Paperpileの文献をBibTeXで書き出してChatGPT(ThinkingのExtendedなど)に渡すと、Paperpile内の文献リストを“意味ベース”で検索できます。キーワード一致だけでは拾えない「近い問題設定」「似た手法」「対立する立場」まで候補を返せるのが強みです。ポイントは、BibTeX=構造化メタデータをLLMに読ませ、質問の仕方を“検索クエリ”から“探索タスク”へ変えることです。
主なポイント
- BibTeXを渡すと、LLMが著者・年・タイトル・誌名・キーワードなどの文脈で“意味検索”できます
- 「〇〇の文献を探して」を探索条件(観点・除外・優先順位)まで含めた依頼にすると精度が跳ねます
- 大事なのは“1回で当てる”より、候補→絞り込み→追加探索の反復で網羅性を作ること
- ファイルは512MB/ファイル・テキストは2Mトークン/ファイルなど制限があるので、巨大ライブラリは分割が安全です (OpenAI Help Center)
基本概念・定義
Paperpile/BibTeX/「AI検索」とは?
- Paperpile:文献を収集・整理するリファレンスマネージャ。フォルダやラベル単位、またはライブラリ全体をエクスポートできます。 (Paperpile)
- BibTeX:論文の書誌情報を、機械が扱いやすい形で保存する形式(例:
@article{...})。LLMが“項目ごと”に読み取りやすいのが利点です。 (Paperpile) - ここで言う「AI検索」:タイトル文字列の一致ではなく、LLMが文脈(問題設定・手法・評価軸・近接領域)から候補を抽出する“意味ベースの探索”です。
なぜBibTeXが効くのか(キモは「構造化」)
PDF本文を丸ごと投げるより、まずBibTeXの方がハマる場面があります。理由は単純で、BibTeXは「この情報はタイトル」「これは著者」「これは年」のように構造が明示されているからです。LLMは、構造があるほど誤読が減り、並び替え・分類・比較が得意になります。
主要な質問への回答
どうやってPaperpile内を「AI検索」するの?
流れは3ステップです。
- PaperpileからBibTeXを書き出す
- 選択した文献/フォルダ/ラベル/ライブラリ全体をBibTeXでエクスポートできます。 (Paperpile)
- ChatGPT(Thinking)にBibTeXファイルを添付する
ChatGPTはアップロードしたファイルからの情報抽出や“その中の検索”ができます(いわゆる「このファイルから該当箇所を探して」系の依頼)。 (OpenAI Help Center) - 「検索」ではなく「探索」を指示する
あなたの原型プロンプトはこの一文です:
「添付データから〇〇に関する文献を探して」
これを、LLMが迷わない探索条件に変えると、精度が別物になります(後述のテンプレをコピペでOK)。
キーワード検索と何が違う?(強みと限界)
Paperpileの検索は強力ですが、基本は文字列一致が中心です。一方、LLMは次のような“ズレ”を吸収できます。
- 用語が違う:同じ概念でも分野で呼び方が違う(例:A分野ではX、B分野ではY)
- タイトルに単語がない:概念は本文・背景・評価軸に埋まっている
- 近接領域を拾いたい:直接その単語がなくても、同じ問題設定・同じ指標を扱う研究を探したい
ただし限界もあります。BibTeXに要旨(abstract)やキーワードが入っていないと、LLMが参照できる“意味情報”が薄くなり、探索がタイトル依存に寄りがちです。PaperpileはBibTeX出力のカスタマイズ(含めるフィールド等)もできます。 (Paperpile)
「Thinking(Extended)」にする意味はある?
あります。文献探索は、単発回答というより「分類→仮説→検証→再探索」の多段プロセスになりがちです。Thinkingの思考時間トグルでは、Standard/Extended(ProならLight/Heavy)などを選べ、Extended/Heavyはより時間を使って深く推論します。複数条件での探索や、対立研究の整理などはExtendedが有利になりやすいです。 (OpenAI Help Center)
データ・事例・比較
比較:キーワード検索 vs “BibTeX+LLM探索”
| 観点 | キーワード検索(通常) | BibTeX+LLM探索(今回) |
|---|---|---|
| 強い場面 | 正確な用語・著者名・年で探す | 同義語・近接領域・評価軸で探す |
| 取りこぼし | 用語揺れ、タイトルに語がない研究 | BibTeXにabstract等がないと弱い |
| 使い方のコツ | クエリを工夫する | 指示(観点/除外/優先)を工夫する |
| 出力 | 該当候補一覧 | 候補+理由+分類+次の探索方針 |
実務で効く「探索プロンプト」テンプレ(コピペ用)
以下は、あなたの一文を“探索タスク”に拡張した形です。
テンプレA:まず広く拾う(スクリーニング)
- 「添付BibTeXから、〇〇に関係がありそうな文献を最大20件挙げてください。
条件:- 直接〇〇を扱うもの
- 〇〇の評価指標/測定/データセットに触れるもの
- 〇〇の代替概念(同義語・近縁概念)を扱うもの
各文献について“そう判断した根拠(タイトル/キーワード/年/誌名など)”を1〜2行で添えてください。最後に、今回のBibTeX内で〇〇が使われそうな言い換え候補を10個提案して。」
テンプレB:観点で分類して“研究地図”を作る
- 「添付BibTeXの中から〇〇関連を抽出し、研究を5〜8カテゴリに分類してください(例:理論、手法、応用、評価、批判、レビュー等)。各カテゴリごとに代表文献を3〜5本、選定理由つきで提示してください。」
テンプレC:除外条件で一気に精度を上げる
- 「〇〇関連文献を探してください。ただし以下は除外:
・△△(対象分野)に限定された応用のみ
・□□以前(例:2016年以前)
逆に優先:
・レビュー/サーベイ
・再現性(コード公開、データ公開等)に言及がありそうなもの
出力は“優先順トップ10+次点10”で。」
テンプレD:次の一手まで出させる(引用されやすい整理)
- 「〇〇関連の候補を挙げたうえで、次に読む順番(最短で理解が進む順)を提案してください。各文献を読む目的(背景理解/手法理解/批判/応用)も付けてください。」
注意点・ベストプラクティス
1) 「丸投げ」より「探索条件」を渡す
LLMは“検索窓”ではなく“作業者”です。なので、優先順位・除外条件・欲しい観点を渡すほど強くなります。
例:
- 「関連文献」→弱い
- 「レビュー優先、評価指標が共通、2019年以降、近縁概念も含めて」→強い
2) BibTeXの“中身”が探索の上限を決める
Paperpileのデータエクスポートでは、PDF自体は含まれない点に注意が必要です(=BibTeX中心だと本文までは見えない)。 (Paperpile)
つまり、BibTeXにabstractやkeywordsが十分入っていない場合は、候補抽出が浅くなります。可能なら、Paperpile側で出力に含めるフィールドを見直すのが効きます。 (Paperpile)
3) 巨大ライブラリは「分割→統合」の順が安定
ChatGPTのファイルにはサイズやトークン上限があります。 (OpenAI Help Center)
ライブラリが大きい場合は、次の分け方が実務的です。
- 年代で分割(例:2015以前/2016-2020/2021以降)
- フォルダ/ラベルで分割(テーマ別)
- まず「候補抽出用(タイトル+abstract重視)」の軽量版を作る
4) 出力フォーマットを固定すると、反復が速い
毎回の回答形式を固定すると、比較・差分確認が楽になります。たとえば:
引用キー / 年 / タイトル / 2行要約 / 推し理由 / カテゴリ
5) 機密・未公開テーマは取り扱いに注意
BibTeXには研究テーマや共同研究者名が含まれます。アップロードや共有範囲が問題になる場合は、社外秘タイトルの一部マスクや、テーマ名の抽象化(例:「新規材料X」→「材料A」)を検討してください。ファイル保持や削除、利用に関する説明もHelpに明記されています。 (OpenAI Help Center)
FAQ
Paperpileの「検索」で十分じゃないの?
十分な場面も多いです。ただ、用語揺れやタイトルに出ない文脈(評価指標・問題設定・近縁概念)を拾うのはLLMが得意です。目的が「漏れなく候補を出す」「研究地図を作る」なら価値が出ます。
BibTeXだけだと限界がある?
あります。特にabstractがないと、判断材料がタイトル中心になります。可能なら出力に含めるフィールドを増やす(または別形式も併用する)と探索が安定します。 (Paperpile)
Thinking(Extended)は常にオンがいい?
文献探索・分類・比較のような多段推論では有利になりやすいです。一方、単純な抽出(年順に並べる等)はStandardで十分なことが多いです。トグルで切り替えできます。 (OpenAI Help Center)
ライブラリが大きすぎてアップロードできないときは?
ファイル上限(512MB、テキスト2Mトークン等)に当たっている可能性があります。 (OpenAI Help Center)
フォルダ/年/分野で分割して、まず候補抽出→最後に統合、が現実的です。
出てきた候補が本当に〇〇関連か不安
「なぜそう判断したか」を必ず出力に含めてください(根拠:タイトル語、誌名、著者、年、キーワード等)。その上で「関連度A/B/C」などの自己評価をつけさせると、精査が速くなります。
まとめ
PaperpileのBibTeXを書き出してChatGPT Thinking(Extended)に渡すと、文献管理が「整理」から「探索(AI検索)」に変わります。キーワード一致に頼らず、文脈で拾えるのが最大のメリットです。 (Paperpile)
今すぐできる次の一歩
- Paperpileで、まずは1つのフォルダ/ラベルをBibTeXで書き出して試す (Paperpile)
- テンプレAで“広く拾う”→テンプレCで“除外して絞る”の2段階を回す
- 出力形式(引用キー/理由/カテゴリ)を固定して、候補の比較・追加探索を高速化する
必要なら、あなたの「〇〇(探したいテーマ)」を想定して、上のテンプレをそのテーマ専用の“最短で漏れにくいプロンプト”に作り替えた版も、この場で提示できます。