでした。

このような背景のもと、本研究は、多層カーボンナノチューブとセルロースナノファイバーを複合した有機-無機ハイブリッド材料としてセメントモルタルに添加し、その相乗的強化メカニズムを体系的に調査しました。様々な添加比率での実験、流動性試験、機械的特性評価に加え、X線回折、フーリエ変換赤外分光法、熱重量分析、走査型電子顕微鏡など多角的な分析手法を駆使した結果、両ナノ材料がセメントモルタル内で柔軟かつ剛性の複合構造を形成し、その結果、曲げ強度と圧縮強度の比(曲げ圧縮強度比)が最大で40.56%という顕著な向上を達成することを発見しました。この相乗効果は、ナノ材料がマイクロクラックを架橋する効果、ナノスケールの微細孔を物理的に充填する効果、そして水素結合を介した界面の強化によってもたらされることが明らかになりました。特に、セルロースナノファイバーは、水酸化カルシウム結晶の粗大化を効果的に抑制し、セメントの水和プロセスを継続的に促進することで、セメント水和生成物であるC-S-Hゲルの構造を緻密化させる役割を果たします。一方、多層カーボンナノチューブは、水和生成物の空間分布を最適化することで、材料全体の気孔率を大幅に低減し、強度向上に寄与します。作業性の低下と機械的性能向上を両立させる最適な配合比は、セルロースナノファイバー0.05%と多層カーボンナノチューブ0.025%であることが特定されました。さらに、分子動力学シミュレーションと連続体力学理論を用いた解析により、セルロースナノファイバーの存在がカーボンナノチューブとセメント複合材料間の層間エネルギーとせん断応力を著しく高めることが理論的にも裏付けられました。これは主に、水素結合およびイオン配位結合の形成に起因するものです。

本研究の成果は、セメント系材料の脆性という長年の課題に対する画期的な解決策を提示するものです。特に、引張強度や曲げ強度を向上させることで、セメントモルタルの靭性を飛躍的に高め、ひび割れ発生の抑制や耐久性の向上、さらには構造物の長寿命化に大きく貢献することが期待されます。この有機-無機ハイブリッド材料の適用により、将来的には、より薄く、より強靭で、より環境負荷の低い次世代の高性能建築材料の開発に弾みがつくでしょう。本研究で明らかにされた相乗メカニズムは、ナノテクノロジーを建築材料分野に応用する上での新たな設計指針を提供し、持続可能な社会の実現に向けた革新的な建設技術の発展に大きく寄与するものです。

出典: DOIリンク(Cement and Concrete Research,Cement and Concrete Composites,Construction and Building Materials)